Tie Your Tie Kiton

スーツを常時着用しなくなり久しいのですが、心境の変化から、スーツ同様に履いていなかったJohn LobbのBarrosを再び履き始めています。そのような心境の変化から、スーツに合わせて履いていた黒のダービーシューズを履きたくなり、スーツをまた着ようと考えています。着用機会としては、若い時に着ていた仕事用のスーツというより、日常で着ることを考えています。

クローゼットで眠っていたスーツを取り出し久々に着てみると、当時の印象と異なった感触があります。私の感性も当時と変わっているので当たり前ですが、当時気がつかなかった新たな発見があります。

今回は、20年前にTie Your Tieで購入したKitonのスーツを紹介します。

Tie Your Tie

イタリアのクラシックなスーツやジャケットスタイルが好きな方であれば、知らない人がいないフィレンツェの名店です。イタリア一の洒落者と言われ、ウエルドレッサーとしても有名な、フランコミヌッチ氏がオーナーのお店です。

Kitonやアットリーニを始め、イタリアのクラシックスタイルが好きなら聞いたことがないくらい上質なスーツやジャケット、リガッティのシャツやロータのパンツ、マリーニやイルミーチョの靴、ネクタイや小物などをミヌッチ氏の優れた審美眼でセレクトし独自のアレンジを加え販売していました。

有名なのは、フィレンツェのサルトであるセミナーラのビスポークや、靴ではローマのマリーニのビスポーク、後に世界的に有名になる深谷秀隆氏のイルミーチョのビスポークなどがあります。Kitonやアットリーニなど既成服もタイユアタイ独自の世界観で別注しています。

オリジナルネクタイのセッテピエゲ(芯地無し7枚織ネクタイ)は有名で、他にもタイユアタイが、イタリアのクラシックなスタイルに留まらず、後のアパレルに与えた影響力は計り知れないのですが、世間のトレンドなどには左右されない、本質的な男性の装いを提案した、世界にも類を見ない、本当の洒落者が集うようなお店でした。

扱う商品の世界観が凄く、ミヌッチ氏の美意識が徹底され、価格度外視の高価な商品展開でしたが、世界中にファンを持ち、有名なところではサッカー選手の三浦知良氏も愛用していました。

日本には東京と大阪にお店があり、一時は高感度なファッションメディアや高級男性ライフスタイル誌にも良く取り上げられていましたので名前を耳にした事があるのではないでしょうか。

現在、オーナーであるフランコミヌッチ氏が永眠してしまった為、お店はなくなりましたが、名前を冠したネクタイの展開は今でも続いています。

Ciro Paone – Kiton創業者

私が愛用するタイユアタイのスーツは、タイユアタイがナポリのKitonに別注をかけたスーツになります。ちょっと燻んだダークネイビーの秋冬用の厚手のウール生地で、うっすらとグレンチェックの模様になっています。

襟はハイゴージライン、袖はマニカカミーチャ、フロントダーツ、サイドベンツ、トラウザーズは、股上が深く、ツープリーツの少し太めのテーパード、といったナポリのKitonのスタイルを、程よい身幅や、リラックスした肩周りなどのバランスを取り、生地選びも含め、ナポリと異なるフィレンツェのセンスをミックスしてまとめた仕様になっています。

タイユアタイ別注はタグがKitonではなくCiroPaoneとなっています。

A classic Italian tailored suit

参考までにイタリアのスーツスタイルは、地域により特徴があります。簡単にまとめると、都会的なローマのブリオーニ、ミラノはモード的な、アルマーニやトムフォード、ナポリは、クラシックなスタイルで、Kitonやアットリーニなど、フィレンツェは少しリラックスしたスタイルのリベラーノリベラーノなどが日本で良く知られています。

アルマーニやトムフォードはブランドとしても有名でイメージしやすいのですが、整理すると、ブリオーニやKiton、アットリーニはサルト(仕立て屋さん)が大きくなり、自社製造の工場を持つメーカーであります。ナポリのアントニオパニコや、フィレンツェのリベラーノリベラーノが、個人経営で仕立てを専門で行う仕立て屋さんでサルトと言われています。

ナポリやフィレンツェのスタイルに深くハマると、サルト(個人経営の仕立て屋さん)に辿り着きます。日本でも一時、扱いがあったアントニオパニコや、ピロッツィ、チャルディ、ソリートなどのナポリのサルトや、フィレンツェのリベラーノリベラーノは、サルトになり基本はビスポークのみの完全フルオーダーが基本になります。

サルトには、それぞれ得意なスタイルがあり、そのスタイルが自身に合うと、既成服では表現できない装いを構築できます。ただ金額面や納期の問題、生地選びなどにある程度の経験がないとなかなか思ったものにならない事や、装いをトータルで考え、着用するイメージが出来上がっていないと難しいと思います。

Classic.

イタリアのスーツやジャケットを総じてクラシコイタリアと評する事があります。このクラシックという言葉は的をえていて、スーツやテーラードジャケットは元々制服から発展した男性の装いで、暗黙のルールや、変えられないディテールが含まれています。決まりやルールが固定され、その中で自己表現をするのは、作曲家が書いた譜面(譜面は作曲家の意図が残されています。)を基本に解釈や理解度を表現する音楽のクラシックと共通点があります。

Tie Your Tie Kiton ジャケットスタイル
Tie Your Tie Kiton ジャケットスタイル

Kitonは、同ナポリのアットリーニやパニコなどの英国流の構築的なスーツを得意とするテーラーに比べて、肩を少し寝かせ、身幅が広く、中庸なシルエットになっています。タイユアタイの別注はその特徴を活かしフィレンツェ流のゆったりしたスタイルで構築されています。

Tie Your Tie Kiton 茶のタイとの組み合わせ
Tie Your Tie Kiton 茶のタイとの組み合わせ

茶系や紫系などの、トーンを抑えつつも、色の組み合わせを楽しむネクタイを合わせるのが、タイユアタイのスタイルの特徴でした。風でネクタイが捲れてしまい返ってしまっていますが、これはタイを上手く結んでいない私のミスです。

Tie Your Tie Ciro Paone
Tie Your Tie Ciro Paone

Kitonの表示ではなく、チロパオーネと書かれていますが、Kitonの創業者であるチロパオーネ氏の名前であり、タイユアタイが別注したKitonのスーツやジャケットはチロパオーネ名になっています。この辺りの経緯や人間関係も非常に面白いのがイタリアのクラシックスタイルの特徴でもあります。

Tie Your Tie Kiton マニカカミーチャ
Tie Your Tie Kiton マニカカミーチャ

マニカカミーチャと言われる、袖付の特徴でもある、ハンガーにかけた時に皺が出ています。生地の柄がうっすらとグレンチェックになっています。

Tie Your Tie オックスフォードシャツ
Tie Your Tie オリジナルオックスフォードシャツ

シャツは、タイユアタイのオリジナルシャツを合わせて、数枚購入しています。オックスフォード地のシャツですが、非常に柔らかく着心地も良いのが特徴です。私はシャツの襟裏についているプラスチック製のガードはしないので、購入時に外してしまいます。良いシャツは、襟先が綺麗にロールして浮きませんが、タイユアタイのシャツも襟のロールが非常に綺麗に出ます。

Tie Your Tie セッテピエゲのタイ
Tie Your Tie セッテピエゲのタイ

ネクタイの色がらは茶色の変則のドットになっています。タイの作りは、芯地がない7つ織のセッテピエゲになっています。ナポリのマリネッラもセッテピエゲのタイを展開していますが、タイユアタイのセッテピエゲの方が生地が薄く、目を詰めすぎていない為、力の抜けた感があります。私はフォーマルならマリネッラ、遊びの要素を入れるならタイユアタイを選択します。

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