John Lobb Barros : 長く愛しているもの
25年以上、四半世紀を超えて、愛用しているJohnLobbのBarrosを紹介します。私が初めて購入したJohnLobbの靴であり、非常に愛着がある靴になります。フォルムが、現代のJohnLobbの洗練されスッキリした形と異なり、昔ながらの英国靴の伝統である、少し丸いダービーのUチップとなります。元々は、紺ブレザーとグレーフランネルのトラウザーズに合わせる為に購入しています。
購入したのは、横浜のみなとみらいに直営店があった時代で、JohnLobbの販売は(株)キャンディが運営していた時代になります。キャンディは非常に面白いものを売る会社で、JohnLobbを運営していた頃は、同じイギリスのヒルディッチアンドキーのシャツの販売もしており、その後、ベルギーのチョコレート、ピエールマルコリーニを販売し有名になります。
当時、関東圏のJohnLobbの直営店は、みなとみらい店と、246沿の外苑にあった青山本店の2店舗で、私がBarrosを購入したみなとみらいの直営店も閉鎖してしまった為、しばらくは外苑の青山本店一店舗の直営店で運営していました。
その後、立て続けに購入した、DarbyとChambordは、青山本店で購入したのですが、青山本店の店長さんが面白い方で、当時から世界最高の紳士靴の評判や、高級ブランド然としたお店の雰囲気に反し、昔ながらの靴工房の親父のような人柄で、本人も革マニアのような一面があり、本当にJohnLobbの靴が好きでお店をやっているような方でした。
その店長との会話が楽しくて、青山に遊びに行った際には必ずお店に顔を出していました。当時の外苑は、私が愛用したお店の直営店があり、外苑近辺は、カッシーナ > ベルルッティ > JohnLobb > その後、表参道と散策するのが楽しみでした。
ベルルッティの靴は、JohnLobb購入から少し時間を置いての購入でしたが、青山本店の店長さんが女性で、男性ファッションにも非常に詳しい方で、当時の私のファッションが、ベルルッティに、通常来るお客様とちょっと異なっていた事(カルぺディエム愛用)から、良く話しかけられファッション談義をするのも楽しみでした。
その店長さんの計らいで、新作発表のパーティーなどにも招待され、覚えているのは、ベルルッティ愛好者であった加藤和彦さんも来ていて、歳はそれなりに取っていましたが、若々しく背が高くスタイル抜群な方でしたので、センスよくベルルッティの靴を履きこなす姿は非常にカッコよかった事を覚えています。
ベルルッティは後輩に譲ってしまいましたが、非常に素晴らしいお店なので記事にしています。
余談ですが、キャンディとカッシーナ、サザビーリーグの3社は、私の中で、世界にある優れたものを誰よりも早く日本に紹介した会社というイメージがあります。
キャンディが扱った、JohnLobbの靴やヒルディッチアンドキーのシャツ。カッシーナが扱ったマリオベリーニのマラルンガソファーやフランクロイドライトのコーヒーテーブル、カッシーナがオリジナルで製作したベッドや鏡台、ダイニングセットなど自宅で使用する家具類は実際に購入し今でも愛用しています。
ヒルディッチアンドキーのシャツは、英国ファッション好きの後輩に譲ってしまいましたが、JohnLobbの靴、カッシーナの家具は四半世紀を超えて愛用し続ける真の名品でもあります。
マラルンガは一度革を張り替えていますが、毎日リビングで使用しており、ガタ付きなどとは無縁の堅牢さで、まさに一生物のソファーです。私は、一人がけソファーとオットマン、2人かけのワイドタイプのソファーをL字のような配置で使用しています。この、一人がけのソファーとオットマンでくつろぎながら、MacBookProでこのブログを書いています。(Macを触る時に使うダイソンのクレーンのような照明器具もカッシーナの紹介で購入し愛用しています)
サザビーリーグは、若い頃買ったアニエスベーのボーダーシャツ(流石に処分してしまいました)や、ロンハーマンのデニムやTシャツ、フランクアンドアイリーンのシャツなどは未だに持っています。サザビーリーグといえばなんと言ってもスターバックスコーヒーの運営が有名であり、恐らく利用したことがない方を探す方が難しいくらい一般化しました。

Barrosは少し丸みを帯びた可愛らしいフォルムのダービースタイルで仕立てたUチップになります。

当時の私の革靴の好みがダブルソールのダービーでありBarrosはダブルソールになっています。
はじめに
JohnLobbの靴は25年前に購入し、一時は3足をローテーションで履いていましたが、スーツを日常着なくなった頃から、履く機会が減っていました。最近、心境の変化から、また少しずつですが、履く機会が出て来ています。
購入当時は、お店の方から言われた、一生物の靴という実感はあまりなかったのですが、25年を経た今、当時言われた、一生物という事を実感しています。
作りの堅牢さだけでなく、普遍的で飽きのこないデザインも含め、本当に良いものとは?という商品に対する哲学が徹底されているブランドです。非常に手の込んだ作りや、長年蓄積されたノウハウが、実際の着用で、購入者にどんどん合ったものに変化し、身体に馴染んだ状態のJohnLobbの靴は手放せない、という伝説のような話も身をもって体験出来ます。
一見したデザインは、普通の作りの良い靴で、見た目の華美さは感じられませんが、身につけると本質的な上質さが自然と出て来る、歴史に裏付けされた真の名品です。
私が愛用している、3足のダービーは現在廃盤となってしまい、新たに購入することは出来ません。また、時代の流れから、ダブルソールのダービーそのものをJohnLobbが辞めてしまっているのは残念です。
過去の私であれば、JohnLobbの靴は、スーツないし、ブレザーのスタイル以外では身につけませんでしたが、歳をとり、その辺りのこだわりのようなものに縛られなくなって来た事で、また履くようになっています。
別記事で、紹介しますが、25年ぶりに、JohnLobbのブーツであるLawryを購入しました。購入した丸の内店の顧客対応も、私が知っている、昔ながらの個人の靴工房的であり、接客や対応が非常に素晴らしく、25年前に購入した靴のメンテナンスもお願いし、過去には考えもしなかった、革底にラバーを張る対応もしていただいています。
若い頃の私は、ある種、原理主義的な考えが強く、革底にラバーを張るなど考えもしなかったのですが、革底の難点に、大理石の床などを歩くと非常に滑りやすく、何度も転びそうになっています。そのような難点をカバーする対応もしていただけるのが、現在のJohnLobbにも受け継がれる靴工房的な考えでもあります。
JohnLobb
2つのJohnLobb
JohnLobbの話題に良く出る、JohnLobbロンドンとエルメス資本のJohnLobbパリ、という2つのJohnLobbがありますが、日本で眼にするほとんどのJohnLobbの靴は、エルメス資本のJohnLobbパリの靴になります。私の所有するJohnLobbもパリの製品になります。
わかりやすくいえば、ロンドンのJohnLobbは、ビスポーク(フルオーダー)専門の昔ながらの靴工房で、パリのJohnLobbが既成靴を販売し、要望があれば、ロンドンのようなビスポークにも対応する、高級靴メーカーのような形になっています。
JohnLobbロンドンの靴は、ロンドンに行ってオーダーする必要があるので、一般の方が購入するのは敷居が高いです。過去には毎年6月にホテルオークラに来日して、オーダーイベントを行っていました。
20年ほど前に一度、このホテルオークラのイベントでオーダーする事を考えましたが、スーツ着用の機会が減り、結局オーダーするには至りませんでした。JohnLobbロンドンのビスポークに夢があるのは、JohnLobb愛用の歴代の有名人(英国王室やチャーチルなど)の木型の保管と同様、自身の木型が保管されます。このような夢のような体験が出来る事は滅多にありません。
当時の記憶ですが、ホテルオークラの来日イベントでのオーダーは、最低2足からで、ダービーとオックスフォードの数種類の型に、革の選択や、トゥやヒールの形、ソールの形などを選択するもので、確か価格も一足4000ポンドくらいだったと記憶しています。
DarbyとOxford
私が、JohnLobbの靴を購入した当時は、英国靴というと外羽のダービーのイメージがあり、フルブローグで、鳩目の細工が入ったスタイルが英国靴のイメージでした。ダブルソールもイギリスらしい作りで、堅牢であり、所謂カントリージェントルマン的な、田舎の土の上を歩く質実剛健な靴であり、そのような靴が好みでした。(この好みは今でも変わっていません。)
JohnLobbのOxfordのイメージとしては、CityやPhilipといったストレートチップの名靴があり、一時、JohnLobbと言えばPhilip2というくらいメディアでの露出がありましたので、名前は知らなくても見たことがあるのではないでしょうか。私のオックスフォードの靴のイメージは、ダービーに比べフォーマルな靴であり、式典などフォーマルな場所で履く靴であり、ダービーが英国の田舎で履く靴とすると、オックスフォードはロンドンなどの都会で履く靴と言えばわかりやすいかもしれません。
当時の、JohnLobbロンドンのウエブサイトを良く見たのですが、ビスポーク専業で、顧客は歴史上の人物が多いなど、紳士靴の頂点でもあるイメージが頭に残っている状況であり、そのような先入観から、実際に展開する靴の写真を見ると、驚くほど質素で、原始的な靴であり、ある意味、非常に野暮ったいデザインの靴でした。その野暮ったいダービーのフォルムこそが、私が大好きな英国靴のイメージです。
今回紹介するBarrosは、フルブローグの外羽ダービーではありませんが、フルブローグと共通する質実剛健なイメージがある、Uチップの外羽ダービーで、ダブルソールであることが私がBarrosを選択した理由です。
私自身が、若い頃から、カッチリしたスーツより少し力の抜けたものが好きであり、ブレザーのスタイルなどを好んでいたので、自然と靴の好みは、オックスフォードよりダービーを好んでいます。当時のJohnLobbのダービーに共通する、英国のカントリージェントルマン的な、実用重視で質実剛健さが、自身の好みと一致していたので、短期間に3足のダブルソールのダービーを購入する動機になっています。
今回はBarrosの紹介ですが、別記事でダブルソールのダービーである、DarbyとChambordも紹介出来ればと考えています。この2足の紹介は、今やほとんど着なくなってしまった、スーツを着用して写真を撮る事を考えています。
Barros
私のBarrosは2000年購入なので、当時のラストが2998になります。私自身靴は好きですが、スペックマニアではないので、一般的な知識としての理解ですが、2998はBarros専用のラストで、JohnLobbの工場で製作されたものになります。
ダブルソールの5穴の外羽ダービーで、少しカジュアルなUチップになります。このフォルムで有名な靴は、JMウエストンのゴルフがあります。ゴルフは、ラバーソールで、横から見るともう少し厚みがありますが、Barrosは、厚みを抑えたスッキリしたフォルムになっています。Barrosに限らず、JohnLobbの靴の特徴に、ソールからアッパーまでのサイドの丸みが強く、この作りが評価の高いJohnLobbの履き心地を決定しています。
細かく見ていくと、ステッチの丁寧さや、トゥやヒールのカーブの美しさと作りの良さ、上質な革質による光沢感などが際立っています。ただ、一足の靴として見た時に、中庸なUチップのダービーであり、華美な要素より質実剛健な要素の方が強い靴です。

トゥからヒールまでの曲線が美しく、この曲線は見た目の美しさより履き心地を良くするために出されています。

昔ながらの少し丸いフォルムのUチップのダービーですがその中庸さこそが長い年月飽きが来ない優れたデザインです。

現代の靴のデザインからすると少し丸いフォルムで、トゥをあまり尖らせていません。

今回メンテナンスに出し、靴底にラバーを貼ってもらいました。このことで革底では滑るような床でも問題なく履く事が出来ます。

当時の靴箱は、紙の色がナチュラルで、ボールペンによる手書きで靴の名前(ソール)、サイズ、ラスト、色、革質が描かれています。
着用例
今回、チノトラウザーズと、細めのコットンパンツにBarrosを合わせています。ベージュ系のパンツの方が相性は良いのでデニムとの合わせはしていません。

中庸なデザインから、チノトラウザーズとの相性は抜群です。

靴単体で見ると少し丸いフォルムが、トラウザーズを履いた時にバランス良く見えます。

チノトラウザーズより細めのパンツと合わせてもバランスが良く上品な組み合わせになります。
Barros
- Last 2998
- 色 : Tobacco
- 革 : Carf
- 靴底 : ダブルソール
- サイズ : 7 1/2 Eワイズ
組み合わせ
- 靴 : JohnLobb Barros
- チノトラウザーズ : Boncoura
- ニット : Boncoura
- 5ポケットパンツ : Visvim
おわりに
今冬、久しぶりに履き始めた、JohnLobbのBarrosについて記事をまとめて見ました。購入は2000年なので、四半世紀前に購入した靴ですが、靴の状態はもちろん、25年経った今でも古くないデザインは、長い歴史を持ち、本当に良いものを頑なに作り続けてきたJohnLobbだからこそであります。
スーツを常時着なくなった事で、JohnLobbの靴もクローゼットに仕舞ったままになっていましたが、久しぶりに靴箱から取り出しても、全く劣化がない状態でした。元々革製品の手入れなどは嫌いではないので、しまう前に、JohnLobb純正の保湿クリームを、しっかり塗りこんで手入れしていた事も影響しているとは思いますが、本質的に、最高の革質と最高の造りがあるからこそ、長期間使用しない状況でも全く劣化がなかったと言えます。
今年、後輩と友人のお祝いに、ベルルッティの靴をプレゼントしましたが、私も久しぶりに革靴を購入しようと考えており、所有していなかった、JohnLobbのブーツを候補に挙げていました。
今の私のスタイルだと、表革のかっちりしたものより、スエードの柔らかいものの方が合っており、JohnLobbのブーツの定番である、Lawryのダークブラウンのスエードのものを購入しています。
Lawryを購入した丸の内店の対応が素晴らしく、四半世紀前に購入した、ダービー3足の購入履歴もしっかり残り管理されています。その流れで、メンテナンスをお願いし、現代的な使いやすさを考慮してラバーソールを貼ってもらっています。
丸の内店のスタッフと話した中で、当時の青山本店の店長の話も盛り上がりました。記事にも書いていますが、JohnLobbの良さに、高級ブランド然としたイメージがありますが、実際の靴に対するこだわりや、顧客へのサービスのスタンスは昔ながらの靴工房的であり、購入した靴を、生涯に渡り大事に出来るための、メンテナンス体制は当然行なっています。
また靴の価格から考えると、非常に良心的な価格でメンテナンスを行なってくれる事も、JohnLobbの本質的なスタンスを具現化しているとも言えます。
過去には、スーツやブレザーなど、少しフォーマルなスタイルでしか履いていなかったJohnLobbの靴ですが、私のファッションに対する考え方が少し変化してきており、もう少しカジュアルなスタイルでも履く機会が増えて来ています。
長年使用して来た靴なので、私の足にフィットしており、履き心地は最高です。普遍的で、古くならないデザインをはじめ、本当の意味で、生涯にわたり履き続ける事が出来る最高の靴なので、これからも長く楽しんで行きたいと考えています。
Shop
今回ご対応いただいたJohnLobbのお店は、ジョンロブ丸の内店になります。
今回記事にしたBarrosの購入は、過去に運営していたみなとみらい店ですが、すでに店舗が無くなっています。別記事にまとめますが丸の内店でチェルシーブーツのLawryを購入し、その際に過去に購入した靴のメンテナンスをお願いしています。
Barrosは、メンテナンスをかなり早く仕上げていただき、手元に戻りましたので、今回記事にまとめています。付け加えるとメンテナンスにかかった費用も非常に良心的です。
ベルルッティの記事で、ベルルッティも20年前の購入をしっかり履歴として残し管理していますが、ジョンロブも25年前の購入ですが、当然しっかり履歴を残し、顧客情報をしっかり管理しています。
ベルルッティもジョンロブも、靴という非常に長いサイクルで使うものを長年扱って来た老舗なので、非常に長いサイクルでの顧客管理は当然しっかり行なっています。言葉にすると簡単ですが、今の高級ブランドで、このような顧客管理を行えているブランドがどれくらいあるか?と考えると結構少ないのではないでしょうか。
ベルルッティの顧客対応の素晴らしさは記事にしていますが、ジョンロブの顧客対応も同様に素晴らしいものです。ただ、両者の違いとして、アパレルにも参入しているベルルッティの方が、所謂ラグジュアリー(真の意味で)感があり、スタッフの方も、一流のお店でのサービスという意識が高く、本質的で高級感のある対応を徹底しています。
ジョンロブも、世界最高の高級靴と言われ、キングオブシューズとも言われており、イメージとしてはベルルッティに近い印象がありますが、実際にお店に入り、靴を見せてもらい、試着したりしていくと、スタッフとのやりとりは、ラグジュアリーというより、腕の良い靴職人さんとのやりとりのような印象を受けます。
自社の製品への、絶対的な自信と信頼があり、あとは顧客の好みや、足に対するフィット、長年愛用出来る為に必要な事など、現場合わせをしっかり行うことで、購入した顧客の満足度を上げる努力を惜しんでいません。それこそが一番大事な、顧客に対する誠意であるといった、昔ながらの靴職人的な哲学を感じます。ジョンロブの評価が高い理由に、靴が本当に好きで、大事にする顧客に沿ったサービスを、第一に考えているというとわかりやすいかもしれません。
しばらく、JohnLobbの靴は履いていなかったのですが、過去に所有した3足は全てメンテナンスを行い、革底にラバーを貼ってもらっていますので、今後なるべくしっかり履いて手入れをしながら愛用していきたいと考えています。