今冬は、後輩から”還暦でDior着こなしたら素敵だよね”の一言でDiorのアイテムを何点か購入し、従来の私のスタイルにはない冬の着こなしを楽しんでいます。
[ Diorカシミアピーコートの記事 ]
過去のイメージから、Diorを始めとしたパリコレなどのコレクションで活躍するブランドは、デザインは優れていましたが、素材の選び方や、仕立ては、本格的なサルトリアや、素材にこだわるラグジュアリーブランドほどこだわっていない印象がありました。
今冬購入したカシミアピーコートはその印象を見事に裏切っており、素材も仕立てもサルトリアや、ラグジュアリーブランドと言われるブランドに負けないクォリティを持っています。
従来の私は、アメカジが好きで、カジュアルウエアとして着るものに素材や仕立てのこだわりより、実用性を重視した服飾を好んでいます。そのことから素材や仕立ての良さが生み出す上質さや品格をあまり求めていなかったのですが、他記事で紹介しているように歳を経て、従来持っていた考え方にも変化が出て来ています。
トラッドアイテムの展開
モード(流行というニュアンス)の最先端と感じていたDiorに、私の印象とは異なる上質で永遠のスタンダードにもなり得るアイテムがあるということに驚きを感じ感銘を受けています。
従来私より若い世代のファッションとして楽しむものと感じていたDiorの服に、私のような中高年でも楽しめる服の展開があるということがわかります。そのことでこれまで興味がなかったDiorの服が魅力的に見えてきます。
そのような心境の変化から購入したのが、Diorが今季展開している、オックスフォード地のボタンダウンシャツと、細身のノープリーツのチノパンツになります。
ベージュのチノパンツに、サックスブルーのボタンダウンシャツを合わせるアメリカントラッドの王道スタイルを、Diorの世界観で構築しています。モードに主軸を置くトップメゾンなので、アメリカントラッドの雰囲気もトレンドとして表現している部分もありますが、モダンでありながら清潔感が高く、上質さと作りの良さを持つ非常に着やすい普遍性を持つアイテムになります。
Dior’s traditional style
1.ボタンダウンシャツ

オックスフォード生地で仕立てたボタンダウンシャツになります。小ぶりにした襟や身幅の細さはDior的でありながら、生地の上質さと丁寧な縫製は、FRAYなどのシャツ専業メーカーと比べても遜色がありません。
2.さりげないサイン

左脇にDiorのさりげない刺繍が入っています。ブルックスブラザースのオーダーシャツの雰囲気を意識してるのでは?と感じるモチーフです。
3.チノパンツ

ノープリーツで、クリースを効かせていない細身のチノパンツになります。Diorに限らず昔からある定番アイテムながら、ここ最近マーケットから姿を消していました。今春あたりからブランドによっては少数ながら見かけるようになっています。定番アイテムながら、パリモード的な一歩引いたスタイリッシュさと直線を意識した仕立てで、エディスリマンから続く従来のDiorらしさを残したチノパンツになります。
Diorのチノパンツとボタンダウンシャツ
アメトラ(アメリカントラッド)
私の20代は、アメトラ(アメリカントラッド)と言われる、チノパンツにボタンダウンシャツや、デニムシャツなどを合わせるスタイルが好きで、当時TUBEというブランドの服が好きで良く着ていました。
その流れから、ブルックスブラザースやラルフローレンを好み、20代でそれほどお金もなく、購入出来る数は限られていましたが、一張羅のような形で大事に着ていました。
今の私のスタイルの原点にもなるような着方をしており、ラルフローレンのチノパンツにチャンピオンの霜降りグレーのリバースウィーブなどを着て、スタンスミスやスーパースターを履くようなスタイルをしていました。
シャツも洗いざらしのブルックスブラザースのボタンダウンシャツや、ラルフローレンのデニムシャツのインナーにヘインズのTシャツを着て、フロントボタンを開けて着るような形が当時の私のスタイルでした。
ラルフローレンのチノパンツの良さを知り、初めて買ったお店が、NYのブルーミングデールズです。旅行で尋ねたNYで購入しています。日本人の観光客に対しても親切な接客をしてくれた事がきっかけの購入になります。
他にはバーニーズ本店にも寄りましたが、当時の私ではとても手の届かない価格帯でした。ただ店員さんが親切だった事でオリバーピープルズのサングラスを購入しています。
私は売り手の熱意や親切な接客を受けるとつい買ってしまうという事があり(今も変わらずです)、ブルーミングデールズの担当の方が、時間をかけて熱心に私に合うアイテムを探してくれた熱意と親切さから購入したラルフローレンのチノパンツになります。ラルフローレンのチノパンツを購入したことはその後の私の装いに少なからず影響を与えています。
音楽旅行で尋ねたNYでしたので、ヴィレッジバンガードでジョニーグリフィンを観て、ボトムラインでレスリーウエストを観て、リッツでアンスラックスとパブリックエネミーのコラボを観ています。おまけが土産に頼まれた帽子を買いに寄ったCBGBでイベントの打ち合わせに来ていたジョーイラモーンを見かけ感動した思い出の旅行です。
Dior的なアメリカントラッドの解釈
今回、紹介するDiorが展開するオックスフォード生地のボタンダウンシャツとチノパンツは、どこかアメリカントラッド(1990年代のラルフローレンやブルックスブラザースなど)を意識したのではないかと感じています。
昨年あたりからTom Fordやブルネロクチネリのコレクションに80年代後半から90年代のアルマーニのようなシルエットを意識したスーツやジャケットが展開され始めています。
Diorのアメリカントラッドの解釈とブルネロクチネリのアルマーニの解釈に直接の関連性はありませんが、時代感を考えると、アルマーニのスーツとアメリカントラッドは当時のリアルタイムではトレンドの時間軸は異なっていますが、1980年代後半から1990年代のトレンドや時代感の流れにあったもので、その時代のトレンドを各ブランドが意識しているのではないかと考えています。
トレンドのようなものは時代を巡って回帰するので、80年代末から90年代に流行ったものがここに来てトレンドサイクルに入っているのではと感じています。
アメリカントラッドは元々好きなスタイルながら、しばらくしていないので新鮮に感じます。
ボタンダウンシャツ
今回目を引いたのが、オックスフォード生地を使ったボタンダウンシャツになります。従来のDiorが展開するフォーマルなシャツがコットンポプリンを使用し、スーツやジャケットの下に着る事を前提としたスタイルであった事に比べ、細身なスタイルはDior的ながら、生地が厚手のしっかりしたオックスフォード生地を使い、身丈を少し短くし、パンツから出して着る事を前提に仕立てられています。
エディスリマン時代のDiorのシャツは過去に数枚持っていて愛用していましたが、今季展開しているボタンダウンシャツも小さな襟の形や、細めのアームホールなど、エディスリマン時代に作られたアイコニックなスタイルを残しています。
Diorのシャツは、モード感がありながら、デニムの上に羽織るだけで独特の世界観が出ます。ただ501のようなスタンダードなデニムより、やはりDiorの細身のデニムとの相性が良いです。
私がボタンダウンシャツを着る時、デニムと組み合わせる時は、アイロンをかけず洗いざらしで着ることが多く、チノパンツと合わせる時はアイロンを掛けて着ます。Diorのオックスフォードシャツは、スタイルが異なり、もう少しラフに着るアメリカントラッド的な着方も楽しめます。
今回、ボタンダウンシャツを着て感じたことに、スタイルはDiorのモード的なスタイルながら、作りに手作り感があり、生地の選択を含めイタリアのカミチェリアで仕立てたような雰囲気があります。
モチーフはブルックスブラザースのボタンダウンシャツながら、アメリカ的な工業製品としてのシャツではなく、イタリアの仕立てシャツ風な質感を持っていることで、一枚のシャツながら様々な表情を持っています。
チノパンツ
オックスフォードシャツ同様目を引いたのが、ノープリーツでクリースをつけていない細身のチノパンツになります。素材も春夏シーズンによく見られる、薄手のコットンで履き心地も良く使い勝手の良いパンツになります。
細身のチノパンツは、PTトリノやインコテックスなどイタリアブランドが展開しているテーパードが効いたものは良く見かけますが、従来のアメリカ的なあまりテーパードの効いていないものは需要がないのか、ここ数年見かける事がなく、履きたいと考えてもなかなか見つける事ができませんでした。
今冬購入した、Visvimのジャーマンコードのパンツが思いのほか素晴らしかったので、視野を広げ、様々なブランドのチノパンツの展開を色々探していたら、今季の春夏シーズンからDiorの新しいデザイナーに就任したジョナサンアンダーソンのコレクションにこの細身のチノパンツがありましたので興味を持ち、試着したらシルエットの綺麗さを含めイメージしたチノパンツでしたので購入しています。
モチーフは、アメリカ的なチノパンツながら、Diorらしい細身のシルエットと直線的なカットで仕立てた事で、足が綺麗に見えるスタイリングに優れたチノパンツになります。
上記した、ボタンダウンとチノパンツの組み合わせが、昔から好きで定期的に着たくなる、アメリカントラッドの定番スタイルでありながら、Dior的な清潔感を持ちながら様々な表情を持つスッキリしたスタイルになります。
