Brunello Cucinelli マウンテンブーツ
一見ゴツく、重厚感がありますが、履くとスッキリした洗練されたフォルム、ブルネロクチネリらしい上質で柔らかいカーフを使い、ソールにTPU素材を使った軽さと履き心地に優れたマウンテンブーツになります。
ブルネロクチネリが、提案する着こなしに、通常とは異なる、意外性のある組み合わせがあります。これはブルネロクチネリのコンセプトの一つである、リゾートウエアの観点から提案される着こなしなどが該当しています。
通常の服飾的な考え方では、スーツやジャケットにマウンテンブーツを合わせるといった発想がありません。ブルネロクチネリの面白さの一つに、マウンテンブーツをスーツに合わせてしまうような意外性のある着こなしの提案もしています。
私が、ブルネロクチネリのスーツは所有していないので、スーツにマウンテンブーツを合わせることは出来ていません。幸い、春夏用、秋冬用とカジュアルながらジャケットは所有しています。秋冬用として愛用するコーデュロイジャケットを着る際、ブルネロクチネリが提案する、テーラードジャケットに、マウンテンブーツを合わせるスタイルの組み合わせをする機会は多いです。一見、意外な組み合わせながら、このスタイルは程よく力が抜けながらも、遊びの効いた洗練されたスタイルになります。
ブルネロクチネリが独自に提案する、マウンテンブーツの意外性のある組み合わせの話をしていますが、今回紹介するマウンテンブーツは、靴単独としても非常に優れており、ブルネロクチネリらしい、程よく力の抜けた洗練さを持った、他のブランドでは作りえない、優れたマウンテンブーツになります。
非常に柔らかく履き心地の良いブーツです。ブルネロクチネリの靴全般に共通する作りの良さや素材、靴作りの理念のようなものを感じています。過去にスエードのローファーでも同様の感触を得ています。

上質なカーフを丁寧に使いマウンテンブーツとして仕上げています。

カラーがカフェ(焦茶色)であり靴紐も同色の革紐なので、マウンテンブーツのフォルムが持つボリューミーなゴツさや少しゴチャついた靴紐周りのイメージは全くありません。
はじめに
私自身、過去に、本格的なマウンテンブーツを所有し、愛用した事はなかったのですが、20年くらい前に、バーニーズで見た、イタリアのジャコメッティが展開する、マウンテンブーツが素敵で、どこかで欲しいと頭の片隅にありました。
当時モンクレールのダウン(山岳ウエア時代のもので適度に燻んだパステルグリーンでした)を常用していたので、ボトムに、当時愛用していたブーツカットのデニムと、ジャコメッティの美しいマウンテンブーツを合わせたら素敵だなとなんとなく考えていたら、バーニーズの扱いが終わってしまい、結局購入出来ませんでした。(当時はカルぺの編み上げとジップブーツの2足を愛用していました。)
マウンテンブーツは、登山靴なので、一般の靴よりヘビーデューティーであり、フォルムに少し癖があることと、分厚いソールと靴紐の構造から、履くと足元に結構なボリュームが出てしまいます。一昔前の、山岳用のダウンジャケットのようなふっくらしたボリュームのものなどと合わせるとバランスが良く、スポーティーなスタイルになります。
その後、私自身が、ファッションから距離を置いた時期もあり、マウンテンブーツのこともすっかり忘れていましたが、ブルネロクチネリのコーデュロイジャケットを見にいった際に、目に留まったのが今回紹介するマウンテンブーツになります。
見た目のスタイリングも洗練されて素敵ながら、履いた時に、他のマウンテンブーツとは全く異なる柔らかい履き心地と軽さに驚きました。コーデュロイジャケットとセットアップのパンツを買う目的ながら、全く関係ないマウンテンブーツの素晴らしさにやられ、コーデュロイジャケットとセットアップのパンツと一緒に購入しています。
ブルネロクチネリ的な遊び感覚
初めてブルネロクチネリ銀座店を訪れ、目的であるブレザーのセットアップに近いコーデュロイジャケットとコーデュロイパンツを購入します。通常の観点であれば、靴を合わせて選ぶのであれば、ブルネロクチネリが展開するダービーのシューズか、少し崩してローファーというのが定石ですが、靴は、ジョンロブのダービーやUチップを持っていたので、あまり考えていませんでした。靴を見せていただいている中で目に留まったのが今回紹介するマウンテンブーツになります。
マウンテンブーツの試着もお願いすると、ブルネロクチネリのスタッフから、ブルネロクチネリ的な着こなしの遊び要素の一つとして、ブレザーにマウンテンブーツの組み合わせも素敵な組み合わせです。白のコーデュロイパンツは、ブランドコンセプトとしてもマウンテンブーツを合わせています。一般的なブレザーのセットアップのイメージを一歩進めて、ブルネロクチネリらしい世界観で楽しむのであれば、マウンテンブーツを合わせるコーディネートはおすすめですと言われます。
この時、ブレザーとトラウザーズにマウンテンブーツ?と正直思います。マウンテンブーツはデニムやチノに合わせると素敵かなといった感覚で見せていただいたのでスタッフの意外な反応に驚きます。
さらにスタッフから、通常であれば、着回しもしやすいダービーか、ローファーをお勧めしますが、マウンテンブーツという選択種は、例えが悪いかもしれませんが、ブルネロクチネリ入門から1、2段飛ばした選択で、一般的にはブルネロクチネリが展開する色々なアイテムを着こなしている方がする、遊びの要素としての選択種としてお勧めしていますとのアドバイスをいただきます。
お勧めする理由として、お客様が選択した、コーデュロイのブレザーとコーデュロイトラウザーズの組み合わせに、アクセントとしてのマウンテンブーツの選択は非常にこなれており、さらに付け加えると、お客様がデニムを通常愛用しているので、ブルネロクチネリ以外のアイテムを、身につけた際のボトムとして履くことを考えると、ダービーやローファーよりもカジュアルで使いやすく、履く機会が多くなるので、マウンテンブーツの方がお勧めですといったアドバイスをいただきます。
実際に、購入を決めたコーデュロイジャケットと、オフホワイトのコーデュロイトラウザーズにマウンテンブーツを合わせてみます。
ブルネロクチネリの紹介で良くお話をする、考え方の異なるアイテムを許容する寛容さと、異なるアイテムに組み合わせた際に、上品さを足してくれるといった表現を用いていますが、同じブルネロクチネリながら、どちらかと言えばカジュアルとは言え、フォーマルに近いブレザーと、山登りに使うマウンテンブーツでは、考え方も目的も異なるアイテムなのでどうかな?と考えるのが普通ですが、思っていたミスマッチとは異なり、思っている以上に自然で洗練されています。
ダービーやローファーも本格的な革靴と考えるとカジュアルな靴ですが、ブーツと比べたらフォーマルな靴です。スーツやジャケットのセットアップとして使う事が多い革靴なので、調和の取れた安定感のある組み合わせになります。
ブルネロクチネリのダービーやローファーは、スエードやカーフでも色使いや質感が独特で、ジャケットやスーツと合わせても適度に力の抜けたこなれた感じがあります。この組み合わせは上品でもあり、他のブランドでは難しく、同様なテイストを求めると非常に難易度が高くなってしまいます。
通常であれば、ブルネロクチネリの定石であるダービーやローファーを合わせて、ブルネロクチネリが提案する、やりすぎない洗練と上品さを選んだ方が良いのですが、そこをあえて、もう一段外すというか、遊びの要素を入れるために、マウンテンブーツを選択するという提案があることに驚き、実際に自身で身につけてみることで、なるほどと納得する世界観を理解することが出来ます。
コーデュロイジャケットとコーデュロイトラウザーズが、冬物であったことも、ローファーなどではなくブーツを選択するきっかけになっています。その後、春夏物のMTMでジャケットをオーダーし、ブルネロクチネリのスリムなデニムを合わせるスタイルでは、ブルネロクチネリの柔らかいスエードローファーを合わせて購入しています。

ソールの厚さなどしっかり作られたマウンテンブーツですが、見た目の重厚さとは相反する柔らかさと軽さを持っています。

丁寧に作られており革も適度に柔らかく靴紐によるフィット感の調整も非常に優れており履いていて疲れない事も特徴です。
ブルネロクチネリの気持ちよさ
ブルネロクチネリの服の、素材や仕立ての良さから来る着心地の良さは、一言で言えば、着ていて気持ちの良い服という表現になります。この言葉はファッションメデイアなどで良く話題にあがります。
過去に記事にしている、スエードのローファーは、スエードの柔らかさとソールの柔らかさが絶妙で、ちょっと大袈裟ですが、ニューバランスのスニーカーに匹敵する履き心地を持っています。
私自身が、ニューバランスの大ファンである理由が、履き心地の良さと、履いている時や、歩いた時の気持ちの良さにあります。ブルネロクチネリの革靴は、全く別の考えで作られた、ニューバランスのスニーカーに匹敵する履き心地の良さを持っており、履いていて非常に気持ち良い事が特徴です。
この気持ち良さの感覚に、ストレスフリーな要素が大きく、長い時間履いていても足のストレスがなく、疲れにくいことが理由にあります。ストレスフリーな靴と言えば、全く別の考え方で作られている、ジョンロブの靴にもあります。革が適度に固く、靴も重いのですが、長年履き続け、ソールが沈んで革が足の形に微妙に変化する事で、自分の足の延長のようになり、足に馴染んだ時に得られる気持ち良さもありますが、気持ち良さのベクトルが異なりますので、この辺りの話はジョンロブの靴を紹介する記事でまとめられたらと考えています。
今回紹介するマウンテンブーツも、スエードローファー同様、履き心地は柔らかく、見た目より遥かに軽く、ソールのソリ感も適度にあるため、非常に気持ち良く履くことができます。柔らかさの感触の中に靴裏の感触というのが適度にあるので車の運転などをしてもストレスなく運転することが出来ます。
普通に考えるとマウンテンブーツの厚底は車の運転には適さないイメージがありますが、ブルネロクチネリのマウンテンブーツは、スニーカーの感覚で履けてしまいますので車の運転もストレスなく行えます。
余談ですが、車の運転にはやはりドライビングシューズが適しており、MT車に乗っていた時はイタリアのピロッティのドライビングシューズを愛用していました。
六本木のアクシスビルにあるルガラージュで扱っていたので3足ほど購入してローテーションで愛用していました。ピロッティのドライビングシューズが良いのはソールがそこそこ固く頑丈なので、他のドライビングシューズに比べ、車の運転だけでなく、普通に歩いても底の減りがあまりなかった事が選択した理由になります。
実際の組み合わせ
本記事においては、マウンテンブーツをブルネロクチネリの上着と合わせる形で紹介しています。非常に良くできたマウンテンブーツなので、ダウンジャケットなどと合わせてスポーティーな組み合わせをしても洗練された着こなしが楽しめます。
ここ数年ダウンジャケットを着る機会がなかったのですが、今回マウンテンブーツの記事を書いていたらクローゼットに眠っているダウンジャケットを着てみようと考えています。
私が所有しているモンクレールは2000年代初頭に買ったもので、色を含め、今のモンクレールのようなスッキリしたシルエットではありませんが、山岳ウエア的なフォルムがマウンテンブーツと相性が良いのではと考えています。他にも、ヘルノやTen-Cのアノラックなどダウンジャケットは所有しているので試してみようと考えています。
今年は、記事でも紹介しているDiorのピーコートや、ブルネロクチネリのコーデュロイジャケット、シアーリングライダースとの組み合わせで楽しんでいます。
着用例
ボトムのシルエットがわかるように、パンツのレングスに合わせて着用例をまとめてみました。マウンテンブーツ単体で見ると結構ゴツくボリューム感がありますが、パンツと合わせると、スッキリとしたフォルムで、合わせるパンツを選ばない寛容さが感じられると思います。
組み合わせてみると、一番洗練されているのは、ブルネロクチネリが提案する、細身のコーデュロイパンツとの組み合わせであり、ブルネロクチネリが提案する世界観の凄さを感じています。

細めのボトムと合わせても靴のボリューム感が邪魔になりません。

ブルネロクチネリが提案するコーデュロイパンツとの相性は抜群です。パンツの裾丈がブルネロクチネリが推奨する長さなのでパンツのシルエットとブーツのディテールのバランスが絶妙で双方の良い部分を引き立てています。

501XXと合わせても違和感がありません。White’sなどのアメリカンブーツとは異なる上品さが加わります。
ディテール
- レザー製丸紐で開閉
- レザー製ライニング
- ライトウェイトマイクロポーラス製ミッドソール
- TPUラバー製アウトソール
- 本革
組み合わせ
- マウンテンブーツ : ブルネロクチネリ
- ベージュコットンパンツ : Visvim
- コーデュロイトラウザーズ : ブルネロクチネリ
- デニム : Levi’s 501XX(1954製)
おわりに
今回、紹介しているマウンテンブーツは、初めてブルネロクチネリで買い物をした時に見つけて、元々購入予定にはなかったものですが、その素晴らしさから購入しています。
一般的な、マウンテンブーツとしての組み合わせを前提に選んだのですが、当日購入した、コーデュロイジャケットとコーデュロイパンツのセットアップにも組み合わせるという、私の頭にはなかった、使い方も教えていただいた事で利用幅の広い便利な靴となっています。
ブルネロクチネリのアイテムが持つ寛容さ、というテーマのようなものを文章にしていますが、こればかりは実際に試してみるのが一番ですので、興味があったり、ブルネロクチネリを愛用されていたら是非トライしてみてください。
ラグジュアリーブランド(この表現もあまり好きな表現ではありません)として評価されているブルネロクチネリですが、商品の上質さや、贅沢さはメディアの記事などである程度把握できると思います。
その先にある本当の価値は、着こなしの幅の広さや、それを身につける事で、着た人のアイデンティティーを最良の形で引き出してくれる事であり、着るという事にあまり神経を使わずに、目の前にある、ブルネロクチネリを身につけるだけで表現できてしまう、世界観にこそ価値があります。その素晴らしさを上手く伝えられたらと考え記事を書いていますが、なかなか難しい事を実感しています。
Shop
ブルネロクチネリのShop紹介はフィールドジャケットの記事にまとめています。