Alanui Icon Jacquard Cardigan
上質なカシミアを贅沢に使い、高い技術を持つ職人さんが制作する、Alanuiのカウチンセーターを紹介します。
カウチンセーターと言うと、90年代のアメカジブームで、友人が着ていたカナダの民族衣装のような、厚手のショールカラーのカーディガンのイメージがあり、色は、アイボリーに茶色で、柄が幾何学模様といったイメージがありました。
Boncouraのフィッシャーマンセーターの記事にも書きましたが、私は、厚手のニットは好きなのですが、どうしても風を通すので厳冬期の着用は難しく、カウチンセーターも、着てみたいと思いながらも中々手が出せないセーターでした。
5年程前、久しぶりに家内と訪れたバーニーズで、家内の担当をしているスタッフの方から提案されて、デザインの面白さと着心地の良さから購入したのが、今回紹介するAlanuiのカウチンセーター、Icon Jacquard Cardiganになります。
Alanuiは、イタリアの比較的新しいブランドで、元Vougeのスタッフの方が始めたブランドです。環境問題などに取り組みながら、廃棄しないような長く着れる服を展開しています。テーマが旅先で気持ちよく着る服であり、デザインも優れながらも非常にリラックスした着心地の良い服を展開しています。
気持ち良く長く着れるというテーマから、素材や作りにも相当拘っており、上質なカシミアを使ったニットがメインながら少しオーバーサイズ気味のアイテムも展開しています。
イタリアの最高級カシミア紡績メーカーである、カリアッジ社のカシミア糸を贅沢に使い、数種類の糸からジャガードで編み込んでニットを作るので、カシミアセーターながら、デザインや色使いが非常に凝ったものを制作しており、有名なのが、今回紹介するジャガード織でフリンジ付きのカウチンセーターである、Icon Jacquard Cardiganになります。
私が所有している柄は、近年のコレクションでは見かけない、黒をベースに、青、赤、黄色をストライプ柄にしたネイティブアメリカンのラグマットのようなデザインのカウチンセーターになります。

2010年代後半のものなので、オーバーサイズも極端ではなく肩が少しドロップする程度。

背中側のアシンメトリーな配色もさりげなく職人さんの高い技術が活きています。

カシミアでこれだけのフリンジがついたニットはおそらくAlanuiが最初ではないでしょうか。

Alanuiはロゴにメダルが付いています。

シンプルながら非常に手の込んだ編み込みがなされています。

ジャガード織の丁寧な仕事で織られています。
はじめに
アウターとしてのニット
私自身、冬場は、どうしても早朝や深夜の気温が低くなるので、身につける服は、暖かいアウターを選んでしまいます。元々、ズボラな性格なので、衣類の選択は、夏場の短パンとTシャツから、いきなり冬場のダウンジャケットを着るようなスタイルであり、初冬や、初夏の軽いアウターなどは選択せずに過ごしてしまいます。
記事では紹介出来ていませんが、初冬や、初夏に良く着るのが、Zip式のフーデッドパーカーや、パタゴニアのR1という薄手のフリースになります。洗濯のしやすさや扱いが楽なのでどうしても手に取り身につけてしまいます。
衣類の購入の考え方が、年間で考えると、涼しい夏物、暖かい冬物、と2回の購入でほとんど済ませてしまうような形でしたが、30年ほど前に、家内が良く購入していたバーニーズで私も服を買うようになり、バーニーズのスタッフの方から衣類は春夏秋冬と気温に合わせたものを4回購入して組み合わせると、快適でまた季節に合った装いになる事を教えていただき、軽いアウターなどを購入し春先や、秋口に身につけるようになります。
両親の世話をするようになり、ファッションに対する興味が薄れていたので、バーニーズで教えていただいた春夏秋冬という服の選択ではなく、元々の夏、冬といった服の選択をしていました。
ここ数年、身につける衣類に対する考え方に変化があり、当サイトの記事で紹介しているような形で服飾を楽しんでいます。
前置きが長くなってしまいましたが、ニットも従来の私の考えでは、冬場にインナーに着るものというイメージを長年持っていましたが、今回紹介するカウチンセーターは、アウターとして着るニットになります。
ニットの構造上、どうしても冬場に風があると寒くなってしまいますので、風の強い日の着用は難しいですが、風のない日であれば冬場でも暖かく着心地も良いので重宝します。
Icon Jacquard Cardigan
Alanuiが展開するIcon Jacquard Cardiganは、カウチンサーターをモチーフにジャガード織で、様々な柄を起こし、ショールカラーの襟やポケットの周り、縁がフリンジになっています。旅先で、リラックスしたファッションを楽しめるように作られているので、少しオーバーサイズになっています。
私のIcon Jacquard Cardiganはカシミア100%ですが、最近は素材の研究もされていて、カシミアシルクにコットンの3者混などのものも展開されています。本物のカウチンセーターは結構重く硬いのですが、Icon Jacquard Cardiganは見た目はカウチンセーターですが、非常に軽く柔らかいので着心地も優れています。
私が着ているものは、現在展開される、Icon Jacquard Cardiganのカウチンの定番柄である、幾何学模様のパターンでなく、ネイティブアメリカンのラグマットのような柄になります。
Cariaggi lanificio s.p.a.
Alanuiのカシミアは、高品質で発色の良いイタリアのカリアッジ社のカシミア糸を使用しています。カリアッジ社のカシミア糸の特徴に、カシミアながら捻りが効いており、他のカシミア糸に比べ、耐久性の高さがあり、そのことで、カシミアの弱点でもある毛玉が出来にくい事があります。
私が、リスペクトしているブルネロクチネリのカシミアニットが、このカリアッジ社のカシミア糸を使用していると言われています。他にも有名なブランドが、カリアッジ社のカシミア糸を使用していると言われていますが、ブルネロクチネリをはじめ、ハイブランドは使用している素材について公式な公表はしていないので、明確な形でカリアッジ社のカシミア糸が使われているという事が一般に認識されていない事があります。
ブルネロクチネリは、カリアッジ社との関わりが深く、ブルネロクチネリがカシミアニットで有名になり、そこから現在の優れた事業展開まで発展しているのは有名な話ですが、ブルネロクチネリ氏が、ブルネロクチネリを起業する際、カリアッジ社からカシミア糸を購入し、その後評価される、上質なカシミアニットを制作したとも言われています。
カリアッジ社の株主構成にも、ブルネロクチネリは名を連ねており、他のトップメゾンでは、シャネルも株主に名を連ねています。
私は、ブルネロクチネリのカシミアニットを3枚使用し、カシミアシルクのニットを1枚使用していますが、毛玉は出来にくく、車のシートベルトをしていても、肩や脇に毛玉が出来にくい事を感じており、その事がブルネロクチネリのカシミアニットの素晴らしさであると常々感じています。
Alanuiのカシミアニットも、ブルネロクチネリ同様、毛玉が出来にくい事を感じており、その理由を調べたところ、カリアッジ社のカシミア糸を使用している事がわかり、品質の高さの理由に納得しています。
私自身が服飾関係に明るいわけではないので、素材や紡績に関わることなどは全く興味はなかったのですが、イタリアに優れたカシミア専業の紡績会社があり、そこのカシミア糸で撚られたカシミアニットが、通常のカシミアニットに比べて着心地も良く、発色も良く、耐久性があると言われており、実際に使用されている製品を身につけるとその違いをはっきりと感じとれるのは非常に興味深い事です。
着道楽のような趣味を楽しんでいると、製品だけでなく、その成り立ちなどに興味が湧きます。成り立ちや作りの良さに関わる理由を感じる事ができたりすると、その製品への愛着にも繋がります。
ブルネロクチネリのニットや、今回記事にしたAlanuiのニットも、着心地の良さと耐久性の高さを感じていましたが、その理由が、使用しているカシミア糸にあった事がわかり納得しています。ブランドという言葉にある、信頼性のようなものは、普段あえて意識していない、目に見えない品質へのこだわりも当然含まれていると感じています。
Combination
AlanuiのIcon Jacquard Cardiganは、カウチンセーターであり、アメカジ的な、デニムとの組み合わせが相性が良いので、デニムと組み合わせています。
Alanuiの提案は、リラックスしたスタイルですので、本来、ルーズフィットで、動きにストレスを感じない、色落ちしたデニムを合わせるスタイルですが、私は、ボトムはVisvimのスリムフィットデニムを合わせています。
参考までに、501XXとの組み合わせも、着用例にまとめています。全体のシルエットとしては、501XXのワイドなシルエットとの相性が抜群です。こちらの方が、普遍的でバランスの取れた組み合わせとなります。今の私の好みが、もう少しスリムなボトムを組み合わせたスタイルなので、今回、Visvimのスリムフィットデニムを合わせています。
カウチンセーターなので、胸元が空いており、着用時はマフラーを巻くことが多いです。ニットが柄物なので、合わせるマフラーは単色のものを合わせます。非常にカジュアルな組み合わせなので、クルチアーニのカシミアニットマフラーを合わせています。
インナーの選択は、冬場は、薄手のブルネロクチネリのカシミアシルクのクルーネックを着て、春先は普通にTシャツを合わせます。
AlanuiのIcon Jacquard Cardiganの良さに、カシミアでしっかりとしたニットながら、胸元が空いているので、インナーに合わせるアイテムを変えることで、春先まで楽しむ事ができます。オーソドックスながら白Tシャツをインナーに着て、色落ちしたデニムにスニーカーといったスタイルでも、リラックスしながら洗練されたスタイルを楽しめます。
着用例
(1) Visvimのスリムフィットデニムとの組み合わせ
今シーズンは、従来のLevi’sやLeeのストレートデニムより、細めのデニムやパンツを履く機会が多く、今回のAranui Icon Jacquard Cardiganも細めのシルエットであるVisvimのスリムストレートを合わせています。
まだ、肌寒いので、インナーにはブルネロクチネリのカシミアシルクのクルーネックを着用し、首元や胸元が寒く感じたら、クルチアーニのカシミアニットマフラーを巻いています。
足元は、デニムに相性の良い、White’sのセミドレスを履いています。

ラフに羽織るだけでもリラックスした装いが楽しめます。

後ろからのシルエットも非常に綺麗です。

肌寒い場合、首元と胸元にマフラーを巻けば大丈夫です。

柄のあるニットなのでマフラーは単色のものを合わせています。

マフラーにボリュームがありますが全体のシルエットは綺麗にまとまります。

マフラーを巻いた後ろからの姿も綺麗にまとまります。

前を開けるならマフラーをラフに巻きます。
(2)Levi’s 501XXとの組み合わせ
Visvimの細身のシルエットに比べて、オーソドックスなシルエットですが、501XXのような、少し太めなストレートの方が普遍的でバランスの取れたシルエットになります。
撮影日が寒かったので、インナーに薄手のニットを合わせていますが、春先などは、白Tシャツなどをインナーに合わせると、よりラフでリラックスしたスタイルになります。

全体のシルエットは501XXの少し太めのボトムの方が普遍的でバランスが取れています。

501XXの腿周りから裾までの太さが少しルーズ気味のニットとの相性が良く全体のシルエットがまとまります。

後ろから見たシルエットのバランスも良いです。
ディテール
- Alanui Icon Jacquard Cardigan
- 2019年製
- 生地 : カシミア100%
- サイズ M
組み合わせ
- デニム : Visvim
- デニム : Levi’s 501XX (1954)
- カシミアシルククルーネック : ブルネロクチネリ
- カシミアニットマフラー : クルチアーニ
- ニット帽 : ブルネロクチネリ
- ブーツ : White’s セミドレス
- ベルト : リアルマッコイズ
おわりに
Boncouraのフィッシャーマンセーター同様、厚手のニットで、アウターとして着ているAlanuiのIcon Jacquard Cardiganを紹介しました。見た目は従来のカシミアニットから想像出来ませんが、着ると高品質なカシミアであり、非常に着心地が良くラフに羽織ってもスタイリッシュなニットになります。
柄やモチーフが、北米のデザインでありながら、イタリアのブランドが、イタリア的な視点で構築しているニットであり、非常に面白いカーディガンです。
Alanuiのニットをバーニーズで初めて見せていただいた際、第一印象がルシアンペラフィネの印象と被りました。従来の高級ニットであったカシミアに、スカルやヘンプの柄を織り込んだペラフィネ同様、ネイティブアメリカンの衣料をモチーフにした、Alanuiのカシミアニットは、従来のカシミアニットのイメージから大きく逸脱した非常に面白いものでした。
過去にバーニーズで、ルシアンペラフィネのニットを購入した際に教えていただいたのが、スコットランドカシミアの捻りを強く入れているので、家庭で洗うことが出来るといった事と、ペラフィネのニットも、毛玉が出来にくく、車のシートベルトでも毛玉が出ない耐久性を持っていました。
Alanuiのニットも、カリアッジ社の高品質なカシミア糸で織られているので、毛玉に強く、デザインやコンセプトを含め、私の中で、2010年代のペラフィネといったイメージがあります。(Alanuiはドライクリーニングを推奨しています。)
ニットでありながら、アウターとして着用し、初冬から春先まで楽しめる優れたアイテムです。暑がりである私はやりませんが、初夏の夕方などに、色落ちしたカットオフデニムの上に羽織っても雰囲気が抜群で、少しサーファー的な要素もあります。暖かくなったら、カットオフデニムや、Tシャツとの組み合わせも紹介したいと考えています。
Shop
今回紹介したAlanuiのIcon Jacquard Cardiganを購入したのは、バーニーズニューヨーク横浜店になります。
最近は、足を運んでいませんが、2000年代初頭は、家内も私も良く足を運び様々なものを購入しました。メンズもレディースも専門の担当がついてくれており、長年購入したので、所有しているものや、好みに合わせて様々な提案をしていただき、バーニーズで教えていただいたものは沢山あります。
カルぺディエムやキャロルクリスチャンポエル、ルシアンペラフィネ、LA系のデニム、HTC、バーバリープローサム(初代)、ジルサンダー(本人時代)、ヘルムートラング、ドルチェアンドガッバーナ、ディオールオム、トムフォード時代のサンローランなど、思い出すだけで様々なものがあります。
衣類ではありませんが、フェースクリームやボディクリーム、シャンプーなどAesopの製品やルームフレグランスなどもバーニーズで教えていただき20年以上愛用しています。
この時代にバーニーズで購入したアイテムは、デザインを含め、ものも良かったので、後輩や友人から人気が高く、ほとんどのものを譲ってしまいましたが、セレクトショップという括り以上の優れた品揃えがありました。
フライのシャツやボレッリのシャツ、Kitonやアットリーニ、ベルベストなどもバーニーズで教えていただいたアイテムです。私は2010年代に入りファッションの興味が薄れていたので、足が遠のいて行きますが、家内は20年以上利用した素晴らしいストアです。
長年お付き合いしたお店で、様々なスタッフの方ともお付き合いしましたが、何度か資本構成が変更になり、経営方針が変わることで、初期の尖った、ニューヨーク本店的なお店から様変わりしてしまい、スタッフの方も去ってしまったりして、初期の尖りながらも顧客によりそい、優れた提案をしてくれるスタッフがいる、バーニーズのイメージは無くなってしまいましたが、今でも素晴らしいお店です。
バーニーズに限らず高級衣料のお店は、一時期に比べ、営業的に苦戦している印象がありますが、頑張って欲しいと考えています。
最近、久しぶりに別のアイテムを急遽購入したのですが、スタッフの方の対応は、昔ながらの素晴らしい対応であり、お店に足を運び服を選び購入する楽しみはしっかり残っているお店です。
最近、銀座店も改装オープンし、扱うアイテムも充実しています。バーニーズの特徴でもある、トータルで装いが完成するスタイルは健在ですので、休日奥様と覗いてみてはいかがでしょうか。
※ 2010年代後半、Alanuiのアイテムはバーニーズをはじめ、日本国内で取り扱いがありましたが、2026年2月現在Alanuiの正規日本代理店はなく、セレクトショップなどの扱いも無くなっており、Alanuiのアイテムを購入するにはイタリア本国の公式サイトやFarfetchなどの海外通販サイトから購入する必要があります。