はじめに
若い頃は、仕事着としてスーツを常時身につけていましたが、服装を自由に選択できるような仕事環境であったことから、職場になれて来ると、顧客と会う時や、会食や催しものへの出席など、スーツを着用する必要がある時以外スーツを着なくなります。
スーツを着なくなるので、持っているスーツで事足りてしまい、新しくスーツを購入することがなくなりますが、所有するスーツのものは良くても、時代感のようなものがあり、持っていたものでは、古く感じる事があります。
私は紺無地ないし、紺ベースのスーツが大半で、そこにダークグレーのスーツが数着あるようなクローゼットになっています。当時、所有していたスーツは、後輩に譲ってしまったので、現在、紺無地が3着、紺柄物が一着(記事で紹介したタイユアタイのKiton)チャコールグレーを一着所有しています。
その中で、購入が比較的新しく、シーンを選ばず着ていく機会が多いのが、今回紹介するBrioniのベーシックラインであるBrunicoの紺無地になります。
Brioni Brunico
BrioniのBrunicoは2010年代に入りリリースされた、比較的新しい型で、過去に紹介したタイユアタイのKitonに比べて、ベースはクラシックなスーツながらモダンさを取り入れ従来のブリオーニのスーツに比べタイトな作りになっています。
ブリオーニのスーツは、政治家や、企業の経営者、医療や法曹関係などの専門職といった、社会的地位から装いが自身の評価にも影響する方々の着用が多く、華やかさというより、清潔感や誠実さ、エネルギッシュなイメージなど、着用する方のアイデンティティやイメージを演出する要素が強く、着用する方もほとんどがビスポーク(フルオーダー)でスーツを仕立てています。
実際に着用している顧客の年齢層も高く、身体のラインを強調せず、少しゆったりしたシルエットで、動きやすさや、姿勢により型崩れが起きない工夫が随所にされています。
私が愛用する、Brunicoは、従来の顧客より若い顧客向けにブリオーニが展開したラインになります。ブリオーニのイメージである格式や重厚さを少し薄め、少しタイトでモダンなシルエットで若さを表現しています。既成服としての展開であり、ブリオーニの展開しているスーツのポジションで言えば、顧客層を広げる入門モデルのような位置付けでもあります。
ブリオーニのスーツの特徴である、軽く着心地が良く、スーツを身につけていても疲れないという長所はBrunicoでも継承され、身体に適度にフィットする少しタイトなスタイルを持ちながら、やりすぎない中庸さと上質さを持ち、実際に身につけると、非常に着心地が良く動きやすいことが特徴です。
特徴
- 2つボタン
- 広すぎないラペルと高めのゴージライン
- 深めにとったサイドベンツ
- 肩パッドを薄くし、胸まわりをあまり強調しないシルエット
- ウエストまわりも程よく絞りすぎないシルエット
- トラウザーズはノープリーツで細めのシルエット
- 極端なテーパードではなく、ストレートに近い裾幅
- 全体的に細めのシルエットを構成しながら、肩周りや、腰まわり、膝など動きのある箇所は適度なゆとりがあり非常に動きやすい作りになっています。
- 使用している生地は、Super160’sと、かなり柔らかい極上のウールを使用していることで、薄く、軽く、柔らかい事が特徴であり、どのような姿勢でも、嫌な皺は出にくく、綺麗なドレープラインが、控えめながら上質なスーツであることを表現します。
- このような極上の素材やパターンを、ブリオーニの抱える優秀な職人が、全てハンドメイドで仕立てており、マシンを使わない事で部位の縫製のテンションを変えるなどの微調整を行なっています。そのことで形はもちろんの事、着心地も優れ、どのような姿勢を取り360度どこから見ても凛とした上質さを持っています。
ブリオーニは長年、高級スーツを手がけていることから、生地へのこだわりは強く、ブリオーニでなければ用意できないような生地でスーツやジャケットを仕立てています。有名なのは、本来ビスポークで選択するような高級生地であるエスコリアルや、Super210’sといった超高級生地を用いた既成のスーツも展開しています。
社会性と品格
イタリアのクラシックファッションに深入りし、一つの到達点であるナポリやフィレンツェのサルトで仕立てをするなどイタリアのクラシックスタイルを極めていくと、ヴィンテージの打ち込みのしっかりした生地に行きつきます。スーツの形が綺麗に出たり、他に同じものが存在せず、華美さを抑えた装いという、ある種、上級者がたどり着く洒落者の趣味の世界となります。
ブリオーニは、着用する人の社会性や地位、公式の場での着用というフォーマルな用途としての着用が多いことから、用意される生地は、色や柄の派手さを抑え、番手が高く柔らかい高級生地を多数用意しています。そのことで控えめであり、趣味性は低く、社会性と品格を持つスーツを仕立てています。
※ 趣味性の高いスーツも用意されていますが顧客の用途の大半は社会性を重視していると感じます。
組み合わせたもの.
基本
ブリオーニの紺無地スーツであり、非常にコンサバでオーソドックスなスタイルですので、基本は全てブリオーニのアイテムで合わせています。
白シャツはブリオーニらしい、上質な海島綿のヘリンボーン地のオープンカラーシャツを選んでいます。シャツに合わせるネクタイは目が詰まり光沢感のあるシルクのネイビー無地とオーソドックスなシルクのネイビーのレジメンタルタイを合わせています。
バリエーション
バリエーションとして、春になり気候が暖かくなって来たので、季節感のある黄色のネクタイを合わせています。オーソドックスな黄色の小紋タイは、マリネッラのネクタイを合わせ、ベストとして、タイユアタイで購入した、水色のカシミアカーディガンを合わせています。
同じ黄色のタイでも少し、遊びの要素を入れてみたくなったので、エミリオプッチのイエロータイを合わせています。プッチのネクタイには、FRAYのコットンポプリンのサックスブルーのオープンカラーシャツを合わせています。
靴とベルト
ベルトは、ブリオーニの型押しカーフのベルトを選んでいます。型押しカーフを選んだのは、合わせる靴を、マリーニの型押しされたセミブローグのオックスフォードを選んだからです。
私自身、ポケットチーフは、滅多にしないのですが、折角なので、ブリオーニの海島綿の白を胸にさしています。
1.ブリオーニのシャツとタイ

ブリオーニのシャツは、生地が上質で程よい質量があり非常に着心地が柔らかい事が特徴です。
Brunicoのスーツを購入した際、Brioniのスタッフの方とシャツやタイを選びます。非常に中庸でぱっと見は、特徴のないシャツに見えましたが、実際に手に取ると、生地のクォリティーが高く、しっかりしていながら、柔らかい上質な生地を使っています。
襟の形や、身幅が、Brunicoに合わせて作られているので、シャツはBrioniのシャツを選択することでバランスが良くまとまります。
コットンポプリンではなくオックスフォードを選んでいますが、完全なフォーマルより、日常性を考慮し、私はシャツはオックスフォード地のものを好みます。愛用するシャツは、自分で手洗いし、洗濯機で脱水のみを行い、アイロンも自分でかけます。
オックスフォード地の良さに生地の程よいボリュームからアイロン掛けしやすいことがあります。コットンポプリンは生地が薄い為、襟や袖の生地が重なる箇所に小皺が出やすく、アイロン掛けにコツと手間が必要なので、常用するシャツはオックスフォードが多く、少しフォーマルな席で着るのがコットンポプリンのシャツとなります。
2.バリエーション

FRAYのシャツは襟のロールが綺麗に出ますので、長年愛用しています。フライの定番であるコットンポプリンシャツは、ベーシックな白とサックスブルーを良く身につけます。私は、赤や黄色のネクタイを好みますが、昨今している方をあまり見かけなくなりました。
FRAYのシャツで思い出すのは、2000年代半ばに、AMEXの機関誌ディパーチャーズの記事で、あなたが、米国の投資銀行の役員と仮定し、月曜朝一番のミーティングにどのような装いで、出席するか?というテーマがあり、スーツはブリオーニ、靴はジョンロブ、シャツは?といった内容であり、候補は、ターンブルアンドアッサー、シャルべ、FRAYというものでした。
結論は、格式や伝統を考えたらターンブルアンドアッサーというものでしたが、シャルべの生地や柄、FRAYの作りの良さが述べられており、最終結論が、会議はターンブルアンドアッサーのシャツを着て出席するが、それ以外の装いはFRAYを選択するといった内容になっています。
FRAYのシャツは非常にオーソドックスな作りながら、襟の形が非常に綺麗で作りも良く、タイを締めた際に、ノットが綺麗に収まり、襟のロールが非常に綺麗に出ます。そのことで、割とラフにネクタイを締めても首元の収まりが良い事から、スーツに合わせるシャツとして長年愛用しています。
3.インナーベスト

タイユアタイで購入した、カシミアカーディガンになります。袖なしなのでネイビースーツのインナーに着用します。
タイユアタイの記事で2つの宿題が残っているという話をしていますが、一つの宿題がこのカシミアベストであり、タイユアタイの当時の提案は、ネイビースーツのインナーには焦茶かレモンイエローのカシミアベストを合わせるというものでした。
当時30代の私の感性では、焦茶?レモンイエロー?となり、よりコンサバな同系色の水色を選択してしまいましたが、20年を経て私の感性も変わり装いに対してニュートラルに考えられるようになると、当時、タイユアタイで提案された、ネイビースーツには、焦茶やレモンイエローのベストを選択すれば、組み合わせの妙をもう少し高い次元で楽しめたのではと考えています。
4.マリーニ

靴は同じローマのマリーニのオックスフォードを合わせています。マリーニの靴は、リュマ革というアンデス地方の山羊の革で作られており、非常に柔らかい履き心地です。
タイユアタイのもう一つの宿題がこのローマのマリーニの靴になります。本来タイユアタイのスーツに合わせるのがベストですが、今回、同じローマのスーツである、ブリオーニに合わせています。当時その高価な金額から手に入れられなかった靴ですが、年月を経て手に入れています。
よりタイユアタイのテイストを出すのであれば、マリーニの定番であるUチップのダービーになります。このUチップのダービーも後日手に入れています。
この事で、ネイビースーツに、1.焦茶かレモンイエローのベストを合わせる、2.マリーニの靴を合わせるという、当時残した2つの宿題の一つである、マリーニの靴を合わせるという宿題を片付けています。
5.1990年代のボンドスタイル

BrioniのスーツにOMEGA Seamaster Ref. 2532.80をつけると、ピアースブロスナン時代のボンドの装いになります。本質は、007という話題性より、世界基準の紳士の振る舞いや、装い、アクティブな行動力を持つ紳士という男性像を表現してくれます。
Brioniは高価であり高級スーツというイメージがありますが、細部にわたり作り込まれたフォルムと、着た人のスタイルを最良の形で表現する為の上質な生地の選択により、服飾なので、性能という評価基準はありませんが、工業製品として例えるならば、最高の素材と高度な製造技術で作られた高性能な工業製品という側面もあります。
今回合わせたスタイルは
- スーツ : Brioni Brunico Super160’s ミッドナイトブルー
- オックスフォードシャツ白 : Brioni オリジナル
- ネイビー無地タイ : Brioni
- ネイビーレジメンタルタイ : Brioni
- シボ革型押しベルト : Brioni
- コットンポケットチーフ : Brioni
- サックスブルーコットンポプリンシャツ : FRAY
- イエロー小紋タイ : マリネッラ
- イエロー柄タイ : エミリオプッチ
- カシミアカーディガン : タイユアタイ
- 型押しセミブローグオックスフォード : マリーニ
- ブラウンハット エルメス バルタザール
といった形で合わせています。
ネイビーでまとめたスタイルは全てブリオーニで統一しています。
※ 記事が長いので、3ページ構成になっています。続きは以下にてご覧いただけます。
