私は、ウエスタンシャツが大好きで、複数のウエスタンシャツを持っています。過去に大阪のNew Air VintageさんがリメイクしたWranglerのウエスタンシャツを紹介しています。
[ Wrangler Western Shirt (New Air Vintage) ]
元々古着が好きで、アメリカのオリジナルのものを好みますが、スタイリングを考えると、現代的な解釈をしたものの方が様々な着こなしを楽しめます。ウエスタンシャツはデニム同様、作業着からファッションアイテムとして評価され進化しており、様々なブランドが独自の解釈で作りあげたものを展開しています。
私は数あるウエスタンシャツの中でも、現代的な解釈をしながらも、生地や作りを含めオリジナルの要素をしっかり残したものを好みます。
ウエスタンシャツを、現代的な解釈で着やすくした代表例が、ブルネロクチネリのウエスタンシャツになります。ウエスタンシャツのフォルムを用いていながら、イタリアの上質な生地や職人の優れた技術で仕立てていますので、ドレスシャツの要素もありジャケットのインナーとしても楽しめます。
ブルネロクチネリのウエスタンシャツは、スタイルはカジュアルながら、作りはフォーマルシャツで、ブルネロクチネリらしい上質なコットン生地で作られています。Wranglerなどの軽いオンスのデニム生地で作られたオリジナルのウエスタンシャツと比べると柔らかく着心地に優れていますが、着込む事でのエイジングを楽しめるようには作られていません。
SOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGD
今回紹介するVisvimのウエスタンシャツである、SOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGDは、厚手のデニム生地を使いオリジナルのフォルムや生地の質感を継承し、ヴィンテージアイテムの魅力的な経年変化を取り入れながらも、サイズ感は現代的な解釈で作られています。
Visvimは、古着を含め、もう少し広範囲なアメリカの伝統的な服飾にインスパイアされたアイテムを展開しています。ネイティブアメリカンの伝統や、日本の伝統工芸、世界で大事に残るものづくりの手法などを取り入れた非常にこだわったもの作りをしています。
Visvimの優れたセンスと、過去の工芸技術への敬意などを含めた徹底したこだわりで作られたVisvimの展開するウエスタンシャツであるSOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGDを紹介します。
1.Visvimのデニムの質感

デニムの糸からこだわり、インディゴ染めの手法、デニムとしての質感、古着に対する深い研究と敬意をもとにヴィンテージ加工を致したVisvimらしいウエスタンシャツです。写真に写っているデニムはSOCIAL SCULPTURE 01 SLIM DMGD-45という、Visvimが定番で展開しているスリムストレートのデニムになります。
2.比較例 ブルネロクチネリのウエスタンシャツ

現代的な解釈という視点で例に挙げたブルネロクチネリのウエスタンシャツになります。見ての通り、形はウエスタンシャツですが、生地感が全くの別物で、カジュアルにもジャケットなどのフォーマルウエアの着崩しにも使える優れたシャツになります。
3.比較例 Wranglerのウエスタンシャツ

過去に記事にしているNew Air VintageがリメイクしたWranglerのウエスタンシャツになります。デニムのオリジナルがLevi’s 501と同様ウエスタンシャツのオリジナルがWranglerであるので一番自然に見えます。肩周りや身幅の余裕やアームホールの太さが現代的なウエスタンシャツとの相違点ですが、これくらいのシルエットの方がカジュアルに着るのであれば一番使いやすいと感じています。
4.Visvim SOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGD

Visvimが展開するヴィンテージ加工をしたウエスタンシャツであるSOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGDになります。上記比較例のWranglerより現代的なスタイリングながら、ブルネロクチネリほど、現代的に寄せていないので、ちょうど良い塩梅で着やすいウエスタンシャツになります。ヴィンテージ加工に独特の癖があるので、これ一枚で世界観を出せる優れたウエスタンシャツです。
Visvim
過去に記事にしているジャーマンコードを使ったスリムフィットのストレートパンツであるFLUXSUS 01 SLIM G.CORDSが、非常に着やすく、様々なアイテムと合わせやすかった事から、Visvimの他のアイテムに興味を持つ中で選んだウエスタンシャツになります。
Visvimのアイテムは、ファッション史のなかで、過去に作られたアイコニックな衣類を、独自の視点で再構築しています、他のブランドも同様なアプローチをしていますが、Visvimは非常に研究熱心なブランドであり、より深い理解から、モチーフにした衣類の本質を踏まえた上で、Visvimが考える最良の形で再構築しています。
この、リメイク的な再構築の仕方が絶妙で、歴史的に評価されたヴィンテージ衣料の良さを、現代の時代感と合わせる塩梅が非常に優れています。(社会性や永続性といったトレンドとは異なる要素もしっかり踏まえています)
トレンドという服飾には欠かせない要素を持ちながら、長年愛用できる普遍性と永続性という相反した価値観をVisvimが展開するアイテムは持ち合わせています。
意味を持たせたリメイク
一例として、ヴィンテージ衣料のエイジングといった魅力的な構成要素を、素材選びや加工にこだわりエイジングの本質を追求する事で、ヴィンテージ衣料の復刻(これは非常に魅力的な世界ですが、ファッションという観点からすると、王道から外れた少しマニア的なものになってしまいます)とは異なる形で構成しています。
ヴィンテージウエアの研究を熱心に行い、同じ素材、同じ製法で現代に復刻しても、同様にはならないというテーマへの挑戦を継続的にしています。試行錯誤から様々な要素を理解した上での物作りを行い、細かな違いや、省かれてしまう手間を惜しまない事もVisvimの特徴です。
このことで、物作りの目的がプロセスに惑わされるという落とし穴に陥らない一貫した姿勢で物作りを行うことで永続性や普遍性を持たせています。
表現が難しいのですが、ヴィンテージ衣料や古着文化、そこにインスパイアされたアイテムには、定番アイテムやキーワード、誰もが知る価値といった評価基準がありながら、実際に身につけてみたらファッションとして消化しきれないものも多々あります。
ヴィンテージ衣料や古着の着こなしの難しさをVisvimの視点でファッションとして成り立つように消化し、提案することで、ヴィンテージ衣料を着こなす難しさをVisvimのアイテムを選ぶことで解決しているようなイメージがあります。
SOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGD
SOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGDと長い名称ですが、Visvimのアイテムは独特の名前がついています。
- SOCIAL SCULPTUREは、Socialは生活とSculptureは彫刻を組み合わせた言葉でVisvimの着用者の生活により、デニムが風合いを増すと彫刻のように変化することを意味しています。Visvimのデニムを履き続けることで将来ヴィンテージのデニムのような風合いなるといったコンセプトを表しています。
- SOCIAL SCULPTURE SHIRTはVisvimのコンセプトで、将来ヴィンテージのように風合いを増すデニムシャツであることを表しています。
- DMGDはダメージ加工を表しています。
着用例
私はウエスタンシャツやデニムジャケットを着る際、上下デニムで合わせる着こなしはほとんどしません。Visvimのアイテムの面白さに、従来の私の価値観を変えるだけのインパクトがあり、VisvimのウエスタンシャツにVisvimのデニムを合わせています。
ウエスタンシャツの作りやヴィンテージ加工と、合わせたデニムの作りとヴィンテージ加工に、両者とも新品ながら、時間軸のズレのような要素が含まれています。この時間軸のズレが、従来やぼったくなりがちなデニムオンデニムのような同色の着こなしを、洗練された選択に見せてくれる魔法のような作りの面白さがあります。
古着やオリジナルアイテムで、このような形を揃えるのはなかなか難しく、古着を愛し、研究を重ねたVisvimらしい視点で作られています。
1.SOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGD

オーソドックスに、ボタンを止めて着ています。ボタンを止めることで、このシャツのフォルムが良くわかります。
ヴィンテージ加工の上手さが際立っていますが、肩幅から身幅、身丈、袖丈のちょうど良いサイズ感。襟の大きさやパッチポケットの大きさを含め、どのように着てもVisvimが作り上げた世界観が表現され、普通に見えながら、普通ではないウエスタンシャツの着こなしが楽しめます。
2.後ろからのシルエット

後ろ姿もしっかり計算されており、紺一色の同色系でまとめる難しさとは無縁の洗練されたシルエットを構築しています。
3.全体のシルエット

上下のセットアップで着ると、ウエスタンシャツとデニムのヴィンテージ加工の差が良くわかります。Visvimの凄さを感じる理由に、ウエスタンシャツのエイジング処理が絶妙で、シャツのエイジングとデニムのエイジングに差をつけることで、色差のある同色のセットアップの難しさを解決しています。
4.フロントボタンを閉めずに着てみます。

シャツのボタンを開けて、白Tシャツを見せることで、全身紺色の組み合わせの中に、色合いの変化が生まれます。
5.全体のバランス

全身のスタイルのバランスもタイトにまとめながら、細すぎない絶妙なシルエットになっています。
6.ウエスタンシャツを腰に巻いてしまいます。

ウエスタンシャツを脱ぎ腰に巻いています。アメカジの着方でよくあるスタイルもVisvimのセンスの良さで非常に綺麗にまとまり洗練されています。
ディテール
- SOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGD
- 8oz
- ダメージ加工
- 100%綿
- 色 インディゴ
- サイズ1
組み合わせ
- ウエスタンシャツ : Visvim SOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGD
- パンツ : Visvim SOCIAL SCULPTURE 01 SLIM DMGD-45
- 白Tシャツ : Tom Ford
- 帽子 : ボルサリーノ
- スニーカー : Visvim SKAGWAY LO
おわりに
Visvimのウエスタンシャツは、New Air VintageのWranglerのウエスタンシャツのような古着が完全に褪色した物ではなく、褪色を含めたエイジングの途中経過を表現したことで、購入したユーザーがその後のエイジングを楽しめるように作られています。
ブランドのコンセプトにもある、購入者一人一人のヴィンテージを提供するという趣旨で作られており、リジットほど硬くはありませんが、8ozのしっかりしたデニム生地を使い、適度な洗いをかけていますので、程よい硬さが残り着込むうちに柔らかくなり、洗いをかけることで、世界に一枚の魅力的なエイジングしたウエスタンシャツが出来上がります。
Visvimは世界的にも評価が高く、一般の服好きから、有名なクリエーターまで顧客層が幅広く、Visvimのファンは、他のブランドの愛用者に比べ、熱烈なファンが多い事も特徴です。
素材を含め徹底した研究を重ねた作りの良さに加え、独自のセンスやさじ加減など、服の魅力を構成するエッセンスをふんだんに持ちながら、あえて表に出さず、ユーザーが手に取り、実際に着ることで価値を理解し、長年着込むことで愛着を持てるようなモノづくりを一貫して続けていることが、私が惹かれるVisvimの魅力でもあります。
Shop
今回紹介したSOCIAL SCULPTURE SHIRT DMGDを購入したのは、中目黒にあるVisvim General Storeになります。
Visvimの世界観を古民家をリノベーションした素敵な空間でご覧になれます。
お店についての詳細はFLUXSUS 01 SLIM G.CORDSの記事でまとめていますのでそちらをご覧ください。
