Tie Your Tie Kiton

着用例

タイユアタイのスーツ、シャツ、タイに、John Lobbのダービー、オメガのシーマスターを合わせています。

Jazzからの影響

私は、スーツは基本紺無地を好んでおり、購入したスーツの大半は紺無地です。当時のタイユアタイの既成スーツは紺無地を展開していなかったので、スーツを購入する際に、漠然とイメージしたのは、60年代のマイルスやコルトレーンが着ていたダークスーツになります。

マイルスのスーツといえばマイファニーバレンタイン(フォアアンドモアと同一日のライブ版です)のジャケット写真のイメージがあります。マイルスはダークネイビーのスーツにレギュラーカラーの白シャツと大盤ドットのダークネイビーのタイを合わせています。私の写真でサングラスをしている影響はロリンズとなります。(これは冗談ですがロリンズはヴィレッジバンガードの夜のジャケットのサングラスをしているイメージがあります。)

私が、ジャズを夢中に聴いていた学生時代は残念ながら、インターネットや有料放送もなく、映像でミュージシャンを観る機会がないので、ミュージシャンのイメージはアルバムのジャケットくらいしかなかったのですが、モダンジャズ期のジャズミュージシャンはステージに上がる際は、必ずスーツを着用しており、体格も良く非常にカッコ良いイメージがありました。

今のネット配信時代では考えられないのですが、ミュージシャンの情報やアルバム批評はライナーノーツを読み得ていたのですが、若い頃読んで感銘を受けたライナーノーツは漠然とですが覚えており、そのアルバムの聴いたイメージと被って記憶しています。

情報も今のように豊富ではなかったので、色々なアルバムを探すきっかけが、吉祥寺のメグのオーナーである、寺島靖国氏が書いた辛口ジャズノートという本が私のジャズの入り口になっています。寺島氏の視点が非常に面白く、生粋のモダンジャズファンでありながら、ギター(ジョニースミス)やアルヘイグの話など一般的なモダンジャズファンとは異なる嗜好も面白く何度も読み返しています。

マイルスデイヴィス

余談ですが、私自身がマイルスは大好きで、特に愛聴したのが、マイファニーバレンタインからインアサイレントウェイまでのアルバムになります。ESPなどはジャズ史に残る名盤であり、マイルスのジャズに対するアプローチが、名手揃いの黄金のカルテットでより鮮明に見えるアルバムであり、私自身がマイルスのブルース感のようなものも見つけることが出来たアルバムです。

確かジャズ理論に関わる書籍でESPの解説があり、流麗でわかりやすいショーターのブルース感とマイルスの捻ったブルース感についてのフレーズの解説もなるほどというものでした。

寺島靖国氏の書籍の中で、マイルスは生涯においてストックフレーズ(ロックギターなどで言う手癖です)は一度しか使っていないといった内容のコラムを読んだ覚えがあるのですが、生粋のインプロバイザーであり、パーカー(ガレスビーの影響の方が大きいかもしれません)から伝承したジャズの本質を生涯に渡り進化させ続けたマイルスの偉大さを物語っています。

ライナーノーツに書いてあったのですが、マイファニーバレンタインとフォアアンドモアは、マイルスがチャリティーとして出演したコンサートなので、ライブ前にメンバーに今日のコンサートはノーギャラと伝え、不満を隠せないメンバー間に不穏な空気が流れたまま演奏しており、異様な緊張感とエネルギーが溢れたアルバムで、全編メンバーのテンションが尋常ではない演奏が楽しめる名盤です。(後日マイルスはメンバーにギャラを払ったそうです。)

スーツの装いに関する記事が音楽ネタに転んでしまい恐縮ですが、何気なく来ているスーツやデニムにも、私自身、文化的側面である音楽や映画などから影響を受けています。

1.全身のスタイル

Tie Your Tie Kitonのスーツ全身スタイル
Tie Your Tie Kitonのスーツ全身スタイル

少し大きめのスーツを着用している感じがしますが非常にクラシックなスーツのシルエットになっています。下に提示した写真を見ていただくと、横から見たスッキリしたシルエットと後ろから見た逞しく見えるシルエットからこのスーツの真意が見えてきます。

2.サイドシルエット

Tie Your Tie Kitonのスーツ、サイドシルエット
Tie Your Tie Kitonのスーツ、サイドシルエット

前から見た大きめに見えるシルエットが横から見るとスッキリと見えます。肩から胸、脇の絞り、お尻に向かっての膨らみが男性を男性的に見せる最大限の工夫が致されています。

3.バックシルエット

Tie Your Tie Kitonのスーツ、バックシルエット
Tie Your Tie Kitonのスーツ、バックシルエット

私が感銘を受けこのスーツを購入するきっかけが、この後ろ姿のシルエットになります。肩のワイドさ、腰のくびれ、お尻に向かっての広がり方、ボトムの程よい太さが立体的で奥行きを感じ、男性的でクラシックなスタイルを見事に作っています。

4.前を開けたスタイル

Tie Your Tie Kitonのスーツ、前を開けたスタイル
Tie Your Tie Kitonのスーツ、前を開けたスタイル

フロントボタンを開けても、クラシックなスタイルは崩れません。タイの長さと質感が絶妙で、小剣が長く出てしまってもバランスが崩れません。

5.トラウザーズのシルエット

Tie Your Tie Kitonのスーツ、トラウザーズのシルエット
Tie Your Tie Kitonのスーツ、トラウザーズのシルエット

トラウザーズの太さも絶妙でジャケットを脱いでも男性的なシルエットがしっかり出ています。

6.トラウザーズの腰回り

Tie Your Tie Kitonのスーツ、トラウザーズ腰回りのシルエット
Tie Your Tie Kitonのスーツ、トラウザーズ腰回りのシルエット

股上が深いツープリーツのトラウザーズですが、腰周りの綺麗なシルエットが体格を良く見せてくれる効果があります。ネクタイが風で丸まってしまいますが、同じセッテピエゲでも厚手のマリネッラと違い、薄く生地を詰めていないタイユアタイのネクタイは、形が崩れやすい特徴があります。この特徴の良さに、人の動きでネクタイの表情が出せる事があり、細かな事ですが、所作まで含めた装いを提案したミヌッチ氏の哲学を感じます。

7.ヒップ周りのシルエット

Tie Your Tie Kitonのスーツ、トラウザーズヒップ回りのシルエット
Tie Your Tie Kitonのスーツ、トラウザーズヒップ回りのシルエット

お尻も男性的ながっちりしたシルエットがしっかり出ており、体格を立派に見せてくれます。

8.斜めからのシルエット

Tie Your Tie Kitonのスーツ、斜めからのシルエット
Tie Your Tie Kitonのスーツ、斜めからのシルエット

正面より、斜めから見たシルエットが綺麗なのは、立体的にスーツを構築する高い技術が生み出しています。風でネクタイが捲れてしまっているのは、撮影後に気がつきました。長年着ていない事で、ネクタイの軽さを忘れていた事が原因です。

組み合わせ

  • スーツ : Ciro Paone (タイユアタイKiton別注)
  • シャツ : タイユアタイ
  • タイ : タイユアタイ
  • 靴 : John Lobb Darby
  • 時計 : オメガシーマスター Ref.2532.80
  • 帽子 : エルメス バルタザール ブラウン

おわりに

John Lobbのダービーの記事を書く為に、スーツと合わせた写真を撮ろうと考え、クローゼットに眠ったスーツを出して着てみたら、新たな発見があり記事にしています。

日々着ていた時期から20年の時間の経過がありますが、現代に着てもクラシックな魅力に溢れた優れたスーツです。合わせたシャツやネクタイを含め、クラシックで魅力的に見える理由を考えていくと、タイユアタイというお店、オーナーのフランコミヌッチ氏の哲学や、その哲学を実現するための服作りの意味が見えてきます。

購入当初は、そこまで深く考えずに着ていましたが、なぜこのスーツを選び愛着を持てたのか?の漠然とした答えが20年後に解けたような感覚を得た記事になりました。

スーツだけでなく、当時していた時計や、靴、イメージしたマイルスのスーツから、ジャズに関わる記事と内容が脱線してしまい、非常に読みにくい記事となってしまっていますが、私の漠然としたスーツに関わる装いの意味を整理出来た記事でもあります。

Shop

タイユアタイが閉店してしまっているので、ショップ情報の紹介はありません。過去の回顧的な記事ですが、現代の装いにおいても参考になる要素は多々ある優れた商品展開をしたお店であり、私の男性の装いに対する考えの方向性を示してくれたお店でもあります。

当時のタイユアタイの提案で、当時できなかった二つの宿題のうち、一つをのちに片付けています。機会があれば年月を経て片付けた宿題の答えも記事にしてみたいと考えています。

フランコミヌッチ氏への追悼と感謝の意を込めて Shinichiro Takeda

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