Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット
ブルネロクチネリが展開する、メタルボタンのダブルのブレザー。色はネイビーではなく黒、素材は非常に柔らかいコーデュロイを使用したジャケットになります。
形がワンアンドハーフブレスト、アンコンストラクテッドフォーマルジャケットという、ブルネロクチネリ独自の、ダブルながらボタンを絞めなくてもジャケットが開きすぎない絶妙なシルエット。芯地をあまり入れないリラックスした着心地ながら、フォーマルでもカジュアルでも着こなせる優れたジャケットになります。
アメリカンなブレザースタイルを、ブルネロクチネリ流の、遊びの効いたスタイルでありながらも、抑揚を効かせたデザインでまとめた事で、様々なスタイルで着こなしを楽しめるブレザーです。
基本的な着こなしは、ジャケットは黒の柔らかいコーデュロイ、トラウザーズは、白でジャケット同様柔らかいコーデュロイ、合わせるシャツは、これもブルネロクチネリの、上質で柔らかいコットンを使用したウエスタンシャツ。足元は、スニーカーよりも柔らかく履きやすいスエードペニーローファーといった、ブルネロクチネリが提案する、リラックスしながらも上品で崩れない遊びの効いた世界観で楽しんでいます。
ブルネロクチネリが提案するセットアップを基本で楽しみながら、もう少しラフに着こなしたい時は、ヴィンテージの501XXや、生地にジャーマンコーズを使用した、5ポケットタイプのベージュで細身なコットンパンツなどを合わせて楽しんでいます。


はじめに
今回、紹介するブルネロクチネリのコーデュロイのジャケットは、メタルボタンを使用した、所謂ブレザーのスタイルになっています。私が初めて購入したブルネロクチネリの服であり、それまでしなかった、ジーンズにジャケットを合わせる着こなしをするきっかけになったジャケットであり愛着も強いです。
スマートカジュアル
3年ほど前、私が所属する、同好会の記念式典のお手伝いをすることになりました。記念式典のドレスコードが、スマートカジュアルでしたが、スーツは普段あまり着用しないので、最近のものは所有しておらず、20年前にタイユアタイで購入したスーツで出席すればと考えていました。そんな中、急遽、ノベルティでボタンダウンシャツを作り、チャリティでメンバーに購入してもらう企画が上がります。
友人から頼まれ、記念式典の受付で、ボタンダウンシャツの販売を担当することになります。販売する都合上、ボタンダウンシャツを身につける必要があり、着用時の見本となるようスーツではなくブレザーが必要になります。
当初、ブルックスブラザースで、ネイビーブレザーとグレーのトラウザーズを購入すれば良いと考えていたのですが、この年ネイビーブレザーが一つのトレンドになっており、私のサイズの在庫が売り切れています。
そのような状況でしたので、急遽ブレザーを探しますが、好みに合うブレザーがなかなか見つかりません。
何か良いブレザーはないかと探している中で見つけたのが、今回紹介する、ブルネロクチネリのコーデュロイジャケットになります。このジャケットを選んだ一番の理由が、出席する同好会の、記念式典のドレスコードであるスマートカジュアルにちょうど良く、ノベルティで作成したボタンダウンシャツを最高な形で引き立ててくれます。
私自身、ネイビーのブレザーと、グレーのトラウザーズの組み合わせは大好きで、普段着る機会はありませんが、若い頃、おしゃれな先輩に教わった”ブレザーは面白いジャケットで、若い人が着ると落ち着いた雰囲気で大人っぽく見え、歳をとってから着ると若く見える便利な服なので、一着は持っていると良いよ”の一言が頭に残っています。
ブルネロクチネリ
当ブログで幾度か紹介しており、素材や作りのクォリティは当然ながら、展開する服全般に、主張はありながらも一歩引いた控えめなスタイルや、お店のスタッフさんの気さくな対応ながら、スタイリングや着こなしに対する非常に高いプロ意識など、商品から販売まで感銘を受ける、ファッションを超えた、服を基準に上質なライフスタイルを提案するスタンスが大好きなブランドです。
価格帯が相当高めなので、私自身おいそれとは購入するものではありません。また価格帯から購買層の年齢層も相応に高い事も特徴です。高価格帯ながら、世界中で愛されており、熱心なリピーターが多い事も特徴です。そんなブルネロクチネリですが、私が懇意にしているスタッフさんとの会話で出てきた言葉が、ブルネロクチネリというブランドのスタンスを物語っています。
非常に高価で、ブランドも有名ですが、プレスなどにも頻繁に登場し、ブランドイメージを作り出す、ブルネロクチネリ氏が、普通のおじさんであり、スタイルやルックスが特別良いわけではないが、ブルネロクチネリ氏の社会活動の素晴らしさや、ライフスタイルを含めた品格があり、歳を重ねて、若い時のような体格を持たなくても、上品でおしゃれに着こなせている良い見本となっている、といった言葉がブルネロクチネリの衣服に対して非常に的を得ています。
普通のおじさんでも着れる上質な服、という表面的な側面だけでなく、スタイルの良い方などが着ても、スタイリッシュながら、どこかやりすぎない節度が品格や知性を感じさせる服でもあります。
この品格や知性というのがブルネロクチネリの本質で、最後は身につける人のアイデンティティが表現される服であり、そのアイデンテティを、最大限活かせる服でもあります。若い人が着れば、フレッシュな若さやカッコ良さに繋がり、相応に歳を重ねた人が着れば、人生経験から来る品格や知性が表現されるとも言えます。
衣食住という言葉があり、人間の生活の三大要素の一つでもある衣は、人が生きていくには何かを身につけなくてはいけません。もう少し深読みすると、この衣は社会性に対する個の存在を明確にするものでもあります。
巨大産業であるアパレル業界は、この社会性に対する個の存在をどう表現するかで鎬をけずっているとも言えます。ただネット時代になり、この衣に対する意識が変わり、いくつかの言葉やキーワードが最重要視され、長年かけて作り上げた、伝統や、衣の最適解や個性すら、短期のトレンドとして消費されてしまうようになっています。
ブルネロクチネリは、この短期のトレンドから最も遠いブランドであり、高価な理由も、最高の素材と、イタリアにいる最高の職人が作り上げるクォリティ、人間の尊厳として、働く人や関わる人に利益を還元する姿勢、関わる人の幸せを願い、衰退した本拠地の村おこしを行う社会性と意義、異国である、日本の販売スタッフにも同様な待遇、各店舗にイタリアの職人同様の技術を持つスタッフの配置を行い、販売した服のケアを高次元で行うことで、購入した顧客に良いものを長く大事に使っていただく事を実践しています。
このように優れた活動は、全てにおいて非常に時間がかかります。このことが、今の時間の流れとは別の時間の流れを作り出しています。その時間の流れが、優雅な時間の流れとなっていて、ブルネロクチネリの服を深く理解するほど感じ取る事が出来ます。
目に触れたり、耳にしやすい、表面的な価値観ではなく、本質的な価値を創造することを実践し続けていることで、企業の価値や、扱う商品の価値を上げています。この事は、現代のマスや、マーケティングとは異なる価値観で、クリエイティビリティを確立した既有な企業であります。その展開する服は、品質や、ファッション性と同時に、控えめでありながら、着る人の個性を引き出す工夫が凝縮されており、その制作過程やコンセプトから一元する一つの哲学を感じる事もできます。
少し堅い話となりますが、私自身が、そのような企業スタンスを含めたトータルでブルネロクチネリに敬意を持っており、この事からブルネロクチネリの大ファンであり、少し無理をしても身につけたいと考える理由です。
ブルネロクチネリのスタイル
これまで、ブルネロクチネリの春夏のアイテムを当ブログで紹介していますが、秋冬のアイテムを紹介したことがありませんでした。春夏のスタイルではジャケットは紹介しましたが、トラウザーズは持っていなかったので、今回ジャケットとトラウザーズをセットアップで着るスタイルを紹介しています。
ブルネロクチネリの展開する商品で有名なのは、カシミアニットがまず浮かびます。私も数枚持っていますが、カシミアニットの品質は非常に高く、軽く暖かいのは当たり前で、耐久性も高いことが挙げられます。この耐久性は車に乗ってシートベルトをするとわかります。他のカシミアニットはどうしてもシートベルトが当たる部分に毛玉が出やすく着用した後、この毛玉を取るため石川のブラシで手入れを入念にする必要があります。
ブルネロクチネリのカシミアニットは、他のカシミアニットに比べ、このシートベルトのあたりで出る毛玉が出にくい耐久性を持っています。何故毛玉が出にくいのか詳しくはわかりませんが、撚糸などの工夫をしていると考えられます。少し硬めのカシミアニットであればなんとなく理解できますが、ブルネロクチネリのカシミアニットは柔らかいのに毛玉が出にくい耐久性を持っています。
カシミアや、上質なウールを使用したスーツやコートも展開しており、どれも、非常にハイレベルな仕立てを行っているので、好みの柄や着るシーンに応じて、生地の柄や生地の厚さ、セットアップか単独かで組み合わせるかなどを選択すると、どれも上質で着心地が良くスタイリッシュな着こなしが楽しめます。
ブルネロクチネリは、秋冬シーズンの素材で、コーデュロイを使用することも多く、上下のセットアップをコーデュロイでまとめてしまうスタイルもいくつか展開しています。ブルネロクチネリのコーデュロイの特徴は、生地が非常に柔らかく軽いので、一般的なコーデュロイのイメージで着てみるとその着心地の良さに驚きます。
ブルネロクチネリは、服の色にもこだわりがあり、自然界にあるものをモチーフに配色しています。私が購入した黒のコーデュロイですが、ブルネロクチネリの黒は珍しく、他に黒のジャケットを探すと見当たりません。
本来、ブレザーはダークネイビーが基本ですが、セットアップで揃えた、同傾向の生地で仕立てられた、白のトラウザーズと組み合わされると、黒と白での組み合わせながら、フォーマルになりすぎず、少し力の抜けた、程よいスタイルが出来上がります。今回、海沿いで撮影して気がつきましたが、マリンスタイルのイメージもあります。
この上下のセットアップに、ブルネロクチネリの、程よく褪色したウエスタンシャツを合わせています。このウエスタンシャツも、デニム生地などではなく、通常のシャツ同様、少し厚めの非常に柔らかいコットンのツイル生地で作られています。
通常、黒のジャケットに、ブルーのシャツを合わせることはないのですが、この組み合わせは、非常にまとまりが良く洗練されています。組み合わせた自身の写真を見ても違和感がありません。
このように、私個人が考える以前に、ブルネロクチネリが提案するスタイルは、非常に洗練されています。個々のアイテムが、如何様にでも組み合わせられる寛容さを持っているので、ブルネロクチネリの服を揃えて行っても、着れなくなるアイテムがないことも、ブルネロクチネリの熱心なリピーターが多い事につながっているのではないでしょうか。
実際のブルネロクチネリの着こなし
私が古着やアメカジなどカジュアルな格好が好きなので、私が普段着用する古着などのアイテムと、ブルネロクチネリを合わせて着る機会も多く、フォーマルではない着方をするのであれば、私自身このスタイルがしっくりきます。
服の考え方に、どこで誰と会うといった考え方があり、例えば近所の散歩などでは、ここで紹介しているブルネロクチネリを着る事はありません。(流石にトゥーマッチです)
ブルネロクチネリはリゾートウエアとも言われていますが、日本において、海外の富裕層のようなリゾートスタイルが日常にある方は稀で、どちらかと言えば、都会的な服として着られている方が大半ではないでしょうか。
私は、遊びの要素が許される、少しフォーマルな席(式典やパーティー、少し格式のある食事など)では上記で紹介したブルネロクチネリが提案するスタイルをします。(このような機会は日常では少ないので少し気恥ずかしいところもあります)
もう少しカジュアルな外出(家内と銀座や表参道などの繁華街に買い物やカジュアルな食事など)である場合、全てブルネロクチネリではなく、ボトムにリーバイスなどジーンズや、別のインナーなどを合わせるスタイルをします。このような気崩したスタイルでも崩れない寛容さをブルネロクチネリの服は持っています。
以下に着用例の写真をいくつか紹介します。私がモデルさんのような優れたルックスではないので参考にならないですが、雰囲気は掴めるのではないでしょうか。
着用例
今回の記事は、写真が上手く撮れていないので、その2に取り直した写真をまとめています。







ディテール
- メタル製6つボタンで開閉
- ピークドラペル
- スリットポケット
- チケットポケットと胸にポケット
- 袖口には本切羽のボタンホールを施しメタル製のボタンを4つ使用
- 全体にキュプラ製ライニング
- ボタン式インナーポケット2つとペンホルダーポケッ
- 後ろ身頃にサイドベンツ ドロップ 7
- 100% コットン
組み合わせ
- ジャケット : Brunello Cucinelli
- ウエスタンシャツ : Brunello Cucinelli
- 50’s コーデュロイシャツ
- コーデュロイトラウザーズ : Brunello Cucinelli
- Denim : Levi’s 501XX 1954
- 5ポケットコットンパンツ : Visvim
- 帽子(赤) : Brunello Cucinelli
- 帽子(グレー) : LEUCHTFEUE
- 時計 : Rolex Day Date (1803 1969)
- サングラス : Oakley
- ベルト : Brunello Cucinelli
- 靴 : Brunello Cucinelli スエードペニーローファー
おわりに
今回紹介した、コーデュロイジャケットが、私がブルネロクチネリの服を着るきっかけになっています。この事で、それまでの服に対しての考え方を変えるきっかけになり、ターニングポイントになったジャケットです。
服を作り、販売されたものを購入し身に付けるという一般的なプロセスだけでなく、その背後にある、哲学や思想について考え、感銘を受け、共鳴するというのは初めての事でした。
過去にも、他のブランドを着た時に、何度か感覚的な理解はありましたが、理由を考え着ることで、感じ納得したのはブルネロクチネリが初めてです。この感じるという事を意識して考えるのは、スタイリングより、着心地の良さや動きやすさの方が大きく、その理由が上質な素材と作りの良さに起因しています。
商品を作る側が、手間暇を惜しまず、商品を身に付ける顧客を第一に考える事は当たり前に行い、その行為を敢えて表に出さず、評価は商品とサービスに委ねる、といったブルネロクチネリのスタンスは、一時流行った、お持て成しという言葉の真理であり、この哲学が真のラグジュアリーという言葉の実践ではないかと感じています。
Shop
私のブルネロクチネリの商品は、Brunello Cucinelli銀座店で購入しています。
フィールドジャケットの記事でも述べていますが、商品やお店だけでなくそこに関わる人も含めて最高のお店ですので、一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
お店については、フィールドジャケットの記事で詳しく説明していますのでそちらを参照ください。