Formosa Cashmere Jacket

Formosa Cashmere Jacket 00

今シーズン、従来のカジュアルウエアに加え、長らく着ていなかったスーツやジャケットを着る機会が増えています。私の定番でもある、Levi’s501XXなどデニムとの相性も良く、カシミアで仕立てられていることで、真冬でも着用機会の多いFormosaのカシミアジャケットを紹介します。

Formosaのカシミアジャケットの紹介に加え、極めて個人的な解釈ですが、イタリアのサルトリアの本質的な文化側面を考察しています。この考察をすることで、Formosaのカシミアジャケットの素晴らしさの理解が深まっています。

今回は長い記事となりましたので6ページに分けて構成しています。

Formosa

今回紹介するFormosaですが、ファッションブランドではなく、イタリアナポリのサルト(仕立て屋)になります。正式名称はSartoria Formosa でナポリのキアイア地区に工房を構えています。

歴史は古く、1965年にMario Formosa氏が始めた工房になります。Mario Formosa氏はナポリ仕立ての「黄金期」を支えた伝説的な巨匠の一人であり、Roberto Combattenteに師事したナポリスタイルの正当な継承者であります。

創設者の、Mario Formosa氏が永眠した為、現在、ご子息のGennaro Formosa氏が、Marioの意思を継承し現在も工房を続けています。従来は、ビスポーク専業でしたが、少量ながら既成服の展開も行なっています。

特筆すべきは、既成服も外注のファクトリーを使わず、自社の工房で職人さんが仕立てていますので、ビスポーク並みのクォリティの既成服となっています。日本での展開はありませんが、北米の高級衣料を扱うデパートなどで展開しています。

ナポリのスーツスタイルは、軽さと柔らかさ、厳格さより自由といったナポリの風土が生んだ思想とも言える特徴があります。マニカ・カミーチャ(シャツ袖)や薄い芯地が特徴で、優れた職人技術による手縫いを多用し、ミシンでは表現が難しい、人の手による温もりと、身体に立体的に沿う丸みのあるシルエットが、英国由来のスーツスタイルの厳格さを程よく中和し、品が良く、軽やかな着心地を持っています。

ナポリの仕立て技術や思想といった文化的側面の継承に加え、Formosa独自の技術と知見を足すことで、従来のナポリスタイルをより着やすく、モダンに楽しめる日常性を持っています。

Formosaはナポリ仕立ての文化的な継承に力を入れており、工房には、若い有望な職人が多いことも特徴です。

[ Formosa 公式Webサイト ]

仕立ての特徴

Formosaは、ナポリの伝統的な仕立て技術や思想を継承しながら、他のナポリのサルトリアと比べてフォルムの構築にやりすぎない余裕を感じさせる独特のバランスを持っています。

他のナポリの仕立て同様、芯地を極力省いた非常に柔らかい仕立てを行っていますが、胸回りから肩にかけて立体的なボリュームを出すのが非常に上手く、仕立ての過程や芯地で身体のラインを無理に作らず、程よく身体にフィットしたシルエットを構築しています。

この技術の高さから、他のナポリの仕立てに比べ、スッキリとしたシルエットを持っています。そのことでFormosaのジャケットやスーツはナポリ仕立ての伝統に現代的なモダンさを取り入れたシルエットと評されています。

Formosaの技術と哲学から、ジャケットのフォルムを維持するのに、生地のウエイトに頼る必要がなく、他のサルトでは敬遠されがちな、軽く柔らかい生地を柔軟に取り入れています。このことで優れたスタイリングながら柔らかさを伴わせた独特の軽さと着心地の良さを持つのがFormosaの仕立てたジャケットやスーツの特徴です。

全てが柔らかく軽い生地で作られているわけではなく、顧客の要望で生地のウエイトを上げた、着堪えのある構築的なスーツもありますが、顧客はその軽く柔らかい着心地を求めてFormosaを選ぶケースが多いと感じます。

ヴィンテージ生地を含めた生地のストックもナポリ屈指であることで、顧客により適した生地の提供を行うことにもこだわりを持っています。

Formosaはナポリの正当な仕立て技術を継承しながら、持ち前の器用さとバランス感覚で、従来のナポリスタイルをよりモダンに進化させた工房と私は考えています。

軽く柔らかいカシミアジャケット

Formosa Cashmere Jacket

風が吹くとカシミア生地の軽さと柔らかさが良く分かります。

ナポリらしい肩から胸の曲線

Formosa Cashmere Jacket 肩と胸のライン

ナポリ仕立ての特徴である、高いゴージライン、広い襟、太めのアームホール、肩から胸までのラインがしっかり構築されています。身体のフィット感を強調しないことで全体のバランスを取っていることがFormosaらしい特徴で、非常にモダンなシルエットとなっています。

程よく立体的な後ろ姿

Formosa Cashmere Jacket バックのシルエット

肩から、脇の絞りへと流れ、絞ったウエストから、開いていくヒップまでの曲線ラインもやりすぎていない事で、少し長めの丈と深く取ったサイドベンツと合わせて、すっきりとしたシルエットを構築しています。

高めのゴージラインと開いた襟

Formosa Cashmere Jacket 高めのゴージと開いた襟

Formosaの特徴に、襟のカーブが少し強めに入っています。このカーブが着用時に襟が開き、胸のラインを逞しく見せてくれます。写真でわかりにくいかもしれませんが、ハンガーにかけると、このカーブにより襟が開かず内側に締まります。

M.F Mario Formosaのタグ

Formosa Cashmere Jacket M.F. Mario Formosaのイニシャル

タグにM.F Formosa創業者Mario Formosaのイニシャルが入っています。

今回は、モダンでスタイリッシュでありながら、程よい質量のヴィンテージカシミアを使い、高度な仕立て技術で作られた、軽く着心地の良さを持つFormosaのカシミアジャケットの紹介になります。

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