S-Works Tarmac SL8

Specialized社のフラッグシップであるS-WorksのレーシングバイクTarmac SL8について

はじめに
生活環境の変化で撮影に行く時間が取れなくなって以来ブログを放置していたのですが、元々紹介したかった記事があるので時間を見つけぼちぼち紹介していければと考えています。
今回は昨年夏に紹介したSpecialized Tarmac SL7から乗り換えたS-Works Tarmac SL8について紹介します。本来はもう少し乗り込んで、サイクルウェアやビンディングシューズやヘルメットなどと一緒に紹介したかったのですが、撮影時間が取れない事があり、自転車のみの写真となっています。
Specialized Tarmac SL7からS-Works Tarmac SL8への乗り換えは23年の8月に行なっています。
※写真は23年の8月に軽く乗った際に撮影した写真がメインになっています。
Specializedのロードバイク
Specialized社の商品は、完成車とフレームから組み合わせたいパーツを選んで組む完組と言われる商品構成になっていて、私の購入したSL8はフレームを選んで組んでもらった完組です。ただ、Specialized社が完成車に組んでいるパーツをフレームを選んで組んでもらっているので完組とは言え完成車に近いセミコンポーネントと言った構成になっています。
購入時の商品構成が、コンポーネントがShimanoかSRAMのコンポーネントの選択と完成車のフレームカラーとフレームのみの購入に用意されているカラーがあり、フレームのみの購入に好みのカラーがあったので完組にて購入しています。
元々、ロードバイクは一般的な趣味としての楽しみより、トレーニングギアとしての意味合いが強く、仲間とツーリング的なライドや競技など、ロードバイク愛好者が行っているような使い方とは異なる使い方をしています。白を選んだ理由は、道が空いている地方の国道を夜走る事が多く、暗い道でも視認性の高い色と考えた結果が艶感のあるホワイトマーブルという色を選択した理由になっています。
購入目的はトライアスロンの挑戦
本来、私のような使い方ではなく、競技をしている方向けのロードバイクがS-Worksのロードバイクになります。Specializedのロードバイク自体がかなりの高性能バイクであり、私自身が使うにはオーバースペックな面もありながら、さらに高性能なS-Worksの最新モデルであるSL8購入したきっかけが、トライアスロンにチャレンジしようと考えた事がきっかけとなっています。
トライアスロンにはクラスのようなものがあり、私がチャレンジしようとしたクラスがオリンピックディスタンスと言われる
- スイム 1.5km
- バイク 40km
- ランニング10km
の3種目の距離になっています。
トライアスロン挑戦の理由に、日々7kmから時間のある時は12Km程度の軽いランニングを行い、夜30km弱から時間のある時は70Km程度の距離をロードバイクで走るといった軽い運動ながら、トライアスロン競技の2種目を日常的に行っていた事で、ここにスイムがあればトライアスロンに参加して完走出来るのでは?と考えた事がきっかけになっています。
トライアスロンには専用のTTバイクと言われるものもありますが、そこまで本格的には考えなかった事と、競技専用となってしまうので、普段トレーニングとして乗ることも難しいということや、トライアスロンに興味を持ったタイミングがSL8の発表と重なり、SL7やディバージュを購入したショップさんからSL8発売の話をいただき、オリンピックディスタンスの完走目的ならロードの方が使いやすく、SL7よりSL8の方が同じ距離の運動量でも疲労が少ないのでトライアスロンでの使用に向いているといったショップのスタッフさんからのアドバイスもありSL8の購入につながっています。(私のように高齢に近い歳からの挑戦で目的がショートディスタンスの完走ではなくミドルやロングディスタンスへの参加や上位を狙う方は違った選択種があると思います。)
実際には、購入以降、公私共に時間が取れなくなってしまい、トライアスロンの計画は一旦保留となり、ランニングやロードバイクに乗る時間も取れないままになっています。
時間的な余裕が出来たら、軽いランニングやライドを再開して、いずれはオリンピックディスタンスのトライアスロンにチャレンジしたいという目標とモチベーションを保てたらと考えこの記事を書いています。
S-Works Tarmac SL8は最新のSpecialized社のレーシングバイクであり、過去のVengeのイメージから空力性能への期待が大きかったのですが、製品が発表されたら、空力のコンセプトが期待されたものではなかった事もあり評価が分かれており、興味はあるが実際どうなの?というイメージ(私の勝手な想像ですが)が出来上がっているのかなと考え、実際購入して少ししか乗れていませんが良いロードバイクなのでその辺りを記事で書ければと考えています。
S-Works Tarmac SL8について
SpecializedとS-Worksの違いは、Specializedは元々高性能なロードバイクやMTBなどを製造するメーカーであり、レースなどで使われるプロ用モデルをS-Worksという別ブランドにして販売しているという表現が一番わかりやすいのではないかと思います。
SpecializedとS-Worksの関係はドイツの自動車メーカーに例えるとわかりやすく、BMWならM社、アウディならRS、メルセデスベンツならAMGといった、メーカーが持つワークス体制でレース用に開発されたGTクラスのレーシングカーを、市販車用にして一般に販売している別ブランドのイメージになります。自動車と異なるのは、自動車はレーシングカーでは公道を走る事が出来ないので市販車としての販売は公道を走れるようにした状態で販売されており、実際のレーシングカーとは異なるものになっています。自転車はそのまま販売してくれるので、アマチュアでもツールドフランスを走るプロが乗るものと同じロードバイクを購入することが出来ます。
Specialized Tarmac SL7とS-Works Tarmac SL8はどう違い、私自身が乗り換えた事を踏まえ乗り換える価値があるのかという事に軽く触れてみたいと思います。
S-Works Tarmac SL8が発表されると、良くも悪くも話題になりましたが、ロードバイクに関わらず、現代の技術の進化は凄く、実際に違いを体感出来るのかといったら、YESでもありNoでもあります。これはiPhoneなどの最新モデルの買い替えが必要か?という状況にも近く、結局使う方がその性能を必要と考え欲しているか?という事が結論になります。
SL7から最新のSL8の進化もあるのですが、Specialized とS-Worksの違いも大きいので簡単に触れてみます。
このブログがロードバイク専門ではないのでロードバイクに詳しくない方が見てもなんとなくイメージできていただけたら幸いです。
Specialized とS-Worksの違い
- フレーム Specialized とS-Works共にカーボンであるがS-Worksの方がグレードが高い(軽さや強度など)
- コンポーネント(ギアやチェーンやブレーキなど)Specialized とS-Works共にShimanoの電動であるがSpecializedはアルテグラというグレードでS-Worksはデュラエースというグレード。両者の違いも軽さと操作感による違い、デュラエースにはパワーメーターという走行能力を測る(自身の脚力)機能がついています。(SRAMも同様)
- ハンドル Specialized とS-Works共にカーボンであり昨今のトレンドでもある空力化がされています。SL8で使用されるハンドルの方が軽量かつ空力性能が優れています。
- シートポスト Specialized とS-Works共にカーボンであり昨今のトレンドでもある空力化がされています。SL8で使用されるシートポストの方が軽量かつ空力性能が優れています。(52サイズと54サイズで使用出来るシートポストが変わるのですが電動シフトのバッテリーがシートポストに干渉するのでシートポストのサイズ合わせがシビアになります。)
- シート Specialized とS-Works共にカーボンでありSL8で使用されるシートの方が軽量。
- ホイール 昨今のロードバイクのトレンドで空力を意識した深いリムとディスクブレーキによりカーボンホイールとなっています。こちらもSL8で使用されるホイールの方が軽量かつ空力性能が優れています。
- タイヤ Specializedがチューブレスレディに対して、メンテナンス性などを考慮し対応はしていますがクリンチャー(チューブ)を推奨しているので、クリンチャータイヤを装着しています。(定期的なシーラントの注入などチューブレスレディはメリットもありながらメンテナンスではまだまだアマチュアが軽く乗るには敷居が高い面もあります。)タイヤもSpecialized とS-Worksでは異なるグレードのものを装着しています。こちらもS-Worksに装着されるタイヤの方が高性能で軽量です。
上記に述べたわずかな違いの積み重ねが軽さや空力性能の差となりその数値上の軽さや、空力性能の恩恵は乗り比べると違いとしてわかります。速さもですが、機械的な精度が上がり物理的な違いを体感として感じるので、乗り比べるとその差は感じ取れます。
コンポーネントは、吊るしで組まれたロードバイクを購入する際の違いであり、フレームを購入し、コンポーネントやパーツを好きなパーツで組む事も可能なので、人によっては違いはフレームのみとなる場合もあると思います。
この、使用されているパーツの違いやグレードが価格差になっています。(昨今急激な円安で価格が高騰しているのは残念です)
Tarmac SL8の進化と言われる部分について

発売当初変わった形状から話題になったフロントのノーズコーン部分と逆に単体での性能評価が高かった空力に優れたハンドル

フロントに比べ華奢な作りのリアステー。このリアステーとシートポストのしなりが乗り心地や足あたりの良さに影響しています。
乗り心地や乗りやすさの進化
私自身が感じ取れるSL7とSL8の差に、軽さや空力面の進化の恩恵もありますが、乗り心地の良さと、足あたりの柔らかさという高性能なロードバイク特有のスイートスポットの狭さ相反した寛容さがあり、その進化が実は一番大きいのではないかと感じています。
ロードバイクの基本設計に戻った円形を基準にしたフレーム形状、リアフォークはかなり細くなっていて、軽量化とそれ以上にフレーム全体で路面の突き上げをいなす効果が乗り心地の良さと、ボトムブラケットの華奢な作りが足あたりの良さにつながっていると感じています。
フロントフォークがしっかりしてリアのフォークが細くなることで、車でいうところのフロント固めてリア柔らかくというサスペンションのセッテイングに近く、このセッテイングは弱アンダーで乗りやすいことにつながっています。
自転車なのでコイルスプリングと減衰とかで厳密に合わせたものでなく、フレームのフロントとリアの強度に差をつける事で生み出している効果になっています。これが、開発陣が意図したものか、それとも副産物なのかは私にはわかりませんが、弱アンダーのステアリング特性は確実に感じられクイックでピーキーなステアリング特性ではないことがSL8の乗りやすさにつながっています。
この弱アンダーは、下り坂のコーナーで少しスピードが上がると感じる事が出来ます。
乗り心地の良さや、足あたりの柔らかさが、長時間乗った時の疲労を軽減します。軽さもあり、空力の性能も高く、コーナーの安定感など、全体的なバランスの良さと状況変化に対しての対応力がSL7より高く、しんどい上りや、下りのタイトコーナーが少しだけ楽になったような感覚を持てます。
私のような、大して速くないライダーでも、しんどい上り坂の前や少し急な下りでブラインドのタイトコーナーなどは気持ち的に構えてしまうところがあり、その意識からSL7の時は、少し心のギアを上げる感覚があるのですが、SL8はそこまで構えていないで走るような感覚があります。
この感覚が、SL7とSL8の差になるのかなというのが乗った感覚で、この事で、疲労感が減った感覚もあります。これは普段トレーニングとして走る30Kmくらいの国道のコースで、前半は路面があまり良くない道を走り、後半1/3が路面が綺麗で見晴らしも良く、気持ち良くギアを上げるのですが、ここも風が強く、向かい風で疲れから上体が浮き気味になり失速してしまうといったのがSL7の時のパターンでしたが、SL8になり向かい風で失速しながらも、下ハンキープで走り切れます。体調やメンタルが左右するので完全にSL8の方が楽かと言えばそうではないのですが、あと少し踏ん張ろうという体力面の温存が自然に出来ていることがSL8が持つバランスの良さと、身体に優しい乗り味の恩恵と感じています。向かい風に対しては空力の進化の恩恵もあると感じます。
前半の路面があまり良くない部分は緩いアップダウンと緩い曲りで視界があまり良くなく、ざらざらで少しうねった路面、暗い道という状況なので、安全マージンをとり、少しペースを落とし、ウォーミングアップを兼ねて走ります。SL7の時はこの路面の悪さからペースを上げる気にならなかったのですが、SL8はこのような状況でも足あたりが気持ち良いのでついついペースを上げてしまいます。ただ、ウォーミングアップが済んでいないので、結構足に来てしまうといった事もあります。
プロが結果を出せるかどうかが、プロの使う道具の基準ではありますが、競技規定の厳格化により空力や軽量化だけでは差がつきにくくなっています。自転車競技は持久力に関わる競技で、世界トップレベルのレースだと200kmを超える距離を全力で走り、数時間のレースで数秒の差しかつかないシビアな世界です。
この勝負を分ける数秒を出すために、メーカーの開発陣はシノギを削っています。色々な要素がありますが、ライダーの負担を減らし疲れを残さず、体力を温存し最後にスパートをかけるというレースプランを実践出来る様な開発思想が取り込まれ、レース中に余計な神経を使わなくて良いといった、バイク単体の限られた領域での速さを構成するスペック上の性能だけではなく、ライダーが考え感じるレースプランに照準を合わせて作られたバイクかな?というのが私の感想です。(ロードバイクにそれほど詳しくないユーザーの意見です。)
プロのように、体重から姿勢まで完璧にコントロールされた状況で乗ると、バイクの空力性能は生きてきますが、アマチュアの場合そこまでの体幹や、適正体重に合わせる事も現実的に難しく、スペック上の空力性能より、前面投影面積を考えると上体をあと1cm倒した方が効果があるんじゃないかという自分のようなアマチュアにとっては非常に良くできたロードバイクというのが感想で、競技などをされていて、ある程度ポジションなどが出来上がっている方が乗ると感想も変わってくるかなというところです。
購入時、ショップの方が言っていたのですが、SL7は負荷をかけた分だけ前に進むイメージで、SL8は頑張ってないのに前に出てくれる感じですと言っていたのですが、この意見は、実際に購入し乗ると感じる事が出来ます。
乗り手に寛容であるという進化
空力性能、軽量化、乗りやすさ、乗り心地、疲れにくさのバランスをうまく取ったのがこのSL8の進化であり、そのことにより走破能力も大した事ない私のような単なる愛好家にとっても、それなりに走れてしまうバランスと許容範囲を広く取り、乗り手に寛容になった事がSL7からSL8への進化と感じています。
SL7は競技用として真っ当なロードバイクで、乗り味も硬く、乗り心地もハードで、例えると、サスペンションを固めたチューニングカーであり、レーシングカーで言うと、路面ミューが高く路面が綺麗でタイヤの設置面を確保しやすいFSWなどのサーキットを走るセッティングのマシンで路面状況がある程度良好という前提に合わせたスイートスポットを絞ったイメージです。
SL8も競技用としては真っ当なロードバイクですが、チューニングカーで言うと、リアのトラクションをもう少し活かしたいから、リアを緩めセッティングを煮詰めたチューニングカーであり、レーシングカーで言えば路面が不安定なニュルブルクリンクのノルトシュライフェを走る様にサスペンションを緩めタイヤの設置面を確保した、不確定で変化する路面状況に対し、スイートスポットを広く寛容に取ったレーシングカーと言ったイメージです。
過去に経験した自動車レースと共通する部分
※ニュルとFSWの違いに、15年ほど前にニュル24時間のポルシェのワークスを率いたマンタイレーシングが、市販車用のパーツを販売したのですが、知人がこのマンタイレーシングのサスペンションを入れたGT2を所有しており、少し乗らせていただいたのですが、FSWを走るポルシェのチューニングパーツに見られる高いバネレートで締まったサスペンションのイメージで乗ると肩透かしを食う柔らかさでびっくりしました。販売代理店の社長さんもご一緒していたので話を伺うと、このサスペンションの柔らかさが、当時ニュル最速を出すために路面変化やGの変化でもタイヤの設置面を確保するために煮詰めたセッティングと聞いてびっくりしたのを思い出し、車とは関係ないはずのロードバイクの足あたりの感触とイメージが被って記事に書いています。
自動車のサスペンションセッティングに共通する乗りやすさ
※自転車とは関係ないのですが、私自身15年ほど前、ポルシェのGT3RS(Type997)を所有し、市販車で走れる草レースに出ていた事があり、吊るしで、アライメントをいじるくらいの感覚で乗っていました。サスペンションのセッティングはメカニックさんにお任せでしたが、タイヤの焼け具合を見て乗った感覚を伝えメカニックさんが提案する弱アンダーで乗りやすい車両にしていました。
当時のポルシェのアライメントの概念に、トーとキャンバーが、トーインが控えめで、フロントのネガキャンは出して、リアのネガキャンは控えるセッテイング。フロント寝かせてリア立てるセッティングがあたり前でした。当時のメカニックさんがこのセッティングは空冷時代のポルシェの概念で、曲がらない車を曲がりやすくする少しオーバーステア気味のセッティングだから水冷でシャーシの性能が上がり進化したタイヤ性能を考えたら、弱アンダーのセッティングの方が乗りやすいと言って、少しトーインを付けて、フロントのネガキャン控えめ、リアのネガキャンを付ける、フロント立てて、リア寝かせるセッティングにしてくれてこれが弱アンダーで乗りやすく、タイムも出しやすかった事を思い出しました。この概念は、その後の991型や992型で採用されています。
このアライメントの意味にポルシェ911のリアエンジン、リアドライブという車の後ろ側に重量が寄る構造的な問題を解決する事があります。当時のポルシェはレースをするオーナーには縦車と言われていて、コーナーの立ち上がりと侵入のブレーキングで勝負する車でコーナーの旋回スピードでタイムを稼ぐ車ではなかった事があります。

※当時のRSのバネレートが吊るしで6Kg、Sタイヤ用に合わせたバネレートが14Kg、スリックタイヤなら22Kgのバネレートとなっています。私は吊るしで乗っていたので、6kgのバネレートでしたが付属するスポーツモードというアクティブサスペンションにより車高を下げ、バネを縮めてバネレートを上げ、減衰も上げるというスポーツモードでサーキットを走り、トラコンを切り、認証のラジアルであるピレリのP-ZEROコルサを履いていてFSWの周回ラップは1分56秒台のタイムでした。ジムカーナをやっていた知人はインチダウンをして18インチのSタイヤRE55を履いて内装全部剥いで軽量化しパーツを変えて1分53秒台で走っています。タイムは今考えると大したタイムではないのですが当時のタイヤではそれなりに早かったタイムです。その後クムホのイン⚪︎キスポーツラジアルタイヤ(スリックのパターンに一本の縦溝というほぼスリックタイヤ)が出たりタイヤ性能が全体に上がりラップタイムが上がって行きますがこの時期はレースを辞めていたので、後のタイヤの進化は体験していません。
わかりやすいスペックではない価値は評価されない?
※997時代(前期型)に評論家やメディアは、GT3とGT3RSの比較記事を行い、GT3クラブスポーツをベストバイとしてGT3RSに批判的な意見を述べ記事にしていました。その理由が、RSとの販売価格の300万の差額を正当化する理由がない的な内容でした。本来車の評論をスペックなどで語るならリフトアップして車の細部を見るなどするのが当たり前ですが、評価が、ぱっと見の高価なカーボンのウイングなどの話になっていて、本質であるこの300万の差額を感じるのが、シャーシの剛性とサスペンション周りの設計やパーツの差でありその効果が走りのどの部分に影響するかということが見抜けていませんでした。
RSとGT3の開発思想に911のNAエンジンの高性能版がGT3であり、そのGT3をよりレーシングカーに近づけたものがRSとなっています。このレーシングカーに近づけたという事にGT3のアライメントの調整範囲よりRSの方が調整範囲が広い事(レーシングカー同様シムで調整可能です。これは964RSとカップも同様でポルシェの開発思想の伝統)、ブレーキキャリパーの重心が低い事やアップライトの違いなどがあり、より足下重量の低重心化をしてます。ワイドトレッドで剛性の高いターボボディによる重量増を軽量化で補うためのカーボンパーツやリアウイングの大型化や空力を考えたフロントスポイラーのパーツと合わせている恩恵が、同じような能力のドライバーがコーナーに入ったとき、RSの方が先に向きが変わります。この先に向きが変わるという事の大きさが当時の評論家には理解できなかったのでしょう。(コーナーの出口で先にアクセルを開けられるという恩恵がいかに大きいかという事とシャーシの剛性とリアのトレッドがワイドになっていることで横にGが残っていてもトラクションをかけやすい事)
あと、当時のRSはルマンなどを走るRSRのベース車両で、GT3はカレラカップ用のGT3カップのベース車両であるのでその差は歴然ですがこのあたりの成り立ちも見落とされていました。
ポルシェも996や997時代のGT3とGT3RSの違いに、エンジンなどベースが同じで数値上のスペックの差はなく、よりレーシングカーに近い仕立てとレーシングカー的な調整幅の広さという一般にはわかりにくいマニア向けで必要とする人が選べば良いというスペック的な差を売りとしていましたが、評論家やユーザーがその差を感じ取れない事に気がつき、その反省からか後の991、992のGT3とRSはだれが見てもわかる、エンジンの性能差や、空力パーツや盛り盛のカーボンパーツ、ニュルのラップタイムなどの差を付けて現在に至っています。
その後に販売された991以降のRSは凄い車ですが、楽しめるスピード領域が高くなりすぎて、サーキットを走らせないと楽しめない車かなという印象です。私自身もレースをしなくなり、RSはバッテリーをあげないために動かすという使い方になり乗る機会が減った為手放してしまいます。その後所有した991はターボSを選びRSのようなレースを楽しめる面白さはないのですが普段使いしやすさとポルシェが持つ機械精度の高さを凝縮した仕様に満足しています。(RSは所有する価値や満足度は非常に高く価格以上の価値は感じ取れると思います。ポルシェの面白さに高級車ではなく高性能車両であるという事があり、この要素が精度の高い道具を所有し使いこなすという楽しみに繋がっています。)ただ991以降一点退化といっては語弊がありますがここは戻して欲しいという仕様があるのですが、この事も評論家やメディアは見抜けていません。(機会があれば記事にします。)
話が脱線してしまいましたが
スペックがわかりやすい高性能は、メディアで取り上げられやすく絶賛されやすいのですが、実際にその恩恵を受ける方がどれくらいいるのか?という事。分かりにくい進化は評価され難かったり、場合によっては批判されやすいという事。この事が車だけでなくロードバイクの話題や発売時の記事にも感じられ、所有した車の時感じたメディアや世間の反応を交えこの記事を書いています。
今回脱線しましたが、機会があればポルシェの記事も書いてみたいと考えています。
Athosという常識外の軽量バイクで得た発想
※Tarmac SL8の設計思想に、Athosというレーシングバイクの重量制限規定以下で作られた軽量のロードバイクがありここで得た軽量化するための強度や空力の妥協点が反映されています。妥協点というと語弊がありますが、軽量化のために必要ないと考えた要素は排除している事が、円形を基調としたフレームや、細くなったリアフレーム、華奢な作りのボトムブラケットなど随所に現れていてその副産物が、レーシングバイクという速さを追求しながら、快適性の向上(レーシングバイクにしては)に繋がっていると考えられます。
私自身がこのS-WorksのAthosも所有しており、東京で家内と軽く出かけたり、夜時間のある時にトレーニングとして乗っています。Athosの利点はなんと言っても軽さで、あまり速度を出さない乗り方や慣性を使わないでもスイスイと坂を登ってしまうような軽快さがあります。余談ですが東京の街中を家内と軽く走り、駐輪場に止めて歩く事が多いのでAthosはビンディングペダルではなくMTB用の滑らないフラットペダルで乗っています。普段の移動でも使える事や駐輪場の二段ラックに上げるのも軽さが生きています。
なかなか撮影に行く時間も取れないのですがAthosについては機会があれば紹介したいと考えています。
Athosを持ち出すとTarmacの空力が良くわかります。Athosは軽量化を追求したロードバイクでレース規定を満たさない仕様(軽過ぎて反則になります)で、ロードバイクのメリットを競技ではない方が楽しめるように作られたロードバイクでその軽さは乗るとどんな方でも体感出来ると思います。この軽さのメリットは、坂道を登る時に生きます。坂道以外では発進時の軽さがあり、時速30km位まではTarmacより早いのではないかと感じます。そこからさらに速度を上げて40kmを超えてくると速度の伸びと、速度を維持するのが難しい事がわかります。Tarmacは発進はAthosの方が早いと感じますが30kmを超えたあたりからの速度の伸びが違います。40kmを超えてもまだ加速しますし、速度の維持が楽(と言っても結構真剣に漕いでいます。)です。これが空力の恩恵でそもそもホイールのリムハイトや、ハンドルバーの形状、フレームの空力処理などが異なりますので当たり前といえば当たり前です。
空力性能や軽量化は数値化しやすいがそこが全てではないという開発思想
ただ、SL8のレーシングバイクとして考えられた空力処理が、他のメーカーのレーシングバイクと比べた際、優れているのかという話になると、さらに優れたモデルがあるので、この面が、最新のSL8の評価を微妙にしているのではないかと感じるところです。
この空力性能以外の軽量化や、乗りやすさや疲れなさのバランスを取ったモデルが最新のSL8となります。当代一の空力性能といった数値でアピール出来る要素ではないメリットとバランスの良さがなかなか説明しにくい事が最新のSL8の評価を難しくしているのではないかと感じるところです。
Specializedという会社の凄さに革新的なバイクを生み出して来た歴史があり、Vengeという2世代前の空力を突き詰めたロードバイクがありその空力の圧倒的な性能とそのバイクで活躍したサガンの影響力がSpecializedが出すバイクのイメージを作り上げてしまったので、最新のTarmacに対する期待と、出てきたモデルのコンセプトが異なっていたことも評価を難しくしている原因ではと感じています。前記したAthosのコンセプトや軽さの凄さも話題になっていますが非常に面白いロードバイクを生み出すのがSpecializedという会社でありそのことでファンを獲得して来た会社でもあります。
ロードバイクも趣味性の高い道具であるのでどうしても評価の対象に価格やスペックがあります。
道具を使う遊びでもあるので当然道具に関わる話も楽しみの一つであります。ネットのような言葉がメインの交流の場においてこの道具の話が実際に走る事よりも重要視されてしまいがちで、その事が、肯定派にとっても否定派にとっても最重要のような錯覚に陥りやすいのかなと感じています。
実際にスペック云々より乗り味や乗って感じる事の方が重要なのではという事やロードバイクのようなスポーツにおいては道具もですがそれを選択する個々の環境や能力の方が重要で(他人との優劣ではなく個々のスキルの向上といった意味)、同じクラスのロードバイクを乗り換えるよりトレーニング方法を変えたり、ポジションを変える方が実は効果が大きいという前提を踏まえてその先のスキルの向上をするための選択といった視点の情報があまりない事や、逆に大好きなメーカーの最新のフラッグシップだからスペック云々は抜きで欲しいという愛好家的な視点での選択もあって然るべきかなと感じます。(そこにスペックなどの理由もあると思います。)
その上でスペックの高いロードバイクを選ぶ事で、少しだけ楽に走れたり、少しだけ早く走れたりするという事が機材を選ぶ楽しみの本質でそこが抜けた情報の補完をできたらというのが今回の記事の内容でもあります。
ロードバイクを気軽に楽しむ
ロードバイクはある程度の機材を所有すると乗る時に流儀のようなものに沿わなければいけない様なイメージがあり、その事が、乗った事のない方の敷居をあげてしまっているのではないかなと感じています。
ちょっと趣味性の高い移動手段で、身体を使うから健康に良さそうというくらいの意識で楽しまれると良いのではないかなと考えています。どうしてもロードバイクに乗るというと、ビブを履いてサイクルウエアでビンディングシューズを履かなければいけないという不文律のようなものがあり、そのことは正解ではありますが、ロードバイクのメリットに長い距離をそれなりの移動速度で走る事が出来ます。
この事が、車ほどの移動距離はないけど、徒歩ではいけないところに移動する。車では感じることのない途中の景色や街並みを感じるという非日常を味わう事ができます。また、途中駐輪場に預け、歩いて街並みを楽しむといった楽しみもありますので必ずしもサイクルウエアやビンディングシューズが必須ではありません。普段着にスニーカーで乗っても楽しめます。
休日家内と都内の散策に自転車で出かけます。家内が自転車が趣味というほどではないのですが、半日で色々なところを自転車で移動するのは楽しいと言っており、気候の良いシーズンは積極的に家内と自転車で出かけます。
そこまでスピードは出さないのですが、30kmくらいの距離は走ります。ロードバイクを真剣に乗るという乗り方ではないのですが、そのような使い方でも自転車は楽しめます。家内はSpecializedの電動でComoというモデルに乗っています。このような休日の使い方だとウエアは汗を書いても良いパタゴニアのウエアを着て出かけます。
パタゴニアもスポーツウエアで相当カジュアルですが、流石にサイクルウエアでは行きにくいホテルのカフェなどでも違和感もなくヘルメットを持って簡易リュックで普通にランチも楽しめます。極端な例ですが、家内と銀座に自転車で遊びに行き、ヘルメットを腰にぶら下げて、ブルネロクチネリ銀座店に行ったのですが、お店から嫌がられる事もなくスタッフの方の話のたねになるような感じでスタッフの方も楽しまれていました。
そんな楽しみ方も出来ますので、健康を考えてロードバイクに乗ってみたいという方はあまり難しい事を考えず普段の移動の延長くらいの意識で楽しまれると入りやすいと思います。

後ろから見ると、ハンドルのバーの薄さやシートステーの薄さ、円形な形状を組み合わせていて空力面を詰めていますが別メーカーのロードバイクはこの空力面を前方円や直線などでもっと煮詰めています。この事がTarmac SL8の評価を下げてしまっているのは残念ですが、スペックや見た目以上に乗りやすく、速さもある真っ当なレーシングバイクであります。
Tarmac SL7からの乗り換えの必要はあるか
私自身は乗り換えた事が良かったと考えていますが、人に勧める場合、少し悩むといったのが本音です。
ロードバイクも道具を使う遊びで、道具にこだわるのも楽しみの一つであります。ただ、こだわると価格がネックになってきてしまいます。価格はなんとかなるという方で、最新の高性能なロードバイクが欲しいとなった時に他のメーカーも候補に上がります。
その中であえてS-Works Tarmac SL8を選ぶとしたらどういう方に向いているのか?となった時に非常に極端ですが
走破能力はあってもなくても、良い道具を選びたい方(これは値段やブランド性だけでなく良い道具と感じる機械精度や感触を感じ取れる感覚での意味合い)や、ロードバイク歴はそこまで長くないが良いバイクに乗りたい方でマーケティング的なスペックより乗りやすさを重視する方。せっかく高価なフラッグシップモデルを購入するので長く愛用したい方。こういう方にはおすすめ出来ます。(私がこれだと思います。)乗り心地の良さや足あたりの良さを持ちながら負荷をかけた時のレスポンスの良さ、ペダルを漕ぐ事に感じる精度の高さからくる気持ち良さや、その事を誰でも感じ取れる寛容さがSL8の最大の利点ではないかと感じています。この濃度が一番高いのがS-WORKSのモデルになります。
逆に、ある程度、ロードバイクに乗り込んでいて、違いもわかるし、スペックを活かしきれているといった方だと、スペックの面白さは他のメーカーのロードバイクの方があるので、そういう選択種の方が満足度は高いのではないかと思います。
競技などをしているハイレベルなユーザーはとなると、私自身がそうではないのですが、距離や負荷が高くなるほど恩恵を受ける部分もあるので、200kmクラスの競技に出ている様なハイレベルなアマチュアの方とかは実は恩恵を受けるのではないかと思います。ただこのレベルの方は、吊るしでは乗らず、好みのパーツなどもあるので、フレームのみの購入となるのですが、身体の負担が同クラスのロードで一番少ない事が恩恵となる方であれば満足度は高いのではないかと思います。
ロードバイクも裾野が広く、ショップの方も言っていたのですが、走破能力より、好きで乗る方が多く、結構年配の方が購入されていると言うのもなんとなく納得出来る話です。この年配の方というのも、長いキャリアを持ち、ものに対する見識があり、その上で選んでいるので、スペックなどの話題性だけにとらわれず、自身が求めるものという選び方で購入されているのも納得の話です。
そういった面では非常に優れたロードバイクであります。
高性能なロードバイクはプロ用の道具でもあり、性能を活かすには相応の身体能力や狭いスイートスポットを使いこなすようなところがありますが、Tarmac SL8はこのスイートスポットが寛容に感じる事が一番のセールスポイントではないかと感じています。
私のような、競技者でもなく、ベテランでもなくそろそろリタイア世代に手が届く、単なる好きで乗っているユーザーの意見ですが、同じ様な境遇で予算が許すなら選択種の一つとしておすすめです。趣味性の高いものなので、本来レースや競技という性能が価格という側面が注目されがちですが、速さという性能以外での趣向も反映されるものでもあるのであまり情報に左右されず本当に好きなものを選択されるのが良いと思います。
S-Worksとは関係ないのですが、コルナゴやピナレロ、サーベロなど老舗から、トレックやキャニオンなど魅力的なロードバイクを販売しているメーカーも多数あり、歴史やレースでの勝利、革新性や憧れの選手が使っているなど所有したいと思わせる魅力がある商品ですので、ご自身の趣向に応じたものを選ぶのが満足度は高いと思います。
ディテール
フレーム | S-Works Tarmac SL8 FACT 12r Carbon, Rider First Engineered™, Win Tunnel Engineered, Clean Routing, Threaded BB, 12x142mm thru-axle, flat-mount disc | フォーク | S-Works FACT 12r Carbon, 12x100mm thru-axle, flat-mount disc |
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ハンドルバー | Roval Rapide Cockpit, Integrated Bar/Stem | ステム | Roval Rapide Cockpit, Integrated Bar/Stem |
バーテープ | Supacaz Super Sticky Kush | サドル | Body Geometry S-Works Power, carbon fiber rails, carbon fiber base |
シートポスト | S-Works Tarmac SL8 Carbon seat post, FACT Carbon, 15mm offset | フロントブレーキ | Shimano Dura-Ace R9270, hydraulic disc |
リアブレーキ | Shimano Dura-Ace R9270, hydraulic disc | シートクランプ | Tarmac integrated wedge |
シフトレバー | Shimano Dura-Ace R9270, hydraulic disc | フロントディレーラー | Shimano Dura-Ace R9250, braze-on |
リアディレーラー | Shimano Dura-Ace R9250, 12-speed | カセットスプロケット | Shimano Dura-Ace, 12-speed, 11-30t |
チェーン | Shimano Dura-Ace, 12-speed | クランクセット | Shimano Dura-Ace R9200, HollowTech II, 12-speed with 4iiii Precision Pro dual-sided powermeter |
チェーンリング | 52/36T | ボトムブラケット | Shimano Dura-Ace, BB-R9200 |
フロントホイール | Roval Rapide CLX II, Tubeless, 21mm internal width carbon rim, 51mm depth, Win Tunnel Engineered, Roval AFD hub, 18h, DT Swiss Aerolite spokes | リアホイール | Roval Rapide CLX II, Tubeless, 21mm internal width carbon rim, 60mm depth, Win Tunnel Engineered, Roval AFD hub, 24h, DT Swiss Aerolite spokes |
フロントタイヤ | S-Works Turbo Rapidair 2BR, 700x26mm | リアタイヤ | S-Works Turbo Rapidair 2BR, 700x26mm |
チューブ | Turbo Ultralight, Presta valve |
S-WORKS TARMAC SL8 – SHIMANO DURA-ACE DI2 | 44 | 49 | 52 | 54 | 56 | 58 |
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Stack to Stem (mm) | 509 | 522 | 535 | 552 | 573 | 599 |
Reach to Stem (mm) | 363 | 372 | 377 | 381 | 393 | 400 |
Frame Stack (mm) | 501 | 514 | 527 | 544 | 565 | 591 |
Frame Reach (mm) | 366 | 375 | 380 | 384 | 395 | 402 |
Head Tube Length (mm) | 99 | 109 | 120 | 137 | 157 | 184 |
Head Tube Angle (degrees) | 70.5 | 71.75 | 72.5 | 73 | 73.5 | 73.5 |
BB Height (mm) | 266 | 266 | 266 | 268 | 268 | 268 |
BB Drop (mm) | 74 | 74 | 74 | 72 | 72 | 72 |
Trail (mm) | 71 | 63 | 58 | 58 | 55 | 55 |
Fork Length, Full (mm) | 370 | 370 | 370 | 370 | 370 | 370 |
Fork Rake/Offset (mm) | 47 | 47 | 47 | 44 | 44 | 44 |
Front Center (mm) | 572 | 574 | 577 | 579 | 592 | 606 |
Chain Stay Length (mm) | 410 | 410 | 410 | 410 | 410 | 410 |
Wheelbase (mm) | 970 | 973 | 975 | 978 | 991 | 1006 |
Top Tube Length, Horizontal (mm) | 496 | 509 | 531 | 541 | 563 | 577 |
Bike Standover Height (mm) | 723 | 735 | 746 | 768 | 786 | 808 |
Seat Tube Length (mm) | 433 | 445 | 456 | 473 | 494 | 515 |
Seat Tube Angle (degrees) | 75.5 | 75.5 | 74 | 74 | 73.5 | 73.5 |
Crank Length (mm) | 165 | 165 | 170 | 172.5 | 172.5 | 175 |
Handlebar Width (mm) | 380 | 380 | 400 | 420 | 420 | 440 |
Stem Length (mm) | 75 | 75 | 90 | 100 | 100 | 110 |
Saddle Width (mm) | 155 | 155 | 155 | 143 | 143 | 143 |
Seatpost Length (mm) | 300 | 300 | 300 | 380 | 380 | 380 |
おわりに
発売当時に、世間の期待も大きく良くも悪くも話題になり、本来の価値の見極めが難しかった事から、実際に購入し所有した感想を述べる事で、購入を検討したり、興味がある方の参考になればと考えての記事となっています。
言葉で自転車の性能や乗った感覚を表現することは難しく、無駄に長い文章になってしまったかなという反省はありますがロードバイクに限らず、昨今のトレンドで分かりやすいキーワードが商品販売のキモのような状況で、商品の価値が分かりやすいキーワードに合致しないと評価が難しくなる典型のような商品でした。
この状況が過去に所有したポルシェのGT3RSの状況に近く、下馬評よりも所有者の満足度が高い商品であり、突出したわかりやすい一つの価値でなく、価値のバランスをうまく取り実際に乗ることで商品が持つその複数の良さを最大限に体感出来る寛容さを持つ高性能なロードバイクというのが感想となります。
高性能なロードバイクで、実際にプロのレースに使われていますので、性能はあって当たり前の商品ですが、プロがレースで使うイメージであるスイートスポットの狭さではなくプロほどの能力がなくても乗りやすい事や、高性能を感覚的に気持ち良く感じ取れる商品です。
私はS-WORKSのTarmac SL8を購入しましたが、SpecializedのTarmac SL8も同様の傾向を持っています。その差は軽さと機械精度の高さになります。この差は小さくもあり大きくもありますので、予算と好みで選べば良いと思います。
元々はトライアスロンに挑戦するという話から、購入の話が進んだので、状況が許せば挑戦したいと考えています。
Shop
S-WORKS SL8はSpecialized自由が丘店さんで購入しています。
スタッフの方は、競技者であり、富士のレースやツールド沖縄などで上位に入るようなメンバーですが、どのような方でも気軽に相談に乗ってくれます。競技でバイクを使っているスタッフなので、レースやスポーツ的な仕立てはお手のもので、純正パーツ以外のパーツも用途に応じて提案してくれます。定期的なメンテナンスもしっかり対応してくれるので、安心してロードバイクを楽しむ事ができます。初心者の方には、週末のライドイベントがあり、参加されるとスキルも上がり、参加者も気さくな方が多いので楽しめると思います。時計のコルリオーネさん同様、店長さんが、自転車競技者でありながら、自動車レースも体験しているので、自転車だけでなく車の話などにも花が咲き、ついつい長居してしまう事もあります。スペシャライズドという競技に使うロードやMTBを扱っているので当然お客様も競技をされる方も多いのですが、場所柄、年配の素敵な方も多く、趣味人の方で、ご夫妻でロードバイクを楽しんでみたいと考えている方などにもおすすめです。