Film 写真を楽しもう Leica M3
Filmの写真は、現代のデジタルに比べ面倒ですが楽しいです。
はじめに
今回はフィルムライカをご紹介します。
ライカは世界中にファンの多いカメラで、所謂Mと言われる、レンジファインダーのカメラが有名です。
私もライカのカメラは大好きで、初代のA、M3、M4のフィルム3台と、MD(Type246)、MMono-Chrome初代、M10-Rブラックペイントのデジタル3台を所有しています。今回紹介する写真はM型ライカの初代で代表作でもあるLeica M3で撮った写真を紹介していきます。
距離計で撮る?LeicaM3から始まるM型ライカの簡単な説明
ライカについて解説された書籍やサイトは多数あり、話すと本一冊とかの話になるので、ここでは割愛しますが、M形ライカのレンジファインダーとは、簡単に言えば距離計連動したフレームで、二重像を合致させると、ピントが合うという仕組みで、レンズで見た被写体にピントを合わせるのではなく、距離計の別窓に写っている被写体にピントを合わせて撮る仕組みになっています。
一眼レフカメラはレンズを通して実際に映る被写体に対して、ピントを合わせて行きます、その時、F値が1.4とかなら背景と被写体のピントの差(被写界深度)もファインダーに見えて綺麗に背景がボケているといった事がファインダーで確認しながら実際に映る通りに撮影できますが、ライカはレンズを通していないので、素通しのままの被写体が見えていて、距離計が被写体にピントが合っているということだけが二重像の合致でわかり、それをガイドに写真を撮って行きます。
この距離計で撮る仕組みのおかげで、レンズに書いてある被写界深度や距離の情報が極めて正確で、被写界深度の精度も高いので、少し絞った状況で、被写界深度をガイドに写真が撮れてしまうので、ファインダーを覗いてピントをいちいち合わせなくても、被写界深度内に被写体を入れてしまえばピントのあった写真が撮れてしまいます。
これが、良く言われる、ライカの速射性という話で、実際昔の新聞記者が、手取り(手を伸ばして頭の上にカメラを構えて、多数の報道陣の中確実に、写真を撮ってくる)でタレントや政治家を撮っています。
M形ライカの商品解説や機械の説明、蘊蓄は世の中に多数あるので割愛して、フィルム写真をライカで楽しむという話ですので実際にLeica M3で撮った写真を並べてフィルムの種類を解説しながら紹介して行きます。
(フィルムは現代で言えばイメージセンサーで、カメラ本体とも言えます。)
Filmは大きく3種類
フィルムは大きく分けて、カラーとモノクロとあり、カラーはリバーサルとネガ、モノクロはネガとなります。
写真を撮る時に、このリバーサルと、ネガの特性を理解しておいた方がいいので、簡単に説明します。
ネガとは、反転した状態を記録するフィルムになります。ネガフィルムのプロセスは正像を反転させて反転から元に戻すというプロセスで写真が作られます。撮影時に明るいところ(ハイライト)と暗いところ(シャドー)があるのですが、ネガはその構造上、ハイライト側に寛容でシャドーにはシビアになります。
良く言われる、ネガはハイライトが粘り、シャドーが潰れるっていう話は本当で、撮影時露出を決める際適正値にするのが基本ですが、被写体が少し暗いと思ったら、明るく撮った方が、結果的に良くなりがちですのでそのあたりを意識して撮影するといいと思います。
リバーサルは、ネガとは構造が逆になりますので、ハイライトがシビアで、シャドーに寛容になります。
これは、デジタルカメラと同じ特性なので、わかりやすいのではないかと思います。
1.リバーサルフィルム(Fuji Provia100)
ポジと言われる、反射原稿用のフィルムで、カラーネガに比べて、色が正確に出るフィルムになります。フィルムを始めた初期は、写りがデジタルに一番近いので、良く使いました。
この写真は、50年代のLeica M3に、当時最新のSummilux21mm/1.4という大口径の広角レンズをつけて浅草で声をかけられしばらく歓談した観光客の方を撮っています。ライカのレンズは非常に高性能で、フィルムながらシャープネスが高くきっちり写っています。私は21mmのレンズは、良くF5.6にして、ピント面を3mにして写真を撮りますが、このセットだと1.5mから無限遠まで被写界深度(ピントが合うように見える範囲)パンフォーカスになるので、フレーミングするだけでピント合わせをしないで撮れますので、非常に素早く写真が撮れます。
2.カラーネガフィルム(Kodak Portra160)
所謂カラー写真と言えばこのネガフィルムで撮った写真を一般的に言います、ある年代以上の方でフィルム時代のカメラで写真を撮った事のある方なら一度は使った事があるのではないでしょうか。
上のリバーサルフィルムで撮った写真と比べると、少し暖色っぽい色味(オレンジや黄色)になりますがネガフィルムの特性で、強めの光が入ると、暖色、弱めの光だと寒色(青や緑)に転びやすく、これの補正にフィルターを入れて撮ったりするのですが、デジタルで、そのあたりの補正はカメラがやってくれるようになった現代、逆にその色の転びがフィルムで撮ったような感じであえてそのままにされる方も多いのではないでしょうか。
この写真は、 M3にDRズミクロン50mmというレンズで撮っていますが、このレンズは現代の高性能レンズに負けないくらいの高解像度で、私のM3に付けっぱなしになっています。
比較に同日、デジタルのM10も持っていたので、フィルムとデジタルの違いを比較できるようにM10で撮った写真も記載します。
3.モノクロフィルム(ILFORD DELTA400)
ここから、モノクロフィルムになります。
モノクロフィルムの面白さに、自分で現像からプリントまで出来る事があり、そのプロセスが非常に奥深く面白いので、私は、カラーよりモノクロの写真を撮る頻度が高いです。
この写真も自分で現像したフィルムをスキャンしたものですが、これはILFORD DELTA400を所謂ストレート現像(ISO400のフィルムでISO400で撮影し、ISO400で現像)していますが、現像液は同じくILFORDのDDXという現像液を使い、通常のプロセスと異なり、希釈現像(現像液を規定より薄くして、現像時間を長くする)プロセスで現像しています。このあたりの話をしだすと長くなりますので、簡単に説明しますが、ILFORDのDELTAというフィルムの特性が、ハイライト側のライトグレー(シルバー)が非常に綺麗に出るフィルムでそのシルバーのトーンを綺麗に出すために、その希釈現像で現像をコントロールしています。
4.モノクロフィルム(Kodak Tri-X400)
もう一枚モノクロフィルムの写真になります。こちらはKodak Tri-X400という、業界スタンダードで恐らく目にする有名な写真はほとんどこのフィルムで撮影されています。このフィルムの面白さに、感度を変えるだけで、全く別物の写りやトーンがあり、そのトーンをコントロールする事が非常に面白いフィルムです。
今回は紹介しきれませんが、私はKodak Tri-X400を使う場合、ISO200,400,800,1600,2500とPull(減感現像)からPush(増感現像)まで幅広く使い、撮影条件や、撮影の意図に合わせて、撮影感度と現像を変えています。あと、光の入れ方が非常に素直に出るフィルムなので、撮影時にプリントのイメージがしやすい特徴もあります。今回撮影している、芋の葉ですが、なんとも言えない柔らかいトーンが出ています、これはISO200の減感現像で作り出しているトーンになります。同じKodakでもT-MAXという高性能フィルムがあります。こちらはシャープネスが高く高解像して、増感は3200まで行けますが、Tri-Xより少し硬いトーン(デジタルっぽい)なのでTri-Xを使う事が多いです。
おわりに
コロナ以降、私も写真を撮るという事がなくなってしまいましたが、今回記事を作成し過去に撮った写真を見直していたら、また、写真を撮ろうかなと考えています。デジタルのライカでもいいのですが、やはりフィルムは面白く、また、35mm版だと36枚しか撮れないので、それもまた面白いし、モノクロのトーンを出す事や現像もやり始めると非常に面白いです。今回の記事で、M形ライカに興味を持ち、デジタル、フィルムに関わらず興味を持たれたら幸いです。
今回Leica M3を久しぶりに触ったのですが、カシュ、チャッというシャッター音や、Filmを送るダブルストロークの感触が気持ち良く久しぶりにM3で写真を撮ろうと考えています。私がフィルムを撮らなくなっていた理由の一つに、愛用していた現像液のR09(Rodinal)が市場から全く消えていたのですが、最近また市場に出てきているのでそれも始めようとする理由になっています。
Shop
私のフィルムカメラは、横浜にある大貫カメラさんで購入しています。
こちらのお店も老舗で、いろんなカメラを扱っています。また、周辺機器や小物も充実していることや写真を撮る事をメインに商品を展開していますので、どんなに古いカメラでも整備がしっかりされ、また何かあればしっかり直してくれる体制も整えられているので、安心してカメラを選ぶ事が出来ます。
また、スタッフの方々も写真が上手で非常に知識も豊富なので、写真に関する悩みも相談に乗ってくれます。
初心者から、ベテランまで、満足出来るお店なので、横浜に行く機会がありましたら足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。