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  • John Lobb Barros : 長く愛しているもの

    John Lobb Barros : 長く愛しているもの

    25年以上、四半世紀を超えて、愛用しているJohnLobbのBarrosを紹介します。私が初めて購入したJohnLobbの靴であり、非常に愛着がある靴になります。フォルムが、現代のJohnLobbの洗練されスッキリした形と異なり、昔ながらの英国靴の伝統である、少し丸いダービーのUチップとなります。元々は、紺ブレザーとグレーフランネルのトラウザーズに合わせる為に購入しています。

    購入したのは、横浜のみなとみらいに直営店があった時代で、JohnLobbの販売は(株)キャンディが運営していた時代になります。キャンディは非常に面白いものを売る会社で、JohnLobbを運営していた頃は、同じイギリスのヒルディッチアンドキーのシャツの販売もしており、その後、ベルギーのチョコレート、ピエールマルコリーニを販売し有名になります。

    当時、関東圏のJohnLobbの直営店は、みなとみらい店と、246沿の外苑にあった青山本店の2店舗で、私がBarrosを購入したみなとみらいの直営店も閉鎖してしまった為、しばらくは外苑の青山本店一店舗の直営店で運営していました。

    その後、立て続けに購入した、DarbyとChambordは、青山本店で購入したのですが、青山本店の店長さんが面白い方で、当時から世界最高の紳士靴の評判や、高級ブランド然としたお店の雰囲気に反し、昔ながらの靴工房の親父のような人柄で、本人も革マニアのような一面があり、本当にJohnLobbの靴が好きでお店をやっているような方でした。

    その店長との会話が楽しくて、青山に遊びに行った際には必ずお店に顔を出していました。当時の外苑は、私が愛用したお店の直営店があり、外苑近辺は、カッシーナ > ベルルッティ > JohnLobb > その後、表参道と散策するのが楽しみでした。


    ベルルッティの靴は、JohnLobb購入から少し時間を置いての購入でしたが、青山本店の店長さんが女性で、男性ファッションにも非常に詳しい方で、当時の私のファッションが、ベルルッティに、通常来るお客様とちょっと異なっていた事(カルぺディエム愛用)から、良く話しかけられファッション談義をするのも楽しみでした。

    その店長さんの計らいで、新作発表のパーティーなどにも招待され、覚えているのは、ベルルッティ愛好者であった加藤和彦さんも来ていて、歳はそれなりに取っていましたが、若々しく背が高くスタイル抜群な方でしたので、センスよくベルルッティの靴を履きこなす姿は非常にカッコよかった事を覚えています。

    [ ベルルッティ アレッサンドロの記事 ]

    ベルルッティは後輩に譲ってしまいましたが、非常に素晴らしいお店なので記事にしています。


    余談ですが、キャンディとカッシーナ、サザビーリーグの3社は、私の中で、世界にある優れたものを誰よりも早く日本に紹介した会社というイメージがあります。

    キャンディが扱った、JohnLobbの靴やヒルディッチアンドキーのシャツ。カッシーナが扱ったマリオベリーニのマラルンガソファーやフランクロイドライトのコーヒーテーブル、カッシーナがオリジナルで製作したベッドや鏡台、ダイニングセットなど自宅で使用する家具類は実際に購入し今でも愛用しています。

    ヒルディッチアンドキーのシャツは、英国ファッション好きの後輩に譲ってしまいましたが、JohnLobbの靴、カッシーナの家具は四半世紀を超えて愛用し続ける真の名品でもあります。

    マラルンガは一度革を張り替えていますが、毎日リビングで使用しており、ガタ付きなどとは無縁の堅牢さで、まさに一生物のソファーです。私は、一人がけソファーとオットマン、2人かけのワイドタイプのソファーをL字のような配置で使用しています。この、一人がけのソファーとオットマンでくつろぎながら、MacBookProでこのブログを書いています。(Macを触る時に使うダイソンのクレーンのような照明器具もカッシーナの紹介で購入し愛用しています)

    サザビーリーグは、若い頃買ったアニエスベーのボーダーシャツ(流石に処分してしまいました)や、ロンハーマンのデニムやTシャツ、フランクアンドアイリーンのシャツなどは未だに持っています。サザビーリーグといえばなんと言ってもスターバックスコーヒーの運営が有名であり、恐らく利用したことがない方を探す方が難しいくらい一般化しました。

    John Lobb Barros

    Barrosは少し丸みを帯びた可愛らしいフォルムのダービースタイルで仕立てたUチップになります。

    John Lobb Barros

    当時の私の革靴の好みがダブルソールのダービーでありBarrosはダブルソールになっています。


    はじめに

    JohnLobbの靴は25年前に購入し、一時は3足をローテーションで履いていましたが、スーツを日常着なくなった頃から、履く機会が減っていました。最近、心境の変化から、また少しずつですが、履く機会が出て来ています。

    購入当時は、お店の方から言われた、一生物の靴という実感はあまりなかったのですが、25年を経た今、当時言われた、一生物という事を実感しています。

    作りの堅牢さだけでなく、普遍的で飽きのこないデザインも含め、本当に良いものとは?という商品に対する哲学が徹底されているブランドです。非常に手の込んだ作りや、長年蓄積されたノウハウが、実際の着用で、購入者にどんどん合ったものに変化し、身体に馴染んだ状態のJohnLobbの靴は手放せない、という伝説のような話も身をもって体験出来ます。

    一見したデザインは、普通の作りの良い靴で、見た目の華美さは感じられませんが、身につけると本質的な上質さが自然と出て来る、歴史に裏付けされた真の名品です。

    私が愛用している、3足のダービーは現在廃盤となってしまい、新たに購入することは出来ません。また、時代の流れから、ダブルソールのダービーそのものをJohnLobbが辞めてしまっているのは残念です。


    過去の私であれば、JohnLobbの靴は、スーツないし、ブレザーのスタイル以外では身につけませんでしたが、歳をとり、その辺りのこだわりのようなものに縛られなくなって来た事で、また履くようになっています。

    別記事で、紹介しますが、25年ぶりに、JohnLobbのブーツであるLawryを購入しました。購入した丸の内店の顧客対応も、私が知っている、昔ながらの個人の靴工房的であり、接客や対応が非常に素晴らしく、25年前に購入した靴のメンテナンスもお願いし、過去には考えもしなかった、革底にラバーを張る対応もしていただいています。

    若い頃の私は、ある種、原理主義的な考えが強く、革底にラバーを張るなど考えもしなかったのですが、革底の難点に、大理石の床などを歩くと非常に滑りやすく、何度も転びそうになっています。そのような難点をカバーする対応もしていただけるのが、現在のJohnLobbにも受け継がれる靴工房的な考えでもあります。


    JohnLobb

    2つのJohnLobb

    JohnLobbの話題に良く出る、JohnLobbロンドンとエルメス資本のJohnLobbパリ、という2つのJohnLobbがありますが、日本で眼にするほとんどのJohnLobbの靴は、エルメス資本のJohnLobbパリの靴になります。私の所有するJohnLobbもパリの製品になります。

    わかりやすくいえば、ロンドンのJohnLobbは、ビスポーク(フルオーダー)専門の昔ながらの靴工房で、パリのJohnLobbが既成靴を販売し、要望があれば、ロンドンのようなビスポークにも対応する、高級靴メーカーのような形になっています。

    JohnLobbロンドンの靴は、ロンドンに行ってオーダーする必要があるので、一般の方が購入するのは敷居が高いです。過去には毎年6月にホテルオークラに来日して、オーダーイベントを行っていました。

    20年ほど前に一度、このホテルオークラのイベントでオーダーする事を考えましたが、スーツ着用の機会が減り、結局オーダーするには至りませんでした。JohnLobbロンドンのビスポークに夢があるのは、JohnLobb愛用の歴代の有名人(英国王室やチャーチルなど)の木型の保管と同様、自身の木型が保管されます。このような夢のような体験が出来る事は滅多にありません。

    当時の記憶ですが、ホテルオークラの来日イベントでのオーダーは、最低2足からで、ダービーとオックスフォードの数種類の型に、革の選択や、トゥやヒールの形、ソールの形などを選択するもので、確か価格も一足4000ポンドくらいだったと記憶しています。

    DarbyとOxford

    私が、JohnLobbの靴を購入した当時は、英国靴というと外羽のダービーのイメージがあり、フルブローグで、鳩目の細工が入ったスタイルが英国靴のイメージでした。ダブルソールもイギリスらしい作りで、堅牢であり、所謂カントリージェントルマン的な、田舎の土の上を歩く質実剛健な靴であり、そのような靴が好みでした。(この好みは今でも変わっていません。)

    JohnLobbのOxfordのイメージとしては、CityやPhilipといったストレートチップの名靴があり、一時、JohnLobbと言えばPhilip2というくらいメディアでの露出がありましたので、名前は知らなくても見たことがあるのではないでしょうか。私のオックスフォードの靴のイメージは、ダービーに比べフォーマルな靴であり、式典などフォーマルな場所で履く靴であり、ダービーが英国の田舎で履く靴とすると、オックスフォードはロンドンなどの都会で履く靴と言えばわかりやすいかもしれません。

    当時の、JohnLobbロンドンのウエブサイトを良く見たのですが、ビスポーク専業で、顧客は歴史上の人物が多いなど、紳士靴の頂点でもあるイメージが頭に残っている状況であり、そのような先入観から、実際に展開する靴の写真を見ると、驚くほど質素で、原始的な靴であり、ある意味、非常に野暮ったいデザインの靴でした。その野暮ったいダービーのフォルムこそが、私が大好きな英国靴のイメージです。

    今回紹介するBarrosは、フルブローグの外羽ダービーではありませんが、フルブローグと共通する質実剛健なイメージがある、Uチップの外羽ダービーで、ダブルソールであることが私がBarrosを選択した理由です。

    私自身が、若い頃から、カッチリしたスーツより少し力の抜けたものが好きであり、ブレザーのスタイルなどを好んでいたので、自然と靴の好みは、オックスフォードよりダービーを好んでいます。当時のJohnLobbのダービーに共通する、英国のカントリージェントルマン的な、実用重視で質実剛健さが、自身の好みと一致していたので、短期間に3足のダブルソールのダービーを購入する動機になっています。

    今回はBarrosの紹介ですが、別記事でダブルソールのダービーである、DarbyとChambordも紹介出来ればと考えています。この2足の紹介は、今やほとんど着なくなってしまった、スーツを着用して写真を撮る事を考えています。

    Barros

    私のBarrosは2000年購入なので、当時のラストが2998になります。私自身靴は好きですが、スペックマニアではないので、一般的な知識としての理解ですが、2998はBarros専用のラストで、JohnLobbの工場で製作されたものになります。

    ダブルソールの5穴の外羽ダービーで、少しカジュアルなUチップになります。このフォルムで有名な靴は、JMウエストンのゴルフがあります。ゴルフは、ラバーソールで、横から見るともう少し厚みがありますが、Barrosは、厚みを抑えたスッキリしたフォルムになっています。Barrosに限らず、JohnLobbの靴の特徴に、ソールからアッパーまでのサイドの丸みが強く、この作りが評価の高いJohnLobbの履き心地を決定しています。

    細かく見ていくと、ステッチの丁寧さや、トゥやヒールのカーブの美しさと作りの良さ、上質な革質による光沢感などが際立っています。ただ、一足の靴として見た時に、中庸なUチップのダービーであり、華美な要素より質実剛健な要素の方が強い靴です。

    John Lobb Barros

    トゥからヒールまでの曲線が美しく、この曲線は見た目の美しさより履き心地を良くするために出されています。

    John Lobb Barros

    昔ながらの少し丸いフォルムのUチップのダービーですがその中庸さこそが長い年月飽きが来ない優れたデザインです。

    John Lobb Barros

    現代の靴のデザインからすると少し丸いフォルムで、トゥをあまり尖らせていません。

    John Lobb Barros

    今回メンテナンスに出し、靴底にラバーを貼ってもらいました。このことで革底では滑るような床でも問題なく履く事が出来ます。

    John Lobb Barros

    当時の靴箱は、紙の色がナチュラルで、ボールペンによる手書きで靴の名前(ソール)、サイズ、ラスト、色、革質が描かれています。


    着用例

    今回、チノトラウザーズと、細めのコットンパンツにBarrosを合わせています。ベージュ系のパンツの方が相性は良いのでデニムとの合わせはしていません。

    John Lobb Barros

    中庸なデザインから、チノトラウザーズとの相性は抜群です。

    John Lobb Barros

    靴単体で見ると少し丸いフォルムが、トラウザーズを履いた時にバランス良く見えます。

    John Lobb Barros

    チノトラウザーズより細めのパンツと合わせてもバランスが良く上品な組み合わせになります。

    Barros

    • Last 2998
    • 色 : Tobacco
    • 革 : Carf
    • 靴底 : ダブルソール
    • サイズ : 7 1/2 Eワイズ

    組み合わせ

    • 靴 : JohnLobb Barros
    • チノトラウザーズ : Boncoura
    • ニット : Boncoura
    • 5ポケットパンツ : Visvim

    おわりに

    今冬、久しぶりに履き始めた、JohnLobbのBarrosについて記事をまとめて見ました。購入は2000年なので、四半世紀前に購入した靴ですが、靴の状態はもちろん、25年経った今でも古くないデザインは、長い歴史を持ち、本当に良いものを頑なに作り続けてきたJohnLobbだからこそであります。

    スーツを常時着なくなった事で、JohnLobbの靴もクローゼットに仕舞ったままになっていましたが、久しぶりに靴箱から取り出しても、全く劣化がない状態でした。元々革製品の手入れなどは嫌いではないので、しまう前に、JohnLobb純正の保湿クリームを、しっかり塗りこんで手入れしていた事も影響しているとは思いますが、本質的に、最高の革質と最高の造りがあるからこそ、長期間使用しない状況でも全く劣化がなかったと言えます。

    今年、後輩と友人のお祝いに、ベルルッティの靴をプレゼントしましたが、私も久しぶりに革靴を購入しようと考えており、所有していなかった、JohnLobbのブーツを候補に挙げていました。

    今の私のスタイルだと、表革のかっちりしたものより、スエードの柔らかいものの方が合っており、JohnLobbのブーツの定番である、Lawryのダークブラウンのスエードのものを購入しています。

    Lawryを購入した丸の内店の対応が素晴らしく、四半世紀前に購入した、ダービー3足の購入履歴もしっかり残り管理されています。その流れで、メンテナンスをお願いし、現代的な使いやすさを考慮してラバーソールを貼ってもらっています。

    丸の内店のスタッフと話した中で、当時の青山本店の店長の話も盛り上がりました。記事にも書いていますが、JohnLobbの良さに、高級ブランド然としたイメージがありますが、実際の靴に対するこだわりや、顧客へのサービスのスタンスは昔ながらの靴工房的であり、購入した靴を、生涯に渡り大事に出来るための、メンテナンス体制は当然行なっています。

    また靴の価格から考えると、非常に良心的な価格でメンテナンスを行なってくれる事も、JohnLobbの本質的なスタンスを具現化しているとも言えます。

    過去には、スーツやブレザーなど、少しフォーマルなスタイルでしか履いていなかったJohnLobbの靴ですが、私のファッションに対する考え方が少し変化してきており、もう少しカジュアルなスタイルでも履く機会が増えて来ています。

    長年使用して来た靴なので、私の足にフィットしており、履き心地は最高です。普遍的で、古くならないデザインをはじめ、本当の意味で、生涯にわたり履き続ける事が出来る最高の靴なので、これからも長く楽しんで行きたいと考えています。


    Shop

    今回ご対応いただいたJohnLobbのお店は、ジョンロブ丸の内店になります。

    今回記事にしたBarrosの購入は、過去に運営していたみなとみらい店ですが、すでに店舗が無くなっています。別記事にまとめますが丸の内店でチェルシーブーツのLawryを購入し、その際に過去に購入した靴のメンテナンスをお願いしています。

    Barrosは、メンテナンスをかなり早く仕上げていただき、手元に戻りましたので、今回記事にまとめています。付け加えるとメンテナンスにかかった費用も非常に良心的です。

    ベルルッティの記事で、ベルルッティも20年前の購入をしっかり履歴として残し管理していますが、ジョンロブも25年前の購入ですが、当然しっかり履歴を残し、顧客情報をしっかり管理しています。

    ベルルッティもジョンロブも、靴という非常に長いサイクルで使うものを長年扱って来た老舗なので、非常に長いサイクルでの顧客管理は当然しっかり行なっています。言葉にすると簡単ですが、今の高級ブランドで、このような顧客管理を行えているブランドがどれくらいあるか?と考えると結構少ないのではないでしょうか。

    ベルルッティの顧客対応の素晴らしさは記事にしていますが、ジョンロブの顧客対応も同様に素晴らしいものです。ただ、両者の違いとして、アパレルにも参入しているベルルッティの方が、所謂ラグジュアリー(真の意味で)感があり、スタッフの方も、一流のお店でのサービスという意識が高く、本質的で高級感のある対応を徹底しています。

    ジョンロブも、世界最高の高級靴と言われ、キングオブシューズとも言われており、イメージとしてはベルルッティに近い印象がありますが、実際にお店に入り、靴を見せてもらい、試着したりしていくと、スタッフとのやりとりは、ラグジュアリーというより、腕の良い靴職人さんとのやりとりのような印象を受けます。

    自社の製品への、絶対的な自信と信頼があり、あとは顧客の好みや、足に対するフィット、長年愛用出来る為に必要な事など、現場合わせをしっかり行うことで、購入した顧客の満足度を上げる努力を惜しんでいません。それこそが一番大事な、顧客に対する誠意であるといった、昔ながらの靴職人的な哲学を感じます。ジョンロブの評価が高い理由に、靴が本当に好きで、大事にする顧客に沿ったサービスを、第一に考えているというとわかりやすいかもしれません。

    しばらく、JohnLobbの靴は履いていなかったのですが、過去に所有した3足は全てメンテナンスを行い、革底にラバーを貼ってもらっていますので、今後なるべくしっかり履いて手入れをしながら愛用していきたいと考えています。

    JohnLobb公式Webサイト

  • Boncoura Fisherman Sweater

    Boncoura Fisherman Sweater

    私は、古くからある、ローゲージで、厚手のざっくりとしたニットが大好きで、フィッシャーマンセーターや、コマンドセーターが大好きです。今回紹介するのは、私自身が大ファンである、Boncouraが作るフィッシャーマンセーターになります。

    Boncouraは、古着やミリタリーをモチーフに、独自の解釈とこだわりで、生地どころか、糸選びから、細かなパーツにまでこだわってアイテムを作っています。記事でも紹介した、デニムの66シリーズなどは、これ以上ないくらい徹底したこだわりで、モチーフとしたLevi’sへの深い敬意と、オリジナルモデルの弱点を克服した上で、現代ファッションにも対応出来る、優れたデニムになっています。

    そんなBoncouraが作るフィッシャーマンセーターも、当然、相当なこだわりで作られています。フィッシャーマンセーターの特徴である、目を詰めた編み込みにより、相当な質量であり、原毛に近いシェットランドウールで作られているため、真冬でも相当暖かいセーターになっています。

    ただ、原毛に近いシェットランドウールは、毛質が固く(ジャケットやコートに使用するツイードなどで良く使われています)ニットとして着ると、肌の弱い方だと毛質がチクチク感じます。毛質に油分を含んでいるので、触った感触は少し脂分を感じます。硬い毛質のため、メリノやカシミアに比べ少しパサついた感触も特徴です。

    非常に優れたフィッシャーマンセーターですが、シェットランドウールの癖を容認出来ないと、なかなか着こなす事が難しいアイテムとなっています。Boncouraは、シェットランドウールが苦手な方でも、フィッシャーマンセーターを楽しめるよう、メリノウールを使ったものや、カシミアを使ったものも用意しています。

    各素材の特徴


    • シェットランドウール オリジナルのフィッシャーマンセーターとなっていますので、パサついた感触と固くチクチクしますが、質感はクラシックで、着たスタイルは非常にワイルドでカッコ良いスタイルとなります。
    • メリノウール シェットランドの癖を緩和して、他のニットの感覚でフィッシャーマンセーターを楽しめる優れものです。メリノの質感からシェットランドウールより上品に見えます。 
    • カシミア 着心地が極上でカシミアが持つ質感も最高です。質量からカシミアが贅沢に使われており非常に暖かく快適です。

    Boncouraのフィッシャーマンセーターは上記の3種類を展開しています。

    私は、カフェオレと言われる、ブラウンのシェットランドウールのタイプと、今回紹介する、カシミアを贅沢に使ったホワイトのフィッシャーマンセーターの2枚を愛用しています。

    実際には写真で見た以上に、厚く質量があり、非常に締まった形で編んであるので、使用しているカシミアの量も、通常のミドルゲージのカシミアニット3枚分くらい使っている、非常に贅沢なフィッシャーマンセーターになります。

    フィッシャーマンセーターのシルエット

    Boncouraの服作りの凄さに、オリジナルアイテムを現代のファッションとしてどう消化させていくか?というセンスが抜群です。Boncouraが作るフィッシャーマンセーターの特徴に、袖をラグランスリーブにしています。

    従来のフィッシャーマンセーターの特徴に、目を詰めた編み込みを行う事で厚く暖かいセーターとなっていますが、編み込みの構造上、曲線のラインを作るのが難しく、どうしても、着た時にスッキリしたシルエットになり難い事があります。

    この特徴(ざっくりと着るフィッシャーマンセーターらしさでもあり魅力でもあります。)を、現代的に着こなせるように、袖をラグランスリーブにして、肩から胸のあたりのラインを、スッキリしたシルエットにしています。この辺りの工夫も、Boncouraらしいこだわりでもあり、この工夫は、展開するデニムの皺が綺麗に入るシルエットの工夫にも共通しています。

    Boncoura Fisherman Sweater

    ざっくりとしたフィッシャーマンセーターですが、良質なカシミアを贅沢に使い、厚く高密度で編んでいるため、真冬でも一枚で過ごせてしまう暖かさです。

    Boncoura Fisherman Sweater

    定番商品であるシェットランドのフィッシャーマンセーターを贅沢にカシミアで仕立ててています。


    はじめに

    私は、昔からあるクラシックなものが大好きで、子供時代に親世代が着ていた、フィッシャーマンセーターも大好きなアイテムです。フィッシャーマンセーターは、イギリスの漁師が、防寒着として着ていたニットにルーツを持っており、目を詰めて厚く編み込んだセーターになっています。

    フィッシャーマンセーターは、非常に好きなモチーフでありますが、難点として、全体的にボリュームがあるセーターなので、現代のファッションとして考えると、そのボリューム感から、ちょっと着膨れしてしまうイメージがあります。

    またボリューム感のあるスタイリングから、重ねて着れるアウターが限られてしまうので、着る機会が限られてしまうところがあります。

    私も歳を取ったことで、服の着方に対する考え方も随分と変化しています。従来であれば、真冬は必ずアウターを着るという不文律のようなものが出来上がっていましたが、真冬でも、寒くなければ別にアウターを着なくても良い、と言った考え方に変化してきています。

    そのような服の着方に対する変化から、着る機会が限られてしまう為、敬遠していたフィッシャーマンセーターを愛用しています。このような考え方を、私に与えてくれたのが、今回紹介する、Boncouraが展開するフィッシャーマンセーターになります。

    真冬の厳冬期でも、首都圏の日中の気温であれば、アウターがいらない暖かさですので、休日の散歩で重宝します。

    余談ですが、ダウンジャケットを着る機会が減ったのも、服の着方に対する考え方の変化でもあり、首都圏の冬ではダウンジャケットを着込むと、結構暑く、オーバースペック気味でもある事が起因しています。(最近また、ダウンジャケットも着たいと考えています。)


    Boncouraの服作り

    他の記事でも紹介していますが、Boncouraの展開する服が大好きで、いくつかのアイテムを愛用しています。Boncouraの服の良さに、ヴィンテージアイテムに対する深い敬意から、細部に渡るまで徹底してこだわった作りがあります。

    Boncouraの作りの良さは当然ながら、エイジングに対する考え方も優れており、長く愛用すると、自然で状態の良いヴィンテージアイテムのようなエイジングをしてくれます。

    Boncouraが展開する各アイテムは、サイズに対する考え方が寛容で、誰でも、Boncouraのこだわりを活かした、素敵なスタイルを作り上げられるサイズ展開をしています。そのことが着こなしの間口を広げてくれます。

    Boncouraのサイズ展開

    サイズに対する考え方が寛容というのは、私が所有しているデニムの66などで感じています。私はBoncouraが展開する66のデニムが好きで、インディゴは30inchと32inch、カットオフした夏用のデニムは32inch、先染めしたブラックデニムは32inch、ホワイトデニムは30inchのものと5枚を愛用しています。

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    色が異なるとは言え、一つのシリーズのデニムを5枚買ってしまう理由は、そのサイズ展開にあります。30inchが2枚、32inchが3枚と敢えて異なるサイズを買っており、ジャストではなく、ワンサイズ大きな32inchを選んでいるのも理由があります。

    Boncouraのサイズ展開の考え方に、ジャストサイズは従来のデニムと同様の考え方で身体にフィットするようになっており、ワンサイズあげても、従来のデニムほど、大きく見えない工夫がなされています。

    66の記事で触れましたが、Boncouraのデニムの特徴に、厚手のデニム生地を使い、皺が入る位置が絶妙に計算されており、この皺が綺麗に入ることから、履きこむ事で非常にカッコ良い色落ちが生まれます。この相乗効果として、皺が綺麗に入ると脚がすっきり見えてスタイルが良く見えます。このカッコ良い色落ちを楽しみたい場合はジャストサイズのものを選び皺をきっちり入れながら履くのがおすすめです。

    ワンサイズ上げると、皺は入りますが、ジャストサイズほど強く皺が入りません。この皺が綺麗に入るため、ワンサイズ大きなデニムでも脚がスッキリと見えます。私は、インディゴ染めの66は、色落ちを楽しむ為の30inchを履き込み、色落ちはほどほどでもう少し普通に履けるようにもう一本32inchを所有しています。

    カットオフデニムは夏に履くため、少し緩めの方が履きやすい事もあり32inchを選んでいます。ブラックデニムは、ヒゲやハチノスと言った色落ちより、全体的に綺麗な色落ちをさせたいので32inchを選び、ホワイトデニムは色落ちが関係なく、皺が綺麗に出た方がシルエットが綺麗なので、ジャストサイズの30inchを選んでいます。

    同じアイテムでも、サイズを変える事で、シルエットや、スタイリングを変えて楽しめる事も、Boncouraのアイテムの特徴であり、少しこだわったエイジングによる色味や、スタイリングを楽しみたいなら、ジャストサイズを選び、もう少しリラックスしたスタイリングを楽しみたいなら、ワンサイズ上げれば楽しめます。

    サイズ展開も、色々な体型の人が楽しめるように、良く考えられたものとなっています。この事で、歳を取り体型が崩れてきても、体に合ったものを選べるサイズ展開になっており、Boncouraが提案する、力が抜けながらも、拘ったスタイルが楽しめます。私のように、敢えてワンサイズ上を選択しても、スタイリングが崩れずリラックスしたスタイリングが楽しめるのもBoncouraならではのこだわりであります。

    今回紹介するフィッシャーマンセーターも、デニムと同じような考え方でサイズ展開をしています。選択したサイズによりシルエットが異なりますので、好みのシルエットで選択する事も出来ます。

    フィッシャーマンセーターが持つ質量やボリュームから、かなり大ぶりな造りをしており、特に身幅やアームホールはゆったりしています。シェットランドは私のジャストサイズである38を選び、カシミアは少しタイトに着たいので36を選んでいます。

    Boncoura Fisherman Sweater

    今回、写真をあまり撮れなかったのですが、定番のシェットランドウールのフィッシャーマンセーターも愛用しています。こちらは38なので少しゆったり着ています。下の写真の、サイズが36のカシミアのフィッシャーマンセーターに比べて少し身幅が広く余っているのがお分かりになると思います。

    Boncoura Fisherman Sweater

    36サイズを選ぶと、上のシェットランドウールのフィッシャーマンセーターのサイズ38より少しタイトに着こなせます。

    今回、シェットランドの、フィッシャーマンセーターの写真をあまり撮らなかった理由に、まだまだ着込みが足らず、硬さが残っていることがあります。購入してから5年以上経っていますが、それほど着込んでおらず、今年に入り着用機会が多くなっていて、今まさに着込みとエージングの最中であることが紹介を控えた理由になります。

    もう少し着込んで、馴染んできたら記事にしたいと考えています。

    一般的には、質感を含めた着心地も良く、金額も高価になる、カシミアのフィッシャーマンセーターが最高の一枚ですが、原始的で数百年前から続くオリジナルに近く、硬さや肌触りは決して良くないながらも、時間をかけて着込む事で自分に合ったものになる、シェットランドのフィッシャーマンが最高の一枚になるのではないかと考えています。

    元々、作りが頑強で、長年の使用に耐えうる、フィッシャーマンセーターだから成り立つ話でもあり、John Lobbなどの靴と同じ質実剛健で物を大事にするイギリスの物作りの哲学を感じます。

    この事は、洋服の価値は、金額だけでは判断出来ないという事を実感出来る、貴重な体験とも言えます。このようなアイテムを普通に作り販売している事も私がBoncouraを愛する理由になります。

    フィッシャーマンセーターの着こなし

    今年は、これまでのデニムメインの服の着方以外に、ベージュや茶色を上手く使ったアイテムを着こなせればと考えています。今回紹介するカシミアのフィッシャーマンセーターは、ホワイトではありますが、所謂オフホワイトというよりベージュに近く、リラックス感のある絶妙な色となっていて、組み合わせやすいことから大活躍しています。

    写真では伝わりにくいと思いますが、Boncouraのフィッシャーマンセーターは、密度の高い編み込みと、ニットとしてはかなり厚い作りなので、気温10度くらいまでは、下着とフィッシャーマンセーターだけで過ごせてしまいます。このような温度環境の時に、ベージュのパンツや、Boncouraが展開するカーキのチノトラウザーズを合わせて楽しんでいます。

    ベージュのパンツや、チノトラウザーズを履くようになると、デニムでは合わせなかった、John Lobbの靴が大活躍します。私は3足の表革を使ったJohn Lobbが展開するダービーの靴と、スエードのブーツを1足愛用しています。ダービーの1足がタバコカラーのBarrosであり、スエードブーツがダークブラウンのLawryになります。他の2足のダービーは黒なので、スーツか、クリースの効いたもう少しフォーマルなパンツに合わせています。

    今回、ボトムは、John LobbのBarrosとLawryを合わせています。バランス的にはBarrosがちょうど良いのですが、Lawryのスマートな形ながら、スエードで靴の存在を薄めたスタイルも捨てがたい魅力があります。

    フィッシャーマンセーターの着こなしのコツは、フィッシャーマンセーターのみで快適に過ごせる気温で楽しむ事で、寒さを考え、アウターを用意するような環境では、フィッシャーマンセーターの厚さやボリュームを考慮する必要があり、少し難易度が高くなってしまいます。

    私は、フィッシャーマンセーターのみでは寒く、もう一枚アウターを重ねる必要がある場合、M65を重ねて着る事が多いです。これはM65のアームホールの太さが、フィッシャーマンセーターのアームの太さでも動きにくくならない事が大きいです。機会があれば、M65と合わせたスタイルも紹介したいと考えています。

    以下に着用例の写真をいくつか紹介します。私がモデルさんのような優れたルックスではないので参考にならないですが、雰囲気は掴めるのではないでしょうか。


    着用例

    Boncoura Fisherman Sweater

    全身をベージュ系のトーンでまとめると非常に上品に纏まります。今年活躍の機会が多い、Visvimのジャーマンコーズを使った細身のコットンパンツに、John LobbのBarrosを合わせています。上着を着ていませんが、気温10度くらいまでならこれ一枚で大丈夫であり、動くと軽く汗ばんでくるほど暖かいです。

    Boncoura Fisherman Sweater

    Boncouraのチノトラウザーズを合わせています。ボンクラのチノトラウザーズの色味や質感が絶妙で、この組み合わせが中庸ながら一番着やすい組み合わせです。ボトムに合わせたJohn Lobbのバロスの茶色がちょうど良いアクセントになっています。

    Boncoura Fisherman Sweater

    ボンクラのチノトラウザーズは、吊るしのままで裾のカットはしていませんが、レングスもちょうど良く、足を組んでも靴下が少し見える程度で肌が見えることはありません。

    Boncoura Fisherman Sweater

    上下Boncouraのアイテムで合わせていますが、一番まとまりが良いスタイルになります。チノトラウザーズは32inchと私の標準である30inchよりワンサイズ大きめですがそこまでワイドにはならず、綺麗なシルエットが出ています。

    Boncoura Fisherman Sweater

    ボトムをJohn Lobbのチェルシーブーツの定番、Lawryのダークブラウンスエードに変えてみます。スエードのマットな質感が足元の主張を一段控えめ抑えてくれるのでより洗練された感じになります。

    Boncoura Fisherman Sweater

    チノトラウザーズの丈がちょうど良く脚を組んでも肌が見えません。ベージュにカーキ、マットなダークブラウンの色味は洗練された大人の雰囲気が出ます。この雰囲気はこれまで私がしてこなかったスタイルですが、今後少しづつ取り入れていきたいスタイルです。

    Boncoura Fisherman Sweater

    私のサイズは本来38ですが、フィッシャーマンの身幅が広いので36を選び少しタイトに着ています。


    ディテール

    • カシミアフィッシャーマンセーター : カシミア100%
    • シェットランドフィッシャーマンセーター : シェットランドウール100%
    • シングルラグランスリーブ

    両セーターとも毛を贅沢に使い目を詰めて編み込んでいます。

    組み合わせ

    • カシミアフィッシャーマンセーター : Boncoura
    • シェットランドフィッシャーマンセーター : Boncoura
    • チノトラウザーズ : Boncoura
    • 5ポケットコットンパンツ : Visvim
    • 帽子(グレー) : LEUCHTFEUE
    • サングラス 黒 : 999.9
    • サングラス 茶 : Ray-ban WAYFARER 90’s(BAUSCH+LAMB)
    • ベルト : Hender Scheme
    • 靴 焦茶チェルシースエードブーツ : John Lobb Lawry
    • 靴 茶色Uチップ : John Lobb Barros

    おわりに

    大好きなアイテムながら、中々、着る機会を持てなかったフィッシャーマンセーターですが、私自身の服に対する考え方の変化により、着る機会が増えています。理由は様々ですが、服に適した温度で楽しめば良いという、ある種の割り切りが一番大きいと考えています。(気温に適した服の選択とも言えます。)

    私自身も服の着方に、ある種の万能性を求めているところがあります。この万能性とは、真冬の朝、日中、深夜でも大丈夫な服を選ぶということであり、気温差が、5度から場合によっては10度以上も異なる環境でも大丈夫な服を選択しようとすると、最低気温である早朝の気温に合わせた服となってしまいます。

    最低気温を基準に着る服を選ぶと、どうしても暖かいアウターが基本となってしまいます。このような服の着方は秋冬シーズンの基本でもあり間違えではありません。

    このような服の着方では、ボリュームのある作りであり、アウターを着る事をあまり考えられていない、フィッシャーマンセーターの出番はありません。

    Boncouraのフィッシャーマンセーターは、デザインや質感が好みで購入したのですが、私の冬の服に対する考え方が上記した万能性を基準にしていたため、購入からしばらくはあまり着る機会を持てていませんでした。

    環境変化により、服のことも考えずにいた反動から、今年は少し服を着る事を楽しもうという意識が出てきています。しばらく時間を空けた事で、私の服に対する考え方が変わって来ています。

    過去にはあまり考えた事のない、何処で誰と会うために服を選ぶという意識や、温度などの環境に合っていればOKで最低気温や最高気温だけを基準に服を選ばないことなど、これまでとは異なる意識で服を楽しんでいます。

    この意識の変化により、着る機会のなかったフィッシャーマンセーターが大活躍しています。

    Boncouraの服作りの基本に、新品時の良さだけでなく、購入後、時間をかけて服を育てていく事が強く意識されています。これは、デニムだけでなく、今回紹介する、フィッシャーマンセーターでも感じます。私自身、過去に購入したものは大事に扱っていて、20年以上前に購入したものでも普通に身に着けられるアイテムが結構あります。

    Boncouraが展開するアイテムは、現在において着ていても素晴らしいのですが、20年くらい経ったら非常にに魅力的なエイジングをしているだろうとも考えています。

    購入後、5年くらい、あまり着る機会のなかったフィッシャーマンセーターですが、私の心境の変化から、突然着る機会が増えています。元々、非常に頑強で、長年(歴史的には数百年というレベルでデニムより歴史が長いです。)人々に愛されて来たものなので、今後、愛用する時期と少し距離を置く時期というサイクルはあると思いますが、非常に長いサイクルで楽しめるなと考えています。


    Shop

    今回紹介したBoncoura Fisherman Sweaterは、Post78さんで購入しています。
    Post78さんは、服好きの店主がこだわった上質で、長く楽しめるアイテムを多数扱っていて私もここで良く買い物をします。また、買い物の際、服好きの店主とファッション談義をするのも楽しみになっています。

    Post78

  • Brunello Cucinelli マウンテンブーツ

    Brunello Cucinelli マウンテンブーツ

    一見ゴツく、重厚感がありますが、履くとスッキリした洗練されたフォルム、ブルネロクチネリらしい上質で柔らかいカーフを使い、ソールにTPU素材を使った軽さと履き心地に優れたマウンテンブーツになります。

    ブルネロクチネリが、提案する着こなしに、通常とは異なる、意外性のある組み合わせがあります。これはブルネロクチネリのコンセプトの一つである、リゾートウエアの観点から提案される着こなしなどが該当しています。

    通常の服飾的な考え方では、スーツやジャケットにマウンテンブーツを合わせるといった発想がありません。ブルネロクチネリの面白さの一つに、マウンテンブーツをスーツに合わせてしまうような意外性のある着こなしの提案もしています。

    私が、ブルネロクチネリのスーツは所有していないので、スーツにマウンテンブーツを合わせることは出来ていません。幸い、春夏用、秋冬用とカジュアルながらジャケットは所有しています。秋冬用として愛用するコーデュロイジャケットを着る際、ブルネロクチネリが提案する、テーラードジャケットに、マウンテンブーツを合わせるスタイルの組み合わせをする機会は多いです。一見、意外な組み合わせながら、このスタイルは程よく力が抜けながらも、遊びの効いた洗練されたスタイルになります。

    ブルネロクチネリが独自に提案する、マウンテンブーツの意外性のある組み合わせの話をしていますが、今回紹介するマウンテンブーツは、靴単独としても非常に優れており、ブルネロクチネリらしい、程よく力の抜けた洗練さを持った、他のブランドでは作りえない、優れたマウンテンブーツになります。

    [ ブルネロクチネリ スエードペニーローファーの記事 ]

    非常に柔らかく履き心地の良いブーツです。ブルネロクチネリの靴全般に共通する作りの良さや素材、靴作りの理念のようなものを感じています。過去にスエードのローファーでも同様の感触を得ています。

    Brunello Cucinelli マウンテンブーツ フォルム

    上質なカーフを丁寧に使いマウンテンブーツとして仕上げています。

    Brunello Cucinelli マウンテンブーツ 着用したイメージ

    カラーがカフェ(焦茶色)であり靴紐も同色の革紐なので、マウンテンブーツのフォルムが持つボリューミーなゴツさや少しゴチャついた靴紐周りのイメージは全くありません。


    はじめに

    私自身、過去に、本格的なマウンテンブーツを所有し、愛用した事はなかったのですが、20年くらい前に、バーニーズで見た、イタリアのジャコメッティが展開する、マウンテンブーツが素敵で、どこかで欲しいと頭の片隅にありました。

    当時モンクレールのダウン(山岳ウエア時代のもので適度に燻んだパステルグリーンでした)を常用していたので、ボトムに、当時愛用していたブーツカットのデニムと、ジャコメッティの美しいマウンテンブーツを合わせたら素敵だなとなんとなく考えていたら、バーニーズの扱いが終わってしまい、結局購入出来ませんでした。(当時はカルぺの編み上げとジップブーツの2足を愛用していました。)

    マウンテンブーツは、登山靴なので、一般の靴よりヘビーデューティーであり、フォルムに少し癖があることと、分厚いソールと靴紐の構造から、履くと足元に結構なボリュームが出てしまいます。一昔前の、山岳用のダウンジャケットのようなふっくらしたボリュームのものなどと合わせるとバランスが良く、スポーティーなスタイルになります。

    その後、私自身が、ファッションから距離を置いた時期もあり、マウンテンブーツのこともすっかり忘れていましたが、ブルネロクチネリのコーデュロイジャケットを見にいった際に、目に留まったのが今回紹介するマウンテンブーツになります。

    見た目のスタイリングも洗練されて素敵ながら、履いた時に、他のマウンテンブーツとは全く異なる柔らかい履き心地と軽さに驚きました。コーデュロイジャケットとセットアップのパンツを買う目的ながら、全く関係ないマウンテンブーツの素晴らしさにやられ、コーデュロイジャケットとセットアップのパンツと一緒に購入しています。


    ブルネロクチネリ的な遊び感覚

    初めてブルネロクチネリ銀座店を訪れ、目的であるブレザーのセットアップに近いコーデュロイジャケットとコーデュロイパンツを購入します。通常の観点であれば、靴を合わせて選ぶのであれば、ブルネロクチネリが展開するダービーのシューズか、少し崩してローファーというのが定石ですが、靴は、ジョンロブのダービーやUチップを持っていたので、あまり考えていませんでした。靴を見せていただいている中で目に留まったのが今回紹介するマウンテンブーツになります。

    マウンテンブーツの試着もお願いすると、ブルネロクチネリのスタッフから、ブルネロクチネリ的な着こなしの遊び要素の一つとして、ブレザーにマウンテンブーツの組み合わせも素敵な組み合わせです。白のコーデュロイパンツは、ブランドコンセプトとしてもマウンテンブーツを合わせています。一般的なブレザーのセットアップのイメージを一歩進めて、ブルネロクチネリらしい世界観で楽しむのであれば、マウンテンブーツを合わせるコーディネートはおすすめですと言われます。

    この時、ブレザーとトラウザーズにマウンテンブーツ?と正直思います。マウンテンブーツはデニムやチノに合わせると素敵かなといった感覚で見せていただいたのでスタッフの意外な反応に驚きます。

    さらにスタッフから、通常であれば、着回しもしやすいダービーか、ローファーをお勧めしますが、マウンテンブーツという選択種は、例えが悪いかもしれませんが、ブルネロクチネリ入門から1、2段飛ばした選択で、一般的にはブルネロクチネリが展開する色々なアイテムを着こなしている方がする、遊びの要素としての選択種としてお勧めしていますとのアドバイスをいただきます。

    お勧めする理由として、お客様が選択した、コーデュロイのブレザーとコーデュロイトラウザーズの組み合わせに、アクセントとしてのマウンテンブーツの選択は非常にこなれており、さらに付け加えると、お客様がデニムを通常愛用しているので、ブルネロクチネリ以外のアイテムを、身につけた際のボトムとして履くことを考えると、ダービーやローファーよりもカジュアルで使いやすく、履く機会が多くなるので、マウンテンブーツの方がお勧めですといったアドバイスをいただきます。

    実際に、購入を決めたコーデュロイジャケットと、オフホワイトのコーデュロイトラウザーズにマウンテンブーツを合わせてみます。

    ブルネロクチネリの紹介で良くお話をする、考え方の異なるアイテムを許容する寛容さと、異なるアイテムに組み合わせた際に、上品さを足してくれるといった表現を用いていますが、同じブルネロクチネリながら、どちらかと言えばカジュアルとは言え、フォーマルに近いブレザーと、山登りに使うマウンテンブーツでは、考え方も目的も異なるアイテムなのでどうかな?と考えるのが普通ですが、思っていたミスマッチとは異なり、思っている以上に自然で洗練されています。

    ダービーやローファーも本格的な革靴と考えるとカジュアルな靴ですが、ブーツと比べたらフォーマルな靴です。スーツやジャケットのセットアップとして使う事が多い革靴なので、調和の取れた安定感のある組み合わせになります。

    ブルネロクチネリのダービーやローファーは、スエードやカーフでも色使いや質感が独特で、ジャケットやスーツと合わせても適度に力の抜けたこなれた感じがあります。この組み合わせは上品でもあり、他のブランドでは難しく、同様なテイストを求めると非常に難易度が高くなってしまいます。

    通常であれば、ブルネロクチネリの定石であるダービーやローファーを合わせて、ブルネロクチネリが提案する、やりすぎない洗練と上品さを選んだ方が良いのですが、そこをあえて、もう一段外すというか、遊びの要素を入れるために、マウンテンブーツを選択するという提案があることに驚き、実際に自身で身につけてみることで、なるほどと納得する世界観を理解することが出来ます。

    コーデュロイジャケットとコーデュロイトラウザーズが、冬物であったことも、ローファーなどではなくブーツを選択するきっかけになっています。その後、春夏物のMTMでジャケットをオーダーし、ブルネロクチネリのスリムなデニムを合わせるスタイルでは、ブルネロクチネリの柔らかいスエードローファーを合わせて購入しています。

    Brunello Cucinelli マウンテンブーツ 外観 横から

    ソールの厚さなどしっかり作られたマウンテンブーツですが、見た目の重厚さとは相反する柔らかさと軽さを持っています。

    Brunello Cucinelli マウンテンブーツ 外観 正面から

    丁寧に作られており革も適度に柔らかく靴紐によるフィット感の調整も非常に優れており履いていて疲れない事も特徴です。

    ブルネロクチネリの気持ちよさ

    ブルネロクチネリの服の、素材や仕立ての良さから来る着心地の良さは、一言で言えば、着ていて気持ちの良い服という表現になります。この言葉はファッションメデイアなどで良く話題にあがります。

    過去に記事にしている、スエードのローファーは、スエードの柔らかさとソールの柔らかさが絶妙で、ちょっと大袈裟ですが、ニューバランスのスニーカーに匹敵する履き心地を持っています。

    私自身が、ニューバランスの大ファンである理由が、履き心地の良さと、履いている時や、歩いた時の気持ちの良さにあります。ブルネロクチネリの革靴は、全く別の考えで作られた、ニューバランスのスニーカーに匹敵する履き心地の良さを持っており、履いていて非常に気持ち良い事が特徴です。

    この気持ち良さの感覚に、ストレスフリーな要素が大きく、長い時間履いていても足のストレスがなく、疲れにくいことが理由にあります。ストレスフリーな靴と言えば、全く別の考え方で作られている、ジョンロブの靴にもあります。革が適度に固く、靴も重いのですが、長年履き続け、ソールが沈んで革が足の形に微妙に変化する事で、自分の足の延長のようになり、足に馴染んだ時に得られる気持ち良さもありますが、気持ち良さのベクトルが異なりますので、この辺りの話はジョンロブの靴を紹介する記事でまとめられたらと考えています。

    今回紹介するマウンテンブーツも、スエードローファー同様、履き心地は柔らかく、見た目より遥かに軽く、ソールのソリ感も適度にあるため、非常に気持ち良く履くことができます。柔らかさの感触の中に靴裏の感触というのが適度にあるので車の運転などをしてもストレスなく運転することが出来ます。

    普通に考えるとマウンテンブーツの厚底は車の運転には適さないイメージがありますが、ブルネロクチネリのマウンテンブーツは、スニーカーの感覚で履けてしまいますので車の運転もストレスなく行えます。

    余談ですが、車の運転にはやはりドライビングシューズが適しており、MT車に乗っていた時はイタリアのピロッティのドライビングシューズを愛用していました。

    六本木のアクシスビルにあるルガラージュで扱っていたので3足ほど購入してローテーションで愛用していました。ピロッティのドライビングシューズが良いのはソールがそこそこ固く頑丈なので、他のドライビングシューズに比べ、車の運転だけでなく、普通に歩いても底の減りがあまりなかった事が選択した理由になります。

    実際の組み合わせ

    本記事においては、マウンテンブーツをブルネロクチネリの上着と合わせる形で紹介しています。非常に良くできたマウンテンブーツなので、ダウンジャケットなどと合わせてスポーティーな組み合わせをしても洗練された着こなしが楽しめます。

    ここ数年ダウンジャケットを着る機会がなかったのですが、今回マウンテンブーツの記事を書いていたらクローゼットに眠っているダウンジャケットを着てみようと考えています。

    私が所有しているモンクレールは2000年代初頭に買ったもので、色を含め、今のモンクレールのようなスッキリしたシルエットではありませんが、山岳ウエア的なフォルムがマウンテンブーツと相性が良いのではと考えています。他にも、ヘルノやTen-Cのアノラックなどダウンジャケットは所有しているので試してみようと考えています。

    今年は、記事でも紹介しているDiorのピーコートや、ブルネロクチネリのコーデュロイジャケット、シアーリングライダースとの組み合わせで楽しんでいます。


    着用例

    ボトムのシルエットがわかるように、パンツのレングスに合わせて着用例をまとめてみました。マウンテンブーツ単体で見ると結構ゴツくボリューム感がありますが、パンツと合わせると、スッキリとしたフォルムで、合わせるパンツを選ばない寛容さが感じられると思います。

    組み合わせてみると、一番洗練されているのは、ブルネロクチネリが提案する、細身のコーデュロイパンツとの組み合わせであり、ブルネロクチネリが提案する世界観の凄さを感じています。

    Brunello Cucinelli マウンテンブーツ Visvimのスリムパンツとの組み合わせ

    細めのボトムと合わせても靴のボリューム感が邪魔になりません。

    Brunello Cucinelli マウンテンブーツ Brunello Cucinelli コーデュロイパンツとの組み合わせ

    ブルネロクチネリが提案するコーデュロイパンツとの相性は抜群です。パンツの裾丈がブルネロクチネリが推奨する長さなのでパンツのシルエットとブーツのディテールのバランスが絶妙で双方の良い部分を引き立てています。

    Brunello Cucinelli マウンテンブーツ ヴィンテージ501XXとの組み合わせ

    501XXと合わせても違和感がありません。White’sなどのアメリカンブーツとは異なる上品さが加わります。

    ディテール

    • レザー製丸紐で開閉
    • レザー製ライニング
    • ライトウェイトマイクロポーラス製ミッドソール
    • TPUラバー製アウトソール
    • 本革

    組み合わせ

    • マウンテンブーツ : ブルネロクチネリ
    • ベージュコットンパンツ : Visvim
    • コーデュロイトラウザーズ : ブルネロクチネリ
    • デニム : Levi’s 501XX(1954製)

    おわりに

    今回、紹介しているマウンテンブーツは、初めてブルネロクチネリで買い物をした時に見つけて、元々購入予定にはなかったものですが、その素晴らしさから購入しています。

    一般的な、マウンテンブーツとしての組み合わせを前提に選んだのですが、当日購入した、コーデュロイジャケットとコーデュロイパンツのセットアップにも組み合わせるという、私の頭にはなかった、使い方も教えていただいた事で利用幅の広い便利な靴となっています。

    ブルネロクチネリのアイテムが持つ寛容さ、というテーマのようなものを文章にしていますが、こればかりは実際に試してみるのが一番ですので、興味があったり、ブルネロクチネリを愛用されていたら是非トライしてみてください。

    ラグジュアリーブランド(この表現もあまり好きな表現ではありません)として評価されているブルネロクチネリですが、商品の上質さや、贅沢さはメディアの記事などである程度把握できると思います。

    その先にある本当の価値は、着こなしの幅の広さや、それを身につける事で、着た人のアイデンティティーを最良の形で引き出してくれる事であり、着るという事にあまり神経を使わずに、目の前にある、ブルネロクチネリを身につけるだけで表現できてしまう、世界観にこそ価値があります。その素晴らしさを上手く伝えられたらと考え記事を書いていますが、なかなか難しい事を実感しています。


    Shop

    ブルネロクチネリのShop紹介はフィールドジャケットの記事にまとめています。

    [ ブルネロクチネリ フィールドジャケットの記事 ]

  • A-2 REAL McCOY’S 着こなし

    A-2 REAL McCOY’S 着こなし

    前回、Real McCOY’SさんのA-2の記事を書きましたが、記事で案内出来なかった着こなしの組み合わせを今回紹介します。

    前回の記事は、無骨なA-2を、年齢を重ねた40代以降の男性がおじさん臭くならずにどう着ると洗練されて見えるか?といったテーマで書いてみましたが、もう少し普遍的なA-2らしい着こなしを紹介できたらと考え記事を書きました。

    [ Real McCOY’S A-2の記事 ]

    私自身が特別センスが良いわけではなく、所有している衣類の組み合わせで構成しています。アメカジの基本的な組み合わせで非常にオーソドックスな着方ですが参考になれば幸いです。

    前回のおさらい

    前回はインナーにブルネロクチネリのウエスタンシャツを着て、Visvimの5ポケットのスリムなストレートパンツを合わせて、ストールを首に巻いています。この組み合わせは全体のシルエットが細身であり小物使いも現代的な組み合わせであり、A-2本来が持つミリタリー的な無骨さを敢えて抑えるような組み合わせをしています。

    今回の組み合わせ

    今回はボトムにオーソドックスなシルエットであるBoncouraのチノトラウザーズを履いて、1.インナーはブルネロクチネリのスエット風カシミアニットと、2.80年代のHealthKnitの裏起毛のスエットを合わせています。

    ブーツはブルネロクチネリのマウンテンブーツを合わせています。マウンテンブーツではなくWhite’sのブーツなどを合わせた方がより本格的になりますが適度なボリューム感と色合いがA2に合っていると考えての組み合わせになります。

    1.カシミアインナー

    • アウター A-2 フライトジャケット
    • インナー スエット風カシミアニット
    • ボトム チノトラウザーズ
    • シューズ マウンテンブーツ

    2.スエットインナー

    • アウター A-2 フライトジャケット
    • インナー ポリ混紡丸首スエット
    • ボトム チノトラウザーズ
    • シューズ コンバースオールスター

    A-2のインナーにスエットを着てワークパンツを履く姿は大脱走のスティーブマックィーンのイメージがありますが、私が今回した組み合わせは残念ながらマックィーンのようなスタイルにはなっていません。

    ただ、身近にあるものを組み合わせて着るだけでも、A-2は無骨で男性的であり、ミリタリーの規律的な要素を持つ、非常に雰囲気があるアウターなので、男性的でどこかストイックながら、タフな雰囲気が良い形で出せると思います。

    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    前回と異なり全体のシルエットは普通ですが、A-2の制服的な作りがラフに着ても必ず残り、クラシックなミリタリーアイテムながら着丈が短いのでどこかスタイリッシュになる面白いアイテムです。

    はじめに

    今年は、DiorのデニムやVisvimのコットンパンツなど、少し細めのボトムに挑戦しています。従来の私が好むスタイルより少しスリムなボトムを履く事で、洗練された服の着方を楽しんでいます、

    元々好きな、ジーンズやチノトラウザーズも例年より活躍機会が少なくなっていましたが、ジーンズやチノトラウザーズはアメカジというよりも、もう少し広範囲な括りである、アメリカンクロージングの基本でもあり、合理的で楽に着こなせる事(動きやすさや衣類の扱い)に優れるアメリカの服飾文化が原点のアイテムは、普遍的な魅力を持っています。

    前回の、記事のテーマである、A-2をモダンでスリムなスタイルで着る事も魅力的ですが、もう少し普遍的な着方を紹介したいと考えて記事を書いています。記事用に撮影した写真を見ると、特別尖ったり、洗練されたイメージはないのですが、普遍的な男性ファッションの魅力を再確認するきっかけになっています。

    前回の記事で触れた、A-2を上手く着こなす難しさに、A-2のクセの強さが着る人より前に出てしまい、その人が持つ個性よりも、A-2を着ている人という印象になりやすいという話をしていますが、今回は、あえてA-2を前に出した形で着ています。それでも普遍的な組み合わせの力で、A-2だけが前に出ることなく、全体の組み合わせの中のA-2という風にまとまるので、その辺りの感覚が上手く伝わればと考えています。

    1.カシミアニットのインナー。

    A-2のインナーとして考えると、コットン100%のスエットを合わせるのが王道ですが、厚手のスエットはアームホールがワイドであり、A-2の太くないアームホールだと、少し動きにくくなります。またコットン100%のスエットより、カシミアニットの方が薄く暖かいので、冬本番の着用はカシミアニットを着る機会の方が多くなります。

    私が丸首のスエットを着る機会はそれほど多くなく、着るのはジップフーディーがほとんどです。一番着る機会が多いのは、Boncouraのジップフーディーになります。Boncouraも古着にルーツを持ち、非常にこだわった商品展開をしており私も大ファンですのでスエットに限らず、いくつかBoncouraのアイテムを愛用しています。

    Boncouraは、非常に高品質なスエットを展開していますが、作りが頑丈で厚く作られているので、A-2のインナーとして使うのは難しいです。

    A-2やJ-100などの、クラシックなアイテムのインナーは、サーマルTシャツか、カシミアニットというのが私の定番となっています。サーマルTシャツはReal McCoy’sさんのものを愛用しています。Real McCoy’sさんらしい本物志向で作られたかなり厚手でしっかりした作りになります。こちらも機会があれば紹介したいと考えています。

    今回は、私のカシミアニットの中でも、一番使用頻度の高い、ブルネロクチネリのスエット風カシミアニットを合わせています。このニットは、ほどほのボリュームで非常に着心地が良く、どんなアウターにも合わせやすいので、私のカシミアニットの中でも着用機会が多いアイテムです。

    ブルネロクチネリのカシミアニットで、スエット風カシミアニットと同じボリュームの、カシミアジップフーディーも愛用しています。もう少しラフに着こなしたり、ジャケットやコートのインナーに使ったり出来る、優れたカシミアニットになります。ブルネロクチネリのニットは、品質も非常に高く耐久性も高いので、他のニットに比べて毛玉が出にくい事も特徴にあります。

    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    A-2とスエット(スエット風カシミアニット)、チノトラウザーズ、ブーツ(マウンテンブーツ)と組み合わせると、普遍的なA-2の着方になります。A-2の身丈や身幅がタイト(キツくて着にくいというわけではありません)なので、ボトムにボリュームが出てきて、視覚的な相乗効果から、全体のシルエットがガッチリとした逞ましい体型に見えます。
    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    カシミアニットをインナーとして使うと、着心地も良く、暖かく楽に着れるますので、使用頻度は高く、真冬でも、A-2のジップフロントを閉めて、マフラーをして、手袋をすれば十分暖かいです。カシミアの性質上、毎日の着用はせず、一度着たら、数日休ませて愛用すると長く着る事ができます。
    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    A-2のフロントジップを閉めると、ミリタリー的な要素が前に出てきます。チノトラウザーズの股上の深さや、ボトムの太さが、全身のスタイルを決めています、もう少し股上が浅く、細いパンツを合わせると、全体のスタイルが洗練されますが、どちらも甲乙つけ難い魅力があります。
    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    今回、A-2インナーに合わせたのは、ブルネロクチネリの、スエット風カシミアニットになります。ボリュームもちょうど良く、非常に暖かいので、寒くなる冬本番は、色々なアウターのインナーとして大活躍する、優れたアイテムです。

    2.ポリ混紡スエットのインナー。

    A-2のインナーとして合わせる王道は、薄グレーの丸首スエットではないでしょうか。今回、所有しているスエットを合わせようと考えましたが、現代のスエットはアームが結構太く、A-2などのクラシックな作りのアウターと合わせると、アームホールが窮屈で動きにくくなってしまいます。所有しているスエットで、一番適していると考えていた、一番細身である、CIOTAのクラシックなコットン100%の丸首スエットでさえ、A-2のインナーで合わせると、少し窮屈になってしまいます。

    A-2や、所有しているBucoのJ-100などのインナーとして、使えるスエットはないかと、当ブログに良く登場する、Post78の店主に相談したら、流石Post78の店主、80年代のHealthKnitの裏起毛のスエットのデッドストックを持っています。

    このスエットは、コットン100%ではなく、ポリ混紡で作られており、裏起毛、80年代のサイズ感(タイトというより小さいサイズといった方が正解)で、A-2やBucoのJ-100など、クラシックなシルエットのアイテムでも、インナーとして問題なく使用できます。店主の、流石のセレクトに恐れ入り、感心して即決で購入します。(非常に良心的な価格もPost78さんの特徴です)

    Post78の店主の凄さに、アンテナの広さがあり、何気なく相談すると、結構な確率で希望に近いものを持っていたりします。古着や、モード、最近の、メイドインジャパンのこだわり商品など、広範囲にアンテナを貼っていて、流行り廃りの時間のサイクルも熟知しているので、結構前に出回ったもので、最近みないが、今これ着たい、などという、我儘な要望にも結構な確率で対応出来てしまいます。

    別の記事で紹介している、Schiesser RevivalのTシャツなどは、店主も敬愛するマイケルタピアのTシャツの話題から、出てきたTシャツです。マイケルタピアがやっていた、フィット感のあるTシャツはないかと店主に相談した時に、スタイルやサイズ、素材感に共通点があると案内され、着用したら、まさにイメージ通りであり現在愛用しています。

    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    写真ではわかりにくいですがニットではなくポリ混紡のスエットになります。色味が絶妙で、一番オーソドックスな薄グレーでありA-2のインナーに着ると、大量生産されたスエットが持つ、程よいチープさの良い面が出てきて、合理的で着やすいものを好むアメリカンなスタイルの印象が出てきます。
    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    折角、丸首スエットをインナーに着たので、スニーカーを合わせます。スニーカーも、現代的なテクノロジーが入ったものでなく、クラシックなコンバースのオールスターのようなものが相性が良いです。
    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    おしゃれをしているというより、身の回りにあるものを、自然に身につけている印象の方が強いです。私は、このようなスタイルが大好きなので、自然体で着る古着やアメカジを好んでいます。
    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    80年代のスエットであり、サイズ感が現代のものと異なり、身体に絶妙にフィットしています。これは、フィト感を考えて作られたというより、当時のサイズ構成が、現代より小さかったというのが理由で、計算されたものではありません。現代において探してもなかなか見つからない絶妙なサイズ感です。
    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    チノトラウザーズに、コンバースなどのクラシックなスニーカー、薄グレーのスエットは、若い頃に好み、散々したスタイルですが、歳を重ねる事に、段々しなくなってしまいます。久しぶりにすると、普遍的なスタイルの良さを感じます。このスタイルが好きな、年配の方は、街中でも、結構見かけたりしますが、良い意味で若く見える優れた組み合わせでもあります。
    A-2 REAL McCOY’S 着こなし
    80年代のデッドストックになります。当時のアメリカのMサイズですが、身幅も身丈も、現代のスエットと比べると小さく、アームホールも細くなっています。ポリ混紡の裏起毛なので、柔らかく、暖かかく、コットン100%のスエットに比べ、真冬でも行けてしまいます。

    チノトラウザーズ

    チノトラウザーズは、ジーンズ同様、様々なブランド、ショップで展開されており、一言にチノトラウザーズといっても、種類がありすぎて自分に合うものを探すのは、結構大変なアイテムです。

    20代は、チノトラウザーズが好きで、ラルフローレンのものなどを、良く履いていましたが、年齢を重ねるごとに、履く機会が減ってしまいました。30代の半ばくらいに、バーニーズで勧められた、ドルチェアンドガッバーナの、極度にローライズで細く、光沢感のあるツイルのチノトラウザーズを購入して、愛用していましたが、当時の提案が、トップスは焦茶のシャツやニットポロの組み合わせでした。非常にモード色が強く、そのため段々着なくなり、後輩がモード的なファッションを好んでいたので譲ってしまいます。

    40代に一度、インコテックスのチノトラウザーズと、ブルックスブラザースのボタンダウンシャツを、色違いで揃えて、着ていた事もあります。この組み合わせに、ブルックスブラザースも時代の流れで、スリムフィットのボタンダウンをはじめており、スリムフィットのボタンダウンが好みだったので、色違いで、4枚のボタンダウンシャツと、このインコテックスを合わせて、愛用していました。

    私の、チノトラウザーズの履き方に、購入後、即洗ってしまい、センタークリースを取ってしまいます。20代のラルフローレンのチノトラウザーズは、まさにそのような形で愛用していましたが、インコテックスのチノは、所謂、ジャケパンスタイル用なので、少し短めの丈と裾ダブルにしてしまい、センタークリースありきのものだったので、カジュアルに着るというより、少しだけフォーマルな使い方が多かったです。

    私が、チノトラウザーズを履く場合、センタークリースを抜いたものを、愛用しています。おそらく、普通に店頭に並ぶチノトラウザーズは、センタークリースがついていますので、購入後、洗ってセンタークリースを抜いてしまいます。この時、素材がフォーマルな形で着ることを考えられたものより、少し厚手の昔からある素材のものの方がしっくり来ます。

    Boncouraのチノトラウザーズ

    Boncouraのチノトラウザーズが良いのは、サイズ感や素材感を含め、オーソドックスながら、履いた時に絶妙なスタイリングになります。これはBoncouraを代表するデニムにも共通しています。

    万人向けというわけではありませんが、スリムな若い方が来ても、年相応の体格の人が来ても、適度にリラックスしたスタイリングが出来上がり、着用するだけで、こなれたアメリカンカルチャーの、良い部分を抽出したようなスタイルが出来上がります。

    Boncouraの製品全般に言えますが、モチーフとなるアイテムを深く研究しており、生地や素材、作りに相当こだわっており、品質の高さだけでなく、着用した時に感じる着心地やスタイリング面でのちょうど良い塩梅が絶妙です。

    今回、A-2 フライトジャケットのボトムとして合わせていますが、スタイリングがこなれて見えるのは、Boncouraのチノトラウザーズを選択した事も大きな要素です。

    Boncouraの製品は、デニムやチノだけでなく、スエットやフィッシャーマンセーターなど私自身愛用していますので、機会があれば記事で紹介していきたいと考えています。


    着用例

    今回は記事中に説明付きで着用例を載せていますので、改めての着用例はありません。

    組み合わせ

    • A-2 フライトジャケット : Real McCOY’S
    • チノパンツ : Boncoura
    • スエット風カシミアニット : Brunello Cucinelli
    • ポリ混紡丸首スエット : HealthKnit
    • マウンテンブーツ : Brunello Cucinelli
    • スニーカー : CONVERSE ALLSTAR
    • ベルト : Real McCOY’S
    • ニット帽 : LEUCHTFEUE
    • サングラス : Ray-ban WAYFARER 90’s(BAUSCH+LAMB)
    • 時計 : Rolex Day Date (1803 1969)

    おわりに

    今回A-2を、より普遍的な組み合わせで着てみました。前回の記事で、ボトムを細めにしたり、ストールを巻いたりすることで、A-2が持つ無骨な雰囲気を和らげて、現代的で洗練した形で着てみました。今回は、A2をより普遍的で、恐らく多くの方が良くされている形で組み合わせた着方をしています。

    厳密には、選んだアイテムのブランドなどは異なると思いますが、A-2とチノトラウザーズや、丸首スエットとの組み合わせは、一つのスタンダードな着こなし方であり、私の記事以前に、実践されている方も多いと思います。

    私が試した洗練というテーマより、より多くの方が実践している、スタンダードな組み合わせが優れているのは、アメリカ的な、非常に合理的な服の着方に対する考え方を元にしており、アメリカの服飾文化の奥深さのようなものを感じます。

    これは服に対する考え方の一つで、あまり深く考えず、目の前にあるものを適当に手に取り、気分などで組み合わせを決めて着る、という服の着方は、ある意味、究極のコーディネイト方法であります。(私の服に対する考えの基本でもあります。私が古着やアメカジを好む理由の原点がここにあるとも言えます)

    元々は、アメリカで日常的に着用されているアイテムを手に取り、組み合わせたら出来上がったスタイルで、誰が始めたわけでなく、自然と出来上がったスタイルになります。

    元は、米軍が支給する、A-2や軍パン、トレーニングウエアとしてのスエットを、支給された軍人の方が、普通に着ていた組み合わせですが、そのスタイルを、後世において、映画などで見て、見た方が自然と影響され、そのスタイルを模倣し、その模倣したスタイルをさらに模倣するというサイクルが出来上がり、結果的にそれとなく普及したスタイルではないかと推測されます。

    今回、米軍支給のミリタリーアイテムである、A2 フライトジャケットをテーマに着こなしを考えて見ると、最後に辿り着くのは、ルーツでもある、支給された軍人の方が普通に着ていた姿を、日常ファッションに取り入れて出来上がった、スタンダードなアメリカンスタイルが一番なのでは、と再確認出来た事が、今回の記事と撮影の収穫でした。

    最後に、付け加えますと、今回の、スタンダードで普遍的な、A-2とチノトラウザーズの組み合わせは、今回のテーマの一つである、おじさん臭くならない革ジャンの着方の一つの答えであります。

    チノトラウザーズにスエットにスニーカーと、誰でも出来るスタイルながら、ある程度歳を経た人間が、このスタイルをすると、良い意味で若く見え、こなれておしゃれに見えるスタイルになります。

    A-2、チノトラウザーズ、丸首スエットのインナー、出来ればクラシックなスニーカーという、どこにでもあるアイテムを組み合わせたスタンダードな着方こそが、前回の記事のテーマであり、私がA-2を購入したきっかけである”おじさんの革ジャン”にならない最適な方法ではないかと再確認しました。


    Shop

    Real McCOY’SさんのShop紹介は前回の記事にまとめています。

    [ Real McCOY’S A-2の記事 ]

  • Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット着こなし

    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット着こなし

    前回、Brunero Cuccinelliのコーデュロイジャケットの記事を書きましたが、コーデュロイの質感などが、写真でうまく表現できていなかったので、写真を追加して、前回の記事で案内出来なかった、着こなしの組み合わせを今回紹介します。

    前回の記事や、シアーリングのライダースジャケットの記事でも触れていますが、Brunero Cuccinelliの服は、仕立ての良さと素材の良さが持つ上質さだけでなく、服作りに関する適度な中庸さ(主張を抑えた控えめな要素)と品格を持ち合わせています。

    (この理念こそがブルネロクチネリの凄さです)このことで、品良くスタイリングが綺麗でありながら、他のブランドや、古着など、ブルネロクチネリの服作りとは、考え方が全く異なる服との組み合わせを許容する寛容さを持ち合わせています。許容するだけでなく、Brunero Cuccinelliが持つ、本質的な上質さや品格が、身につけた人のアイデンティティーを良い形で表現します。

    今回、Brunero Cuccinelliが展開する、5ポケットでベージュに仕上げたジーンズスタイルのコーデュロイのパンツと、Levi’sの501XXとの組み合わせを紹介します。

    501XXは同年代のコーデュロイシャツ、両ボトムともシャツよりラフに着こなせる、Brunero Cuccinelliのベーシックなカシミアニットをインナーに合わせています。

    Brunero Cuccinelliのニットとジャケットの組み合わせは、アイテム同士の組み合わせを深く考えなくても良い、非常に楽に着れるスタイルながら、それぞれのアイテムが持つ上質さと品格を持ち合わせています。

    Brunero Cuccinelliのコーデュロイジャケットは軽く暖かいので、ジャケットとニットのみで、着膨れしないすっきりした組み合わせを真冬でも楽しめます。

    [ ブルネロクチネリ コーデュロイジャケットの記事 ]

    私自身が特別センスが良いわけではなく、所有している衣類の組み合わせで構成しています。Brunero Cuccinelliが提案する基本的な組み合わせと古着を合わせた非常にオーソドックスな着方ですが参考になれば幸いです。

    今回の組み合わせ

    今回は、ブルネロクチネリが持つ、異なるコンセプトで作られた衣類との組み合わせを容認する寛容さ、といったちょっとしたテーマに触れているので、50年代の古着であるLevi’s 501XX(革パッチ最終)と、同年代のコーデュロイシャツの組み合わせ、Levi’s 501XX、ブルネロクチネリのボトムに、ブルネロクチネリのニットを合わせています。

    ブーツはブルネロクチネリのマウンテンブーツを合わせています。501XXなどはマウンテンブーツではなくWhite’sのブーツなどを合わせた方がより本格的になり、お互いの持つ良さが引き立ちますが、マウンテンブーツの適度なボリューム感と、色合いがコーデュロイジャケットに合っていると考えての組み合わせになります。

    1.Levi’s 501XX(1954製)、コーデュロイシャツ(50年代製)

    • アウター コーデュロイジャケット
    • インナー コーデュロイシャツ
    • ボトム 501XX
    • シューズ マウンテンブーツ

    2.Levi’s 501XX(1954製)、ニット

    • アウター コーデュロイジャケット
    • インナー スエット風カシミアニット
    • ボトム 501XX
    • シューズ マウンテンブーツ

    3.ブルネロクチネリコーデュロイパンツ、ニット

    • アウター コーデュロイジャケット
    • インナー スエット風カシミアニット
    • ボトム デニム風コーデュロイ5ポケットパンツ
    • シューズ マウンテンブーツ

    今回、写真を撮り直してみて感じるのは、ブルネロクチネリが使用しているコーデュロイの上質さと柔らかさ、ジャケットの仕立ての良さが感じられます。

    ただ、私がしているコーディネートに、特別なテクニックのようなものはなく、所有しているアイテムを適当に手に取り、組み合わせて着るだけでも、上質な世界観を出せるのは、ブルネロクチネリの服作りの哲学に起因している事を再確認しました。

    この哲学には、複数の要素がありますが、その一つとしてブルネロクチネリの服を持っていると、何年か先に、他の服と組み合わせて着ても成り立ちます。ブルネロクチネリの服を年式違いで組み合わせると、更に両者が引き立ちますが、全く考え方の異なる服と組み合わせても成り立ってしまいます。

    この事が、本質的な、良いものを長く着るということに自然と繋がります。服は頑丈で大丈夫でも時間が経ってしまった事で時代感と合わなくなり、着る事が難しくなるといった事と無縁の服作りを頑なに続けています。

    仮に、私が80歳になり、体型もそれほど変わらなくて、このコーデュロイジャケットが好きで、着続けても成り立ってしまうという、普遍的なデザインと作りを持っています。

    例えばですが、20年くらい着込んで、肘が出て、生地が少し擦り切れてしまったとしたら、黒のスエードのパッチを当てて、大事に着るなどしていたら、非常に素敵な老紳士であり、そのような服との付き合い方が出来たら素敵だろうなと考えますが、ブルネロクチネリの服はそれが成り立ってしまいます。

    少し堅い話になってしまいましたが、私がブルネロクチネリの服に敬意を持っているのは、素晴らしい社会性や社会活動という企業理念もありますが、本質的に良いものを手間暇かけて作りあげ、着る人に服が持つ本質的な価値を提供している事があります。

    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    前回の記事では、写真が上手く撮れず、コーデュロイジャケットが持つ優れた質感や、スタイリングが解りにくかったので、今回の記事で上手く伝わればと考えています。

    はじめに

    前回、ブルネロクチネリのコーデュロイジャケットの記事を書きましたが、着用例の写真が上手く撮れず、コーデュロイジャケットが持つ、質感や優れたスタイリングが伝わりにくいと感じたので、写真を撮り直して補足的な記事を書いています。しばらく休んでいたブログの再開まで時間が空いてしまった為、撮影のルーティンが上手く作れておらず写真も上手く撮れていません。

    ルーティンが出来上がると、撮影時に、写真の出来上がりを頭の中で想定出来るようになるので、撮影ペースが上がります。撮った写真をなん度も見て、写真の良否について考えるという、写真の基本中の基本をしていなかった事の反省にもなります。しばらく離れると、焦点距離や露出などの感覚が薄れてしまい、日の出方や撮影時間帯に関わる露出の微調整なども忘れてしまっています。

    こういった、記事のテーマだけでなく、写真撮影に関わる事や、記事のまとめ方などがブログを運営し記事を作成することの楽しさでもあるので、おいおい慣れていけばと考えています。

    補足ですが、私の写真は、全てミラーレス一眼と三脚を使い、スマートフォンの簡易テザーのアプリを使い、セルフィーで写真を撮っています。自身の写真を撮る事で、身につけた衣類の組み合わせや、スタイリングが、どのように見えているかを、写真により把握出来ます。自身の写真なので、客観的な判断はなかなか難しいのですが、自身の服の着方の良否がわかりやすい事もメリットの一つです。

    1.50年代の501XXと50年代のコーデュロイシャツを組み合わせます。

    前回の記事でも紹介しましたが、私が愛着を持つ、1950年代前期のLevi’s501XX(レザーパッチ最終期)と同じく1950年代のループボタンで襟の大きなコーデュロイシャツを合わせています。

    501XXとジャケットを合わせるので、アメリカ的なWhite’sのブーツを合わせたいところですが、今回は、ブルネロクチネリのマウンテンブーツを合わせています。

    シャツをインナーに着た時は、帽子をハンチングやキャスケットで合わせています。

    私がLevi’sの501を愛する理由の一つにベルトループが幅広になっていることがあります。昨今、細いベルトのブームで極太ベルトをしている方をあまり見かけなくなりましたが、私は501には太めのベルトをするのが好きです。

    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    Brunero Cuccinelliのコーデュロイジャケットに、50年代の501XXと、同じく50年代のコーデュロイシャツを合わせています。下記で紹介する、Brunero Cuccinelliの5ポケットのコーデュロイパンツと比べると、ボトムが少し太くなりますが、スタイリングとしてはまとまっています。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    Brunero Cuccinelliの、ワンアンドハーフブレストという、ダブルフェースのジャケットでも前が開きすぎない仕立てのおかげで、フロントボタンを止めずに、ラフに着てもスタイリングが崩れません。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    ジャケットのシルエットが綺麗なので、フロントボタンを止めて着る方が全体のバランスが良くなります。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    柔らかく着やすいジャケットですが、細部の作り込みは徹底していて、肩から胸のラインと脇からウエストの絞り込み、身丈の絶妙な長さが、デニムのような、トラウザーズより細めのボトムを履いても、収まりが良くスッキリしたシルエットを作ってくれます。

    2.カシミアニットをインナーに着ます。

    コーデュロイジャケットのインナーにカシミアニットを着ただけのシンプルなスタイルになります。この着方だと、ジャケットを着るというより、ジャケットが他のアウター(ピーコートやレザーアイテム他)と同じような形で着用出来るので、気負わずに着る事ができます。

    私の記事で話題に上げている、着るものにあまり気を使わず、目の前にある、気に入った服を適当に手に取り着る、というスタイルに適しており、この事で着ていく機会が多くなります。そのようなラフな着方をしても、上品さや品格が損なわない事こそがブルネロクチネリの真骨頂ではないかと感じています。

    元々、古着が好きなので、デニムにテーラードジャケットを合わせるという着方は、これまであまりして来ていなかったのですが、ブルネロクチネリのジャケットを購入したことで、デニムにジャケットを合わせる面白さに目覚めたとも言えます。

    (過去にバーニーズで服を買っていた時代:90年代後半から2000年代半ばくらい)はスタッフに進められて幾つかのジャケットを購入していますが、他のアウターに比べて着用機会が少なかったです。今考えると勿体無かったと思いますが、当時の私の価値観ではテーラードジャケットのフォーマルさや洗練された雰囲気の良さを受け入れられなかったのが原因です。これは、他のアウターに比べおしゃれであるが、当時の私が好んだ自然体ではない着こなしが肌に合わなかったとも言えます。

    2000年前後のバーニーズは非常に先進的で、それまで日本にはなかった服飾に関わる価値観を教えてくれました。今の私の様々な要素の服を混ぜて着るという原点はこの時代のバーニーズに教えてもらった事が大きく起因しています。

    当時購入した商品は、ほとんど後輩に譲ってしまいました。記事にまとめたカルぺディエムなどはまさに当時のバーニーズが教えてくれたアイテムです。

    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    シャツではなく、クルーネックのスエット風カシミアニットをインナーに合わせます。ジャケットが持つフォーマルな雰囲気が緩和してカジュアルな雰囲気が出てきます。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    ニットのインナーはVネックのTシャツを着ています。下着とニット、ジャケットの組み合わせで十分暖かく、マフラーと手袋があれば真冬でも暖かく過ごせます。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    シャツではなくニットをインナーにする事で、ジャケットのフォーマルな感じが緩和して、非常にリラックスしたイメージになります。ジャケットのフロントを締めても、リラックスしたカジュアルなイメージは残り、インナーのニットの色を変えることでバリエーションがつけられる、非常にリラックスしながらも洗練された着こなしが楽しめます。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    結構気崩したスタイルですが、ブルネロクチネリに限らず、ダブルフェースのジャケットはボタンを締めた方がスタイリングとして綺麗にまとまります。

    3.ブルネロクチネリの5ポケットコーデュロイパンツ

    ブルネロクチネリが展開する5ポケットタイプ(ジーンズの形)のベージュカラーのコーデュロイパンツをボトムに合わせます。ジャケット、インナー、ボトム、靴が全てブルネロクチネリになり、素材もコーデュロイで統一されるのでスタイリングや色合いなども洗練され、ブルネロクチネリが提案している世界観が良く解ります。

    写真からも感じとれるかもしれませんが、ブルネロクチネリのコーデュロイは非常に柔らかく作られており、デニムを履いた質感よりも、高番手の糸(Super150以上)で作られたトラウザーズのような履き心地になります。そのことで、スタイリングの綺麗さや上品さに加え、柔らかい着心地の良さが気持ち良いです。ブルネロクチネリを愛するリピーターの方は、スタイリングの素晴らしさに加え、この着心地の気持ちよさを求めて、リピートしているのではと感じる気持ち良さです。

    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    色あわせやスタイリングに特別な要素は全くない組み合わせですが、ブルネロクチネリが持つ上質で柔らかい質感から、上品なリラックス感が出ています。この組み合わせは、私の年齢より高い年齢の方でも着やすいコーディネイトなので、歳を取っても手に取り着ていける普遍的な魅力を持っています。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    本来、プリーツの入った、もう少し太めのトラウザーズを合わせるのですが、デニムのシルエットを持つ、スリムで柔らかいコーデュロイパンツを合わせる事で、全体のシルエットがスッキリとまとまります。着る人の好みや体型、必要とする環境などを考慮し、アイテムを展開している間口の広さもブルネロクチネリらしさであると感じます。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    ボトムのコーデュロイパンツのシルエットは細身のジーンズのシルエットで作られていますが、柔らかい素材の統一感からか、501XXとの組み合わせより、シルエットがスッキリとします。普通この着方ではマウンテンブーツなど合わせませんが、マウンテンブーツを合わせてもまとまってしまう寛容さが、ブルネロクチネリの服作りの本質にあります。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーディネイト
    前回のコーデュロイのトラウザーズはオフホワイトでしたが、今回合わせた5ポケットのコーデュロイパンツは暖色系のベージュなので柔らかく気崩したイメージになります。ブルネロクチネリのボトムと合わせるとジャケットの綺麗な作りがより際立ちます。

    Burunello Cucinelli コーデュロイ トラウザーズ

    今回、ボトムに合わせたパンツの正式名称が以下となります。

    イタリアンフィット ガーメントダイ コットンコーデュロイ 5ポケットパンツ

    ガーメントダイコットンの細畝コーデュロイでモダンさと個性を添え、スポーティさを際立たせた5ポケットトラウザーズです。細い縞の質感が、シーズンカラーを絶妙に引き立てます。イタリアンフィットは、身体にぴったりと沿っていながら、スタンダードなフィットよりもやや柔らかいラインを描きます。

    • 色 エクリュ
    • メタリックボタンで開閉
    • フロントにウォッチポケット付きポケット
    • バックにパッチポケット
    • シンプルヘム
    • イタリアンフィット:腰周りとウエストはレギュラーに仕立てた、すっきりとして調和のとれたフィット感です
    • 100% コットン

    Burunello Cucinelli 公式Webサイトから引用

    ブルネロクチネリのトラウザーズで、一番細めのラインがイタリアンフィットになっています。(デニムはスリムフィットというさらに細いラインがあります。私も1本所有しており過去に記事で取り上げています。)

    前回の記事で取り上げた、セットアップで履いているオフホワイトのコーデュロイトラウザーズは、スタンダードフィットというスーツやジャケットとセットアップで合わせる少しフォーマルなパンツの標準的な細さになります。

    私は、デニムスタイルが基本にありますので、コーデュロイジャケットもデニムを合わせる機会が多いのですが、ボトムに白系統の色を履きたい時に、このコーデュロイの5ポケットパンツが重宝します。


    着用例

    今回は記事中に説明付きで着用例を載せていますので、改めての着用例はありません。

    組み合わせ

    • コーデュロイジャケット : Brunello Cucinelli
    • デニム : Levi’s 501XX 1954製
    • スエット風カシミアニット : Brunello Cucinelli
    • マウンテンブーツ : Brunello Cucinelli
    • ベルト(501) : アンリクイール
    • キャスケット : Real McCOY’S
    • ニット帽 : LEUCHTFEUE
    • サングラス : Ray-ban WAYFARER 90’s(BAUSCH+LAMB)
    • 時計 : Rolex Day Date (1803 1969)

    おわりに

    今回、ブルネロクチネリのコーデュロイジャケットを古着の501とブルネロクチネリのボトムで合わせてみました。撮った写真を比べると、やはりトップボトムをブルネロクチネリで合わせた方がスッキリと上品にまとまります。

    私自身が、好きなものを適当に組み合わせて着るスタイルが好きなのでリーバイスと合わせていますが、ブルネロクチネリが持つ魅力を最大限表現できるのは、ブルネロクチネリが提案するスタイルである事が、今回の撮影で良くわかりました。

    私の中にある、服の着方に、キメすぎているおしゃれというのを受け入れていない部分があります。これは全身をブルネロクチネリのアイテムで合わせてしまうと、おしゃれではあるが、私には合わないという固定観念のようなものが出来上がっています。今回、写真を見てみると、全くそんなことはなく、洗練されていながらも、やりすぎていない塩梅のようなものを、ブルネロクチネリが元々持っています。

    これは私の固定観念など及ばない、単に衣服というよりも、もっと広範囲な間口を持つライフスタイルの中の衣服といった深い哲学をブルネロクチネリが持っているということでもあります。

    ブルネロクチネリの衣服は元々、アンダーステートメントな要素を持っています。そのことで、ブルネロクチネリの服をどう合わせても、やりすぎたおしゃれ感にはならないという事でもあります。(流石に組み合わせによって合わないものはありますが、合わない確率は他のブランドに比べるとかなり少ないと思います)

    文中に触れた、2000年前後のバーニーズが提案した、尖っていながらこなれているミクスチャーのようなスタイルが私の服に対する考え方の基本に出来上がっていたのですが、20年以上を経て、世界のアパレルの考え方やレベルが当時より遥かに進化しており、当時感じることがなかった、単独のブランドが持つ世界観に普遍的で、タイムレスな要素が加わっているのかもしれません。(別記事のDiorでも同様な感覚を持っています)

    このことは、私の服飾に対する考え方が、前時代的で古いものになっているのかもしれないと考える、良いきっかけになっています。これは私が持つ、先入観や固定観念のようなものを大胆に捨てると変化するのではと感じていて、少しづつ実践しようと考えていることでもあります。


    Shop

    ブルネロクチネリのShop紹介はフィールドジャケットの記事にまとめています。

    [ ブルネロクチネリ フィールドジャケットの記事 ]

  • Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット

    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット

    我々世代ではムートンと呼び、最近ではシアリングと言われる、羊革の毛を刈り込みインナーとして使い、皮革面を表にした軽く柔らかく暖かいレザーアイテムになります。このシアリングを、Brunello Cucinelliのセンスで、ダブルフェイスのライダースジャケット風にまとめた物が、今回紹介するシアリングバイカージャケットになります。

    ダブルフェイスのライダージャケットというと、ショットやルイスレザーズ、BucoのJ-24などかなりハードなアイテムになり、最近では、エディスリマンがYSLで手がけたものなどモード的な要素もあります。バイカーやロック的なイメージから、非常にハードで男臭いアイテムなので、若いロックバンドなどの方が着ると様になりますが、歳を経て着るのはなかなか難しいアイテムになります。

    ロック的と言えば、ガンズアンドローゼズのスラッシュが、ダブルフェースのライダースをステージ衣装にしているので目にしたことがあるのではないでしょうか。スラッシュは還暦を超えていますが、ロックスターなので非常にカッコ良く着ています。(スラッシュはルイスレザーズやショットのものを愛用しているようです)

    ブルネロクチネリのシアリングバイカージャケットは、形はライダースジャケットですが、スーツの上や、ジャケット代わりに着れるようなコンセプトで作られていますので、牛革や、ホースハイドのハードなダブルフェースのライダースとは印象が異なり、歳を経た方が着ても、上品にさりげなく、男臭さというより男性的といった形で着ることが出来ます。シアリングの特性上、非常に軽く柔らかく着心地も良いので、ある程度年齢が高くても着こなしやすい優れたアイテムです。

    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    ディテールはダブルフェイスのライダースですが、シアリングで作っており、襟が起毛した羊の毛になっているので一般のライダースジャケットのような無骨なハードさはありません。ブルネロクチネリがエフェクト処理というエージング加工をしているので古着的で着込んだ風合いも見た目の柔らかさにつながりこなれた感じが出ています。
    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    内部のロゴを表面の皮革面で作成しています。内面の羊毛のカットやカールが非常に丁寧に処理されていますので着心地の良さにつながっています。

    はじめに

    A-2の記事で、ある程度の年齢になると、オリジナルのA-2を着こなすには少し工夫が必要、といった内容を書いていますが、今回紹介するブルネロクチネリのシアリングバイカージャケットは、品質の高さを含め、こなれた風合いからどのような方がどのような形で着ても形になる優れたアイテムです。

    商品単体で見ると、癖が強く着こなしが難しそうに見えますが、デニムやチノをはじめクリースの入ったパンツに合わせてもまとまりが良く、真冬でも軽く暖かく、インナーは薄手のニット一枚で十分なので、着膨れもせずスタイリッシュかつ上品にまとめてくれる冬場に重宝する優れたアウターです。


    オーダー会

    3年ほど前、ブルネロクチネリの銀座店に伺った際に、翌シーズンにリリースする、女性用のカシミアのポンチョが良いので、奥様にいかがですかとお誘いを受けます。このポンチョは、一般販売はなく、オーダー会のみの販売になるので是非とのお誘いに、オーダー会には行ったことがなかったので伺う約束をします。ブルネロクチネリのオーダー会は、年2回あり、私が行ったのはFW(秋冬もの)のオーダー会になります。

    お誘いは1月の終わりで、オーダー会は3月の半すぎに開催されます。場所は、番町のブルネロクチネリのヘッドオフィスのプレスルームになります。食事なども案内され、翌FWシーズンのアイテムが整然と展示されています。日程も調整されていて、私達夫婦を含め、3組のご夫妻が、ゆったりと展示されている服を見ています。ブルネロクチネリの特徴に年齢層が高く、同席されたご夫妻も私達より少し上の世代の方でした。

    家内の冬物がメインで伺ったオーダー会で、銀座店のスタッフさんと共に、家内の服を選んでくれたのが、メディアにも良く登場するMr.ブルネロクチネリと呼ばれる、引野氏です。家内は、そのシーズンの目玉の一つであったブルーが入ったミディアムグレーのカシミアピーコートに目が行きます。この時引野氏が、ピーコートと共に、同色のカシミアポンチョを家内に持ってきて進めてくれます。

    襟元が少し開くので、カシミアマフラーも一緒に持って来てくれたのですが、ここが引野氏の真骨頂で、ボリュームがある茶色のざっくりとしたアルパカのマフラーを持ってきて合わせてくれます。さりげないマローネアズーロの組み合わせで、ポンチョとざっくりと大きめなマフラーの質感の違いは絶妙な組み合わせで、リラックスしたスタイリングながら非常に上質で、家内もその組み合わせの妙に惹かれ、引野氏がセレクトしてくれた組み合わせに即決します。

    Mr.ブルネロクチネリのセレクト

    家内のお目当てのものが決まり、引野氏が、私のものも何かと色々物色してくれて、持て来てくれたのが、今回記事にしている、シアーリングバイカージャケットになります。ブルネロクチネリと言えば、カシミアが有名で、世界トップレベルのカシミアを贅沢に使ったアイテムを勧めるのではと考えていた私からすると意外なセレクトです。

    私の先入観の中に、ブルネロクチネリはカシミアというのがあり、カシミアのコートが良いかなと考えていて、ちょっと前まで展開していた、裏表カシミア使用しリバーシブルに仕立てたルダンゴト(バルマカンスタイルで非常に贅沢なコートです)をオーダーしようと考えていたのですが、このルダンゴトは辞めてしまったとの事でした。

    非常に優れたコートですが、コストがかかりすぎなのと、リバーシブルで裏地にキュプラなどを使用出来ない為、着る人によっては通常のコートと着心地が異なるなどが理由にあったようです。

    (ブルネロクチネリのルダンゴトの解釈は乗馬スタイルのコートを意味しておりジャケットのカヴァッロと同様の解釈)

    このカシミアのリバーシブルで仕立てたバルマカンコートが復刻したら是非欲しいと考えているアイテムです。

    私が意外と感じた引野氏のセレクトは、恐らくですが当日私は501XXとブルネロクチネリのフィールドジャケットを着ていたので、古着やアメカジが好きだと考え、趣向が近いライダースを選んだのではないかと感じます。

    実は、最初に、シアーリングバイカージャケットを見た印象はあまり良くなく、私自身がレザーアイテムを身につける機会はあまりないのでどうかなと考えます。引野氏に、今日の雰囲気にお似合いになるので一度袖を通してみてくださいと言われ、実際に着てみて鏡の前に立ってみます。鏡に映る姿はハンガーにかかった印象と異なる印象を受けます。

    パッと見た感じはハードな革ジャンのイメージですが、実際に着てみるとそのハードさが思ったほど前に出ず絶妙に見えます。エイジング処理が絶妙で、その日に履いていた501XXと相性がよく、50’Sのテディボーイ風の組み合わせながら、非常に大人っぽく上品で洗練されたレザーアイテムの着こなしに見えます。

    着心地も、通常のレザーアイテムと異なり、軽く、柔らかく、ムートン独特の羊毛の柔らかさが気持ちよく暖かいです。

    引野氏からも、軽くて暖かいので、冬場はデニムに合わせて着る機会も多いですし、お持ちのサーマルのTシャツや、ブルネロクチネリのカシミアニットとの組み合わせで、薄着で着膨れせずに楽しめるアイテムですとのお話を受けます。あとエフェクト処理で古着のような質感があるので、お持ちのヴィンテージジーンズは、何を組み合わせても自然にこなれて見えます。との説明を受けます。

    私が驚いたのは、ハンガーにかかっているとゆったりとした見栄えで、着ると着心地は良いが鏡でみると身丈も身幅も絶妙で身体のラインが締まって見える事です。これはブルネロクチネリがこだわるテーラーリングの技術がなせる技で、パターンだけでなく縫製や仕立てにも相当なこだわりがあるからこそ成り立っています。試着したサイズはSだったのですが、実際に着るならXSの方が私に合っているのでXSを進めてくれます。

    このようなやり取りを経て引野氏のセレクトの良さに感銘し、私は、シアリングバイカージャケットに決めます。

    実は引野氏との会話の中で、私のシアリングバイカージャケットやブルネロクチネリについての話は程々で、1時間近く引野氏と真剣に話をしたのは、私が古着を好きで、アメリカだけでなくヨーロッパの古着の話になり、引野氏が興味を持つM38の話になります。流石おしゃれの達人で古着についても造詣が深く、少し長くなった会話も楽しめました。

    Mr.ブルネロクチネリが選んだ意味

    引野氏のような、ブルネロクチネリに精通したおしゃれの達人が、何故ブルネロクチネリらしいカシミアのコートや、ジャケットではなくシアリングのライダースを選んだのかを考えると、前文の通り私の古着との組み合わせを重要視しての選択であった事がわかります。

    オーダー会の日に履いていた501XX(54年製造)を見た引野氏は、即座に50年代の501XXとわかります。(イエローステッチなどの特徴的なディテールで直ぐに判断出来たと考えられます。)、それとなく501XXの話になり、他に愛用しているLee101Zブラックタグ(50年代のもの)などの話になります。

    何気なく話をしていた内容をしっかり捉え、私の好みを踏まえ家内のポンチョを選んでいる間に、私の古着に最も相性が良さそうなものは何かを考えて選んだのが、シアリングラーダースジャケットだったのではないかと考えられます。

    購入時点ではシアリングライダースジャケットを進めてくれた理由についてあまり深く考えませんでしたが、今回501XXと合わせたスタイルの写真を見て、引野氏はこのスタイルを考えていたんだろうなと気がつきました。

    私のイメージと合わせてライダースを選択した意味は以下のようなイメージだったと考えられます。

    着用例 501XX

    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    この写真からブルネロクチネリという想像はあまり沸かないかもしれませんが、ブルネロクチネリ自体がアンダーステートメントなイメージを大事にしており、さりげないスタイルを提案することで評価されて来た側面があります。この組み合わせが面白いのは一見テディボーイ風の組み合わせながら、非常に洗練された大人っぽいスタイルになっています。
    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    後ろ姿も綺麗な形です。A-2もシルエットはまとまっていましたが、ブルネロクチネリが作るレザーアイテムは肩やウエストのラインの綺麗さが別次元であり、仕立ての技術が高いブルネロクチネリらしい後ろから見たシルエットになります。
    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    シャツではなく、カシミアニットをインナーに着てラフに前を開けて着ても雰囲気は抜群です。501XXの少し太いわたりとあまりテーパードしていないストレートシルエットはブルネロクチネリの定番であるテーパードラインと異なりますが、組み合わせてみると意外なほど相性は良いです。

    シアリングライダースジャケットの着こなし

    私が古着が好きで、ここ数年はブルージーンズ以外ほとんど履いていなかったのですが、今年は他のボトムアイテムを積極的に履くようにしています。その中でスタンダードなストレートジーンズよりスリムなボトムのシルエットがあります。前回記事のDiorピーコートで紹介した、Diorを代表する黒のスリムフィットデニムとVisvimの5ポケットのストレートパンツを合わせてみます。

    スリムフィットのブラックデニム

    ライダースに黒のスリムデニムのスタイルもロック的で、イメージは、モーターヘッドのフロントマンである、レミーキルミスターのようなイメージがあります。腰に極太のガンベルトを巻くとまさにそのスタイルになります。レミーのライダースはスタッズが打ってあり背中にバンドのロゴがペイントされたりしており厳密には異なりますが、ライダースに黒スリムはレミーのイメージです。

    黒のスリムを合わせると、バイカージャケットの雰囲気が前に出てきて、ヨーロッパのバイカーのイメージを感じます。映画などだと、ヒッピー崩れの歳をとったバイク屋の親父がしていそうな格好でもあります。レミーやヒッピー崩れのバイク屋の親父のイメージだと直毛の腰まで伸びたロン毛ですが、流石に私がこの歳でロン毛は無理でありそもそも似合いませんのでそのまま着ています。

    着用例 スリムフィットのブラックデニム

    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    Diorピーコートと合わせたイメージと異なり一般的なスリムのブラックデニムに見えます。ボトムが黒になることで、ブルージーンズに比べてもう一段重心が低くなり締まったスタイリングになります。ブルネロクチネリの服全般に言えますが、ブルネロクチネリ以外のアイテムと合わせても自然にまとまる寛容さを持っています。寛容さというより上質さや上品さを加味するという表現の方が適切であるかもしれません。
    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット

    レザーアイテムを大人っぽく洗練されたイメージで着たい時は、ストールやマフラーなどを首に巻くと効果的です。ボトムがブラックデニムになるだけで雰囲気が一気に変わります。

    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    ストールはバイカージャケットに入れても出しても雰囲気が出ます。ワイルドな雰囲気を出したいならストールなどはせず、上品な形にまとめたいならストールをすると良いです。

    着用例 Visvim 5ポケットストレート

    これまで、しばらくしていなかった、ベージュ系のパンツと冬物アウターを合わせるきっかけとなった、Visvimの5ポケットストレートパンツと合わせて見ます。私の中でベージュ系や白パンから想像するイメージは三島由紀夫氏のイメージがあります。私自身三島由紀夫氏についてあまり詳しくはないのですが、子供時代に見た三島由紀夫の映像で、白パンに焦茶のポロシャツを着ているイメージがあります。

    余談ですが、2000年代初頭、ドルチェアンドガッバーナの春夏シーズンの服をバーニーズで見た時、まさに三島由紀夫のイメージが湧きました。これは、タイトでローライズなベージュのパンツに、身体にフィットする焦茶のポロシャツの組み合わせが、肉体的であり映像として残っている1960年代終わりの三島由紀夫をイメージするものでした。

    厳密には三島由紀夫のファッションについて私自身の知識が追いついていないので、そのようなイメージをする方は少ないかもしれません。肝心の三島由紀夫の本は若い時、潮騒を読んだ覚えがあるのですが内容をほとんど覚えておらず思い返すと記憶の中で太宰治の斜陽が潮騒と被ってしまう体たらくです。機会があれば再度読み返したいと考えています。

    三島由紀夫のイメージはどちらかと言えば全共闘との討論のイメージが強く非常に本質的で理念を信じ精神的にタフな人であったという三島由紀夫像が私の中で勝手に出来上がっています。

    私が、白やベージュのパンツを履いても三島由紀夫のイメージは全くありませんが、過去に目にした戦後の日本人で、ファッションの中に肉体を前面に出したイメージが強いのは、三島由紀夫であり、その三島由紀夫の写真で残ったものが、白パンとポロシャツといういで立ちであったのが、ベージュ系や白系のパンツを見ると三島由紀夫を連想する理由です。


    着用例 Visvim 5ポケットストレート

    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット

    白系のボトムに焦茶色という組み合わせが最近好きで良く身につけています。Visvimの細身で綺麗なシルエットのストレートパンツと合わせると洗練された大人の雰囲気が出ます。

    前のジップを開けてストールをラフに巻いても洗練された印象。

    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット

    フロントジップを閉めてVゾーンにストールを見せると、暖かさだけでなく洗練されたスタイルになります。

    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    キャスケットでなくニット帽に変えると、顔が小さく見え、バイカージャケットが持つシルエットの綺麗さがよりわかります。
    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    前を開けて動いてみると、着心地の良さから来る動きやすさと崩れないシルエットの綺麗さがよりわかります。
    Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    ボトムがベージュになると、501やブラックデニムとは異なる品のようなものが出てきます。

    ディテール

    • ムートン
    • 斜めに配したダブルカーソルジップで開閉
    • ラぺルカラー
    • 上部にジップポケット
    • 下部にジップ式ポケット
    • フラップ付きチケットポケット
    • 袖口のジップで開閉
    • シアーリング製ライニング
    • イタリア製

    組み合わせ

    • バイカージャケット : Brunello Cucinelli シアリング バイカージャケット
    • ニット(グレー) : Brunello Cucinelli スエット風カシミヤニット
    • カシミアストール : Brunello Cucinelli
    • ウエスタンシャツ : Brunello Cucinelli
    • Denim : Levi’501XX 1954製
    • Denim : Dior スリムフィットデニム
    • 5ポケットコットンパンツ : Visvim
    • キャスケット : リアルマッコイズ
    • ニット帽子(グレー) : LEUCHTFEUE
    • 時計 : Rolex Day Date (1803 1969)
    • サングラス : Tom Ford
    • ベルト : Hender Scheme
    • 靴 マウンテンブーツ : Brunello Cucinelli

    おわりに

    家内の冬物を選ぶために訪れたオーダー会で、勧められて購入したシアリングバイカージャケットです。元々、レザーアイテムの使用頻度はそれほど高くないので、私一人でものを選んでいたら選んでいなかったであろうアイテムです。

    服の面白さに、ハンガーにかかった状態では興味を惹かないものが、実際に身に着けてみると予想外に良かったというケースは多々あります。今回のシアリングバイカージャケットは正にそのパターンです。

    コンセプトが非常に面白いレザーアイテムで、クリースの効いたトラウザーズにブレザー代わりに羽織るような着方を想定した作りで、レザーアイテムながら、テーラードジャケット的な作り込みがなされています。

    本来は私のようにブルネロクチネリ以外のボトムと合わせるより、ブルネロクチネリが展開するボトムと合わせて着る方がブルネロクチネリの世界観を堪能出来ます。

    前回のDiorのピーコートで触れましたが、ブルネロクチネリのアイテムは、他のブランドや、全くコンセプトの異なるアイテム(古着やより現代的なアイテムなど)との組み合わせを容認する寛容さのようなものがあり、コンセプトの異なるアイテムに上質さや品格を足してくれます。(あくまでベーシックなアイテムが前提ですが)

    シアリングバイカージャケットは非常に素晴らしいアイテムながら、購入後数回しか袖を通す機会がなかったのですが、今回撮影を行い、従来の着方であるヴィンテージデニムとの組み合わせ以外の様々な組み合わせの面白さを試す事ができました。ヴィンテージデニムよりスリムなシルエットを持つボトムとの相性が良かったので今後このスタイルも積極的にしていこうと考えています。

    このように、購入から数年を経て自身の中にある価値基準が上がる服って世の中にそうはありません。このような価値観を提供しているのがブルネロクチネリの真骨頂であります。

    オーダー会も非常に素晴らしい体験で、ブルネロクチネリを熟知したMr.ブルネロクチネリこと引野氏が我々夫婦に最高のアイテムを選んでくれた事に感謝しております。

    氏の着る人を見てからお勧めするアイテムのセレクトに関する感性は、着る人に対する鋭い観察力とヒアリング力による外側と内側を熟考した非常に高いプロフェッショナル意識がなせる技でもあります。

    他のスタッフの方も引野氏同様に高い感性と高いプロフェッショナル意識を持っており、そのことから私も家内もブルネロクチネリで購入したアイテムには間違いがないという絶対的な信頼を持っています。

    これは私だけでなく他のブルネロクチネリを愛するお客様も同様の感覚をお持ちなのではないかと考えています。

    今回紹介したシアリングバイカージャケットは少しクセの強いアイテムで、人によっては合わない方もいるかもしれませんが、ブルネロクチネリが展開するシアリングには、フライトジャケットをモチーフにしたものなども用意され、カラーも黒だけでなくナチュラルなカラーのものも用意されています。

    今回のバイカージャケットより、癖がなく他のアイテムとの組み合わせのしやすいものも展開されていますので、一度袖を通してみてはいかがでしょうか。シアリングは柔らかい質感と軽さ、暖かさを備えた優れたアウターであり、ブルネロクチネリが持つ組み合わせに対する寛容さにより様々なスタイルに上質さや品格を自然に与えてくれます。


    Shop

    私のブルネロクチネリの商品は、Brunello Cucinelli銀座店で購入しています。
    フィールドジャケットの記事でも述べていますが、商品やお店だけでなくそこに関わる人も含めて最高のお店ですので、一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

    お店については、フィールドジャケットの記事で詳しく説明していますのでそちらを参照ください。

    [ ブルネロクチネリ フィールドジャケットの記事 ]

    ブルネロクチネリ公式Webサイト

  • Berluti Galet Cursive Slippers : 長く愛されるもの

    Berluti Galet Cursive Slippers : 長く愛されるもの

    懇意にしている後輩と友人に大事な祝い事があり、後輩と友人が大好きなベルルッティの靴をプレゼントしました。

    過去に私のベルルッティを譲った後輩ですが、譲ったベルルッティの2足を本当に大事に愛用してくれています。譲る際に顧客登録の変更に関わるベルルッティの対応も素晴らしく感銘を受け記事にしています。このベルルッティの対応に対する感銘がこのブログメディアを始めるきっかけにもなっています。

    [ ベルルッティ アレッサンドロの記事 ]

    今回、後輩と友人へのプレゼントの対応も非常に素晴らしかったので記事にしています。

    Berluti Galet Cursive Slippers
    今回後輩にプレゼントしたGalet Cursive Slippers。ベルルッティらしい遊びの効いたデザインで一見派手に見えますが実際に履くと派手さより洗練さが際立つのは流石パリの名門です。グラデーションを持たせたパティーヌの美しさはベルルッティにしか成し得ない唯一無二の世界観を持っており、靴でありながらヨーロッパの重厚なアンティーク家具のような印象を受けます。皮のカバーに文字が書かれた古い辞書や大航海時代の革で作られた地図のような印象もあります。
    Berluti Galet Cursive Slippers
    一枚皮で贅沢に仕立てたスリッポン(ローファー)ですがそこにカリグラフィのスクリットを入れる遊び感覚が非常に洗練されています。この遊び感覚を上品で洗練したものにする世界観は、世界中の超一流と言われる靴の中でも、美しいパティーヌを含めたベルルッティにしか出来ない美意識です。

    はじめに

    20年くらい前に、ベルルティを愛用していましたが、スーツを日常的に着なくなりドレスシューズを履く機会が減り、今の私のカジュアルな格好には少し華やかであるベルルッティの靴を身につける機会が減ってしまい後輩に譲りました。その後輩はベルルッティの靴を相当気に入り、私より履く機会も多くこまめに手入れを欠かさず愛用しています。同行した友人はアンディを愛用しており、少しグリーンを交えた薄いタバコカラーのパティーヌで仕上げており、少しおしゃれをする際には必ず履いています。

    その友人と後輩にお祝い事があったので、何かプレゼントを渡したいと考え、2人が愛するベルルッティの靴を思い切ってプレゼントしました。

    前回の記事で触れていますが、良い革靴は一生物であり非常に長く使用することが出来ます。ただ、製造者が後のメンテナンス体制を持っていないと、この長い時間愛用できる靴も本来の形で愛用できなくなってしまいます。

    日本の靴職人さんは優秀なので修理やメンテナンスに対応してくれますが、やはり材料や工程に関わる技術は製造者と同様に行うのは難しいです。またベルルッティはパティーヌという独特の塗りをしており、これを同様に行うのは日本の優れた靴職人さんでも非常に難しいと思います。(材料や塗料の入手や塗りの技術など含めて)

    ベルルッティは20年前に購入した顧客名簿をしっかり残し、20年後に後輩に譲るので顧客名簿の変更という要望に応え、引き続きメンテナンスを行える体制を整えてくれています。

    購入価格は高価ですが、見た目だけではなく造りまで含め独創的で芸術的であり、ドレスでもカジュアルでも様々なファッションを最高に引き立てる靴として挙げるとしたらベルルッティは世界最高の美しさを持っており、非常に贅沢な素材を使い作りの良さから足にも馴染み、履くほどに愛着が増す素晴らしい靴で、この素晴らしさを長きにわたり楽しめると考えれば決して高くはないものです。

    このような体験を与えてくれる会社はファッションに限らず現代社会においては稀で、その稀な顧客を本当に大事に扱う素晴らしいブランドであります。


    AMEXのラグジュアリーショッピング

    私は25年来AMEXのファンで、プライベートから仕事まで4種類のAMEXのカードを使用しています。プラチナ以上のカードにラグジュアリーショッピングというサービスがあり、プライベートスペースを用意し他のお客さんを気にせず専任スタッフが買い物に対応してくれるサービスになっています。

    ベルルッティはこのラグジュアリーサービスに対応しているので、今回初めて利用してみました。プレゼントするものが靴であり対面でものを選びサイズ合わせもする必要がありますので、靴を選ぶところから祝い事があった友人と後輩をもてなせればと考えてお願いしています。

    AMEXの専任スタッフの対応も非常に親切でこちらの希望を伝え、AMEXからベルルッティに予約を入れてくれます。予約時間とベルルッティの対応してくれるスタッフの名前を伝えられ、念の為、詳細がメールにて送られて来ますので、当日店舗の受付で担当名を伝えると専用スペースに案内されます。

    ベルルッティも今回の予約に対して、何があっても対応できる体制を敷いてくれるので、担当は物腰の柔らかい外国人のお客さんにも対応出来る語学が堪能なスタッフとベルルッティを熟知したマネージャーが対応してくれます。

    定番のアンディかガレカーシブを選択

    お店に入り、ラグジュアリーショッピングで使用する別室が、展示会の準備で使用中とのことで、お店の一番奥のスペースにソファーとテーブルが用意されています。

    ソファーに案内され、飲み物のリクエストを聞かれ、リクエストした飲み物が用意され、購入に対する希望を選任スタッフがヒアリングし、該当するアイテムを持って来てくれます。

    後輩は持っていなかったブラックのアンディか、ブラックまたはタバコカラーのガレカーシブを候補にしています。ベルルッティのアンディはベルルッティだけでなく紳士靴のアイコンであり、後輩と良く話題になりますが世界で一番美しいローファーはアンディであると後輩も私も共通しています。

    ただ、かなりの洒落者である後輩は、ベルルッティのカリグラフィにも興味があり、彼のセンスの良さに、カリグラフィは写真で見ているほど派手ではなく、実際に履くと自然に馴染むというデザインの本質を見抜いています。

    形と世界観の好みはアンディだけど、一枚革で贅沢に作られ綺麗なカーブをパティーヌのグラデーションで仕上げ、そこにカリグラフィを絶妙に入れたタバコカラーのガレカーシブが本命になります。

    後輩は、ブラックのアンディ、ブラックとタバコのガレカーシブの3種類をそれぞれ3つのサイズで用意して履き比べます。(9足)通常このような選び方はお店も嫌がるのですが、ベルルッティは逆に、本当に好みのもので足にしっかり合うものをじっくり選んでいただきたいと、何度も履き替え感想を聞きながらベストな一足を選ぶアシストをしてくれます。

    アンディ デムジュール ネオ フレックス ローファー

    アンディを愛用する友人は、普段履きでロロピアーナのホワイトソールのローファーを色違いで複数入れ替えて使用しています。相当気に入っており、すでに2足はソール交換をして愛用しています。

    同行した後輩ほどファッションへのこだわりはありませんが、とにかく履きやすい靴が前提であり紐履ではなくスリッポンが条件です。最近ベルルッティでも展開しているラバーソールのローファーを最初に考えています。

    その時、マネージャーから、そのような要望であればアンディ デムジュール ネオ フレックス ローファーはいかがですかと提案されます。ネオ フレックス ローファーは革底でソール交換可能であり、スエードで非常に柔らかくアンディのフォルムを作っているので一度履いてみましょうとなります。

    この友人の顧客名簿に購入したアンディのサイズが記載されています。かなりの高身長で足のサイズも大きいため、銀座店に在庫がありません。マネージャーさんが他店舗の在庫を確認してくれます。

    在庫を確認すると日本橋店に在庫があることがわかります。この時驚いたのが、マネージャーさんが、3,40分お待ちいただければ日本橋店に当方のスタッフが取りに行ってきますと言ってくれます。時間はあるので、申し訳ないと考えながらお願いします。

    様々なお店で様々なものを購入していますが、当日その場で他店まで取りに行くまでの対応は聞いた事がありません。このような対応までしてくれるのはベルルッティならではの対応です。我々がリピーターであり購入前提で来店しているとは言え流石に驚きまた対応の素晴らしさに感銘しました。

    後輩の靴が決まり、友人の靴が届くのを待っている間、スタッフの方がアパレルコレクションもよかったら見てくださいと案内され色々と見させていただきました。ベルルッティの革製品は、靴から始まったブランドなので、他のブランドでは出来ないレベルの革製品をいくつもリリースしています。

    私はグリーンのB3をモチーフにしたシアーリングジャケットを見せていただき試着させていただきましたが、非常に優れたクォリティで食指が動きます。後輩はレザーのフードブルゾンに食指が動き試着して驚いたのが、ナイロンのような薄さと軽さに、UV加工をし防水性もあるというレザーを開発し、非常に洗練された形で展開しています。

    高価なものなので購入には至りませんが、非常にハイクォリティで洗練されたアパレルラインは、いつか購入し身につけてみたいと感じるものばかりです。

    アパレルラインを見せていただいていたら、友人のアンディ デムジュール ネオ フレックス ローファーが届きます。友人が早速試着しますが、持っているアンディと同サイズなので全く問題なく、通常のアンディに比べ柔らかいスエードで作られ革底も柔らかくしなやかで、試着の段階で、新品の靴独特の硬さを全く感じないので、大満足しており友人はアンディ デムジュール ネオ フレックス ローファーに決めます。

    洗練されたおもてなし

    後輩も友人も、プレゼントする靴が決まりましたので、決済を済ませて、プレゼントを2人に渡します。その際に年末用のノベルティとベルルッティの歴史がまとめられた本をつけていただきました。

    メンテナンスの説明などをいただき、対応くださったスタッフとマネージャーさんが最後にお礼の挨拶をしてくれてお店を出ます。正味2時間弱のショッピングですが、目利きがありこだわりが強いので時間を要する後輩の靴選びから、サイズが特殊である友人の為に他店まで商品を取りに行ってくれる対応など、お客の希望を叶えるためにお店として全力で対応する姿勢には非常に感銘を受けます。

    来店するたびにマネージャーさんには私もベルルッティを是非履いてくれと提案されます。作りの良さを含め見た目だけではない芸術品のように美しいベルルティの靴はいつも頭の片隅にありますが、今の私のスタイルでは靴が少し前に出てしまうのではと考え封印している旨を伝えます。しかしながらこのような対応をしていただけるブランドなので来店するたびに心が動きます。


    着用例

    今回は私が身につけるものではないので、着用例はありません。友人は購入翌日から履き始めてしまったので写真を撮れませんでしたが、後輩は、折角なので記録を残したいと言ってくれたので、私が一時預かり、写真を撮影し後輩に渡しました。

    当記事に掲載した写真は後輩にプレゼントした、ガレ カーシブ スリッパのみになります。友人にプレゼントしたアンディ デムジュール ネオ フレックス ローファーのフォルムも非常に美しいので、機会があれば一度写真を撮影し記事に載せたいと考えています。

    Berluti Galet Cursive Slippers
    カリグラフィーのスクリットは左右非対称になっており、スクリットは右側がメインで左外はトウの一部になるので、左脚の外側から見ると、プレーンな一枚革で仕立てたスリッポンに見えます。ただ、濃淡のグラデーションを効かせた非常に綺麗なパティーヌだけでも芸術的な美しさです。

    ガレ カーシブ スリッパ

    • ヴェネチアカーフレザー
    • 色 : Tobacco Bis
    • 構造 : Blake
    • 原産国 : イタリア製
    • コレクション : 定番コレクション
    • シューツリー : 付属する
    • ライン : Galet

    アンディ デムジュール ネオ フレックス ローファー

    • ローファー
    • ブレイク構造
    • デムジュール ネオ ラスト
    • カモッショ カーフレザー
    • バックにヴェネチア カーフレザーのディテール
    • バックのクッションにより、快適性を実現
    • レザーのライニングとインソール
    • しなやかなアウトソール構造

    おわりに

    今回、後輩と友人のお祝いにベルルッティの靴をプレゼントしました。ベルルッティの顧客対応の素晴らしさは過去の記事に掲載していますが、今回の対応でも再確認し、さらに感銘を受ける対応を受け老舗ならではの凄さを実感しています。

    以下のメンテナンスに対するメッセージが公式Webサイトに掲載されています。

    靴職人であり靴の修理職人でもあったアレッサンドロ・ベルルッティが創業したメゾン ベルルッティは、循環性を重視しています。メゾンにとって、お客様の意に沿って商品が長く愛されるよう、お手入れや修理をすることほど普通なことはありません。 シューズからレザーグッズ、プレタポルテまで、メゾンのアトリエは製品を美しい状態で可能な限り長く身に着けていただけるよう、各種サービスを取り揃えています。

    言うは易し行うは難しの言葉がありますが、創業者が挙げた理念をコツコツと長年積み上げ、今の信頼や評価を築き上げ、日本にいながら創業者の理念を顧客が実感できるサービスを提供し続ける、ベルルッティというブランドに私も今回プレゼントした2人も深い敬意を持っています。


    Shop

    今回ご対応いただいたベルルッティのお店は、ベルルッティ銀座店になります。

    格式が高く、なかなか中を軽く覗くというのはし難い雰囲気ですが、中に入り、商品を見るとベルルッティが長年をかけて独自に築き上げた芸術的とも言える靴をベースに、革製の小物やバッグ、アパレルが展開されています。

    記事にも書いていますが、顧客に対する対応の素晴らしさも世界トップレベルであり、購入体験から後の手入れまで最高の体験が出来ます。革靴という非常に長い寿命の商品を扱って来た為、本当に良いものを長く愛用することが当たり前のブランドであり、ヨーロッパに深くから根付く、古く歴史のあるものこそ最高の価値という文化的側面も理解出来ると思います。

    歴史に対する重厚感とは異なって見える非常に美しい靴を展開していますが、この美しい靴にこそ長年地道に良い靴を作り続け顧客に愛用されてきた歴史が宿っています。

    新品の美しさが尋常ではない靴なので長年その輝きを維持しながらの愛用は難しく感じますが、色味が経年で変化し、その色に愛着があれば経年変化を楽しみ、変化や劣化が気になるのであれば、塗り替えによるリフレッシュも可能なので、長く愛用できる優れた靴でもありそれを可能とするブランド理念の実践がなされています。

    私の記事は靴のみですが、革小物やバッグ、アパレルも同様に素晴らしく長年愛用できるものが取り揃えられています。本当に良いものを長年愛用したいという方にぜひ選んでいただきたいブランドです。

    ベルルッティ公式Webサイト

  • Dior カシミアピーコート

    Dior カシミアピーコート

    デニムシャツの記事で触れましたが、後輩から言われた”還暦でDiorの服をさらりと着ていたら素敵だよね”の一言に乗せられて、今年はDiorのアイテムを何点か購入しました。メインのアイテムが今回紹介するカシミアピーコートになります。

    ピーコートやダッフルコートは好きなアイテムですが、今の自分に合うものを探すとなるとなかなか良いものが見つかりません。今回紹介するDiorのカシミアピーコートは、一般的なメルトン生地のピーコートに比べ、素材がカシミアのメルトンで作られており、生地もしっかりしながら、厚すぎないので非常に軽く暖かく、本格的な冬に大活躍するアイテムになります。

    Dior カシミアピーコート
    ちょっと見た感じは、少し細めのピーコートにしか見えません。様々な組み合わせをしていくとこのピーコートのデザインや細部の作りのこだわりが見えてきます。
    Dior カシミアピーコート
    左胸の内ポケットのところにタグがついています。他のアイテムと異なり外部にDiorロゴがないので、目の肥えたファッション関係者とか以外は着ていてもDiorのものとはわからないと思います。

    はじめに

    ピーコートは男性ファッションの一つのアイコンであり、非常に着やすく、あまり難しいことは考えずに着てもまとまりやすいアイテムです。今回紹介するDiorのカシミアピーコートですが、実際に着てみるといくつかの特徴があり、洗練された着こなしをしようとすると、少し難易度が高くなるアイテムであります。ただ、ポイントを抑えると、非常に洗練された着こなしが出来る優れたピーコートであるので、その辺りの話題を含めて紹介したいと考えています。


    Diorの世界感

    Diorを着こなすという意味に、世間一般でイメージする高級ブランドの服を着るというより、細身で非常にストイックな服ですので、Diorを着るためのスリムな身体を持ち、無駄を排したミニマルな世界観を自身の感性と合わせていく必要があります。

    デニムシャツの記事で書いたのですが、シャネルやフェンディを率いた、モードの帝王であるカールラガーフェルドが、40キロもの減量を行い、身につけた逸話があるように、還暦に近い歳ともなると、崩れた体系をまずはなんとかする必要があります。

    私自身は、体型的に着ることが出来ないという第一関門はクリアしていますので、後は、着こなすという意味のセンスも磨いていく必要があります。このセンスというのも、センスが良い悪いというより、私が従来好きなものと異なるものを許容出来るか?という事でもあります。

    私以外の方でも、ピーコートもスリムながら着れないということはほとんどないと思いますし、かなり細めに見えるスリムフィットのブラックデニムも、見た目の印象ほど細くはなく、私は通常ジーンズのウエストが30inchで、Diorのブラックデニムも30inchを履いています。

    普段履き慣れた、リーバイスやLeeのストレートのデニムに比べたら細身ではありますが、ウエストは少しあまり気味で、腿周りも問題なく、ふくらはぎのあたりが細く感じるくらいで、細くて履きにくいとは感じません。

    このデニムの細く見える割に、実際に履くと細さが気にならない理由に、股上の深さがあります。この辺りの工夫もトップメゾンらしいこだわりであります。

    Diorのデニムシャツで述べた、Diorの服が持つ細身のシルエットが、繊細でナイーブな少年的な要素を持っており、これが永遠の若さを表現し、カールラガーフェルドの感性に触れたといった話をしています。(あくまで私見です)

    私自身が、永遠の若さを欲しいと考えた事はありませんでしたが、Diorのピーコートと一緒に購入したスリムフィットのブラックデニムを身につけた写真を見てみると、素の自分より若々しく感じられるイメージがあります。

    少年ぽさやナイーブさは、流石に私の写真では感じとる事は出来ませんでしたが、シルエットだけを考えるとDiorのイメージで思い描く繊細なイメージは感じ取れます。

    スリムでタイト?

    今回私が購入したピーコートとスリムフィットのデニムは、エディスリマン時代に構築された世界観を継承しています。そのためかなり細めに出来ているため、人によっては着る事が難しかったり、似合わないという事もあると思います。

    私自身も、同世代の平均から考えると、細めの体型ながら、肩周りや胸周りは平均的な体型より少しありますので、Diorが提案する繊細でナイーブな印象がある体型かといえばNoであります。

    Diorのイメージに、スリムでタイトなシルエットで、窮屈な服を我慢して着るような印象があります。実際に着用するとフィット感はタイトながら、動きにくさや、細くて無理して着ている感覚はありません。

    記事後半の着用例を見ていただくとわかると思いますが、相当スリムなイメージのあるスリムフィットのブラックデニムも、シルエットに適度の皺が出ている事が確認できると思います。(計算された絶妙なしわの出方が足をスッキリ見せています)

    実際のDiorのピーコートの着こなし

    これまでの私のスタイルにはない、黒のピーコート、黒の細身のデニムといった、色やスタイリングにモード感が強いスタイルなので、身につけるとなると少し抵抗感があります。

    Dior銀座店で試着をした際、鏡を見ると、黒の細身のデニムが少し細すぎるかなと感じましたが、古着になれた眼が、スタイルに対して、ある種のバイアスを産んでいるのではと考えて、冷静に見てみる為に、スタッフの方と友人に意見を聞くと、その時履いていたLee101Zとピーコートの組み合わせよりスタイルが良く見えるとの意見でした。

    私的には、この細さは少し恥ずかしいかな?とその時は感じましたが、2人の意見を尊重しこのスタイルをしてみることにします。

    今年は、例年より気温が下がるのが遅く、なかなか冬物を身につけることがなく、12月に入りやっと着るようになります。一度後輩と表参道で会う機会があり、その後輩に、当日着ていた、黒のピーコートと黒のスリムフィットデニムの組み合わせの感想を聞いてみます。この後輩は、高身長で細マッチョな体型を活かし、TomFordを着こなし、男性的なカッコ良さをさりげなく品良くまとめる抜群のセンスを持っています。

    後輩曰く、先輩の古着愛のようなものは十分理解しているけど、正直このスタイルの方が、上品で洗練されていて先輩には似合うと思うとの意見をもらいます。今日の先輩のスタイルは先輩の身体に合っているし、先輩から自然に出ている内面的なオーラのようなものが服に負けておらず、難易度が高いDiorのストイックなスタイルもこなれて見えるとの事でした。

    これは私の感想ですが、後輩の意見から出た話の理由に、表参道から青山界隈は、ファッション関係の方も多く、お洒落な方が多い土地柄です。Diorのモード感のある上下は、街並みにも合っているような気がしますので環境の中から出た意見とも取れます。

    土地を考えると、原宿方面は古着をおしゃれに着る方が多く、そのような土地では古着もありかなと考えます。例えば場所を銀座に移すと、私の持っている服の中でブ、ルネロクチネリの服が合っているような気もします。これは服が持つ社会性のようなものを身近に感じているとも言えます。

    Diorの持つモード感は、私の好き嫌いを超越した世界観を持っており、私自身が少し恥ずかしいかなと感じる着こなしが、みる人が見ると非常に洗練されて見えているという事でもあります。このような私ではなく第三者の意見と、私自身の感覚の相違のような感覚を受け入れていく事も、自信のセンスを磨く要素でもあります。

    感性や好みを超越した完成された世界観を実感

    私が古着やアメカジを好む理由に、おしゃれに気を取らすぎていない服の着方のようなものがあり(自然体とも言えます)、ある程度ものが揃うと何も考えず、目の前のものを手に取り着るだけでスタイルが出来上がってしまう事があります。

    このスタイルは、若い時から変わらず、非常に理にかない効率的でもある服の着方とも言えます。この考え方の基本は、古着やアメカジ的なアイテムだけでなく、ブルネロクチネリや、その他所有しているトップメゾンの服を着る時でも変わりません。

    このような考え方で服と接しているので、特定のブランドのものを、全身身につけるということは、ほとんどしたことがありません。セットアップ的な組み合わせはありますが、何か必ず別のアイテムが混じっています。

    その組み合わせに、特にこだわりが強いものや、好きなものを自然に必ず交えていくような服の着方が基本にあります。(高校生のお気に入りの一張羅のようなものですね)これが古着であったりしています。

    ブルネロクチネリは、ブルネロクチネリを着るという意識を持たずに着ています。今回Diorを着て感じた事は、Diorを着るという意識がどこかにあり、その意識を私が敬遠していたのかもしれません。これは慣れの問題で、時間が経つとなくなるのかもしれませんがこの感覚も初めて感じた感覚です。

    今回の、Diorのピーコートとスリムフィットデニムの組み合わせで感じた事は、基本あまり着方を考えないで服を選ぶという着方や、イメージで服を敬遠してしまうという感覚を超越した独自の世界観を持った服であるという事でした。

    これは、従来の私の感性で感じる、Diorの服が持つ世界観は、おしゃれであるが、私が身につけるものではないと考えていた私の先入観を超えているものであり、ある意味、Diorが構築した世界観に、私自信が飛び込むことで成り立つ世界かなと感じたのが、今回Diorの服を着てみて感じた感想になります。

    記事用に自身が着用した写真を撮って見てみると、後輩が言っていた意味がなんとなく理解できます。Diorが過去から継承し現在でも残っている男性ファッションの世界観は、こういう事だったと感じた出来事でした。

    当記事で紹介した、エディスリマンが構築した世界観は、現在のDiorでも継承されていますが、現在のDiorはその他の要素も持っており、独自の世界観を表現しています。カジュアルに見えても、独自の世界観を構築しているのは、流石にパリを代表するトップメゾンです。スリムでミニマルな服が好みでなくても、Diorの世界観は楽しめますので、興味があったら是非身につけてみることをお勧めします。

    以下に着用例の写真をいくつか紹介します。私がモデルさんのような優れたルックスではないので参考にならないですが、雰囲気は掴めるのではないでしょうか。


    着用例

    Dior カシミアピーコート
    私自身のスタイルが良いわけではありませんが、Diorのデニムとピーコートを合わせるだけでなんとなくミニマルでストイックなDiorの世界観が出ています。色も黒がベースにインナーとニット帽が中間グレーの無彩色の組み合わせになります。インナーのニットはブルネロクチネリのスエット風のカシミアニットを合わせています。本来はもう少し身長が高くスリムな方が着るとDiorが持つ良さが増すと思います。この組み合わせは非常にモード的で最近の私が全くしなくなったスタイルです。昔から黒を基準にした組み合わせはカッコ良いなと考えますが、自分にはあまり合わないのではないかと考え敬遠してきていますが、今回着てみたことで黒の持つ魅力を理解出来たような気がします。
    Dior カシミアピーコート
    私がイメージするDiorのシルエットが細長い長方形のシルエットです。ピーコートは直線的なカッティングで仕立てた細身のA体ですが、一般的に言われるA体ではなく脇からウエストあたりが少し立体的なXに見えるよう仕立てられています。他にも様々な工夫と技が散りばめられておりこの辺りの作りのこだわりがトップメゾンのクォリティでもあり、他のブランドが真似のできない世界観を作っています。エディスリマンが作り出した細身でミニマルなデザインは今のDiorにも受け継がれていて、どこか華奢でナイーブに見えるデザインは健在です。
    Dior カシミアピーコート
    ピーコートを着てボタンを閉めていると細身で繊細なイメージがありますが、ピーコートを脱ぐと体型が普通に見えます。ピーコートの作りと仕上げが視覚的にスタイルをまとめてしまうことが良くわかります。
    Dior カシミアピーコート
    ボトムだけ変えていますが細身のストレートのコットンパンツと合わせてもまとまりが良いです。このスタイルはあまり主張が強くないので非常に着やすいスタイルになります。50年代のLee101Zも合わせてみたのですが、ボトムが太く感じ合わない事はないのですが、細身のパンツのようなシルエットは作れませんでした。前回のブルネロクチネリとの違いは、ブルネロクチネリは他のアイテムとの組み合わせを容認する寛容さを持っていますが、DiorはDior的なミニマルなアイテム以外は受け付けない孤高なこだわりを持っています。これがブルネロクチネリやDiorなど世界的なトップメゾンの考え方の違いとも言え、この違いを選択するのは個々の好みや必要とする世界観を良く理解する必要があるとも言えます。このことでその人に合ったスタイルが出来上がっていきます。
    Dior カシミアピーコート

    Diorのピーコートの凄さに合わせるパンツによってシルエットが異なって見える事があります。この組み合わせは上記のDiorのブラックデニムで合わせたスタイルのミニマルさに比べ、上半身のシルエットが普通に見えます。

    Dior カシミアピーコート

    Diorの凄さにピーコートを着ると細くというか少し華奢に見えるのですが、ピーコートを脱ぐと普通の体型に見えます。

    Dior カシミアピーコート

    もう少し、Diorが提案する世界観から外していきます。ボトムのベージュのコットンパンツにトムフォードの薄いグリーンのカシミアニットを合わせてストールを巻いて、靴はジョンロブのバロスを合わせています。このようなスタイルにするとDiorの世界観から一般的な上品さにイメージが変わります。ミニマルなだけでなく組み合わせにより上品に見えるのは、作りの良さとモード的な仕掛けのバランスが絶妙でやりすぎていない事による副産物とも言えます。

    Dior カシミアピーコート

    黒に淡いパステルグリーンを合わせていますがこの雰囲気が、80年代に流行ったBCBG的でもあります。

    Dior カシミアピーコート

    インナーやボトムの組み合わせでシルエットが変わって見えます。ボトムにベージュのパンツを合わせるこのスタイルの方が、普遍的で上品なイメージになるので日常的に着やすいスタイルです。

    ディテール

    • ノッチドラペル
    • サイドウェルトポケット
    • 内側にウェルトポケット
    • Dior刻印入りホーンボタン
    • Diorジャカードの背裏地と袖裏
    • バックベント
    • カシミヤ100%、裏地:キュプラ100%
    • イタリア製

    組み合わせ

    • ピーコート : Dior カシミヤピーコート(黒)
    • ニット(グレー) : Brunello Cucinelli スエット風カシミヤニット
    • ニット(グリーン) : Tom Ford カシミヤニット
    • Denim : Dior スリムフィットデニム
    • 5ポケットコットンパンツ : Visvim
    • 帽子(グレー) : LEUCHTFEUE
    • 時計 : Rolex Day Date (1803 1969)
    • サングラス : Tom Ford
    • ベルト : Hender Scheme
    • 靴 黒スエードワークブーツ : Visvim
    • 靴 茶色Uチップ : John Lobb バロス

    おわりに

    今回、後輩から出た”還暦でDiorの服をさらりと着ていたら素敵だよね。”の言葉がきっかけで、購入し着てみたDiorのアイテムですが、私の好みや感性を超越した世界観を持っており、私の服に対しての考え方の引き出しを大きく変えてしまうインパクトのある出来事でした。この世界観は、20年前に先進的な形で世界に発信されたものですが、20年を経て私はその本質にやっと触れたとも言えます。これはエディスリマンの凄さを理解するのに20年もかかったとも言えます。

    昔チャックベリーが、敬愛するチャーリークリスチャン(ジャズギターというかビバップの始祖。この人達のアフターアワーセッションからビバップが生まれたというジャズ史のレジェンドでもあります。)の曲だったか気に入ったフレーズだったかを弾けるようになるまで40年かかったというインタビューを読んだ事があるのですが、感覚的には似たものを感じています。(キースリチャードがプロデュースしたチャックベリーの映画の際にアメリカのギター雑誌が行ったインタビューの一説だったと思います。)

    感性や概念的な記事となっていますが、今回紹介したDiorのカシミヤピーコートは、アイテム単品としても非常に優れており、スタイリングはもちろんのこと、生地や仕立てのクォリティも超一流ですので、着心地や軽さは当たり前のアイテムです。ただそこにDiorの世界観が入っていますので、他の一般的なピーコートに比べ独自のスタイリングを持っており、厳密に組み合わせをしていくと、合うアイテムと合わないアイテムの差が極端に出やすく、合わせたアイテムによっては悪くはないけどちょっと違うという感覚を持たれるのではないかと思います。(私のLee101Zとの組み合わせです)

    私自信が、好きなもので身を固めてしまい、どこか斬新さや新しいものを自身のスタイルの中に取り入れることをあまり積極的にしなかった事が良く理解出来た出来事です。

    過去に斬新さといえば、カルぺディエムやキャロルクリスチャンポエル、初期のマルジェラなどは普通に着ていましたが、何故Diorを選べなかったかの理由を考えると、上記のアイテムは、古着的な要素や、過去からある定番的なものの再解釈の要素が強く、そのような要素に対して私は抵抗感がなかったとも言え、Diorの黒ずくめでミニマルな斬新さを持ち、他との組み合わせを拒む統一された世界は、私の感性には触れなかったとも言えます。

    ファッションにおいても食わず嫌いはせず、試してみることの大事さを感じた出来事でした。

    今回、Diorの服を着てみて、世界観に触れ、パリコレのトップに君臨するようなモード感の底力のようなものを感じ、その素晴らしさを感じていますので、機会をみて他のアイテムも着てみたいと考えています。


    Shop

    私のDiorの商品は、銀座SIXにあるハウスオブディオールギンザで購入しています。

    スタッフの方も非常に親切で、キャリアが長くスタイリングのアドバイスも的確です。興味のあるものや関連するものの提案も的確でありDiorが考える洗練された着こなしをトータルで提案してくれます。

    メンズだけでなくレディスも充実しており、バッグなどの小物や化粧品までトータルでコーディネイトしてくれますので、休日奥様と足を運んでみたらいかがでしょうか。

    2026SSから新しいデザイナーがコレクションを発表しましたが、メンズファッションの原点に立ち返るようなコレクションでありそこにDiorの世界観を絶妙に入れています。ここ10年くらいトップメゾン全体が、非常にカジュアルで着崩したスタイルを模倣していたのですが、普遍的な男性服に原点回帰しているようなコレクションで非常に楽しみです。

    お店については、デニムシャツの記事でも詳しく説明していますのでそちらも参照ください。

    [ Dior デニムシャツの記事 ]

    Dior公式サイト

  • A-2 REAL McCOY’S

    A-2 REAL McCOY’S

    50代以上の方で古着のレザーアイテムと言われて真っ先にイメージするのは、第二次世界大戦時に米空軍が着用したA-2フライトジャケットが真っ先に上がるのではないでしょうか。古着に興味がなくA-2はという名は知らなくてもこのA-2をモチーフにしたレザージャケットは世に溢れており、襟付き、肩エポレット、左右のフラップポケットの革ジャンの形はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。

    2010年以降はライダースジャケット人気に押されてミリタリー系のレザージャケットは一時期ほど見なくなりましたが、モチーフを真似たデザインのレザージャケットをはじめ復刻ものや当時の仕様をリアルに再現したものなどその種類は多岐に渡り眼にする機会は多いと思います。

    A-2フライトジャケットについて簡単に説明すると1931年に米陸軍航空隊が夏季シーズン用に正式採用したフライトジャケットになります。スティーブマックイーンが映画大脱走で着用していたのでなんとなくのイメージはあるのではないでしょうか。同様に襟がボアとなったG-1ジャケットと、極寒地仕様のB-3とともにミリタリー系のレザーアイテムの王道とも言えます。

    元々軍支給の本物のミリタリーウエアなので、古着で出回る当時のものはプレーンなものは少なく、階級章やワッペンなどが付けられたものや背中にペイントがなされたものなどを良く見かけます。(有名なものではブラッドチットなど)古着としては非常に魅力的ですが、普段着用するとなるとなかなか着こなすのが難しいアイテムです。(独特の雰囲気があり現代ファッションとして考えると愛好家の方以外は難しいでしょう)

    A-2 REAL McCOY’S
    私が愛用しているのはREAL McCOY’SさんのA-2になります。アメリカの古着を愛し様々なアイテムを現代に蘇らせている研究熱心なブランドなので当時の本物の作りを参考に品質を上げて現代的にしています。素材はオリジナル同様ホースハイドを使用していますが革の品質も良くリブの素材や縫製なども非常に丁寧に仕上げています。
    A-2 REAL McCOY’S
    商品タグも本物を研究しているので自然であり記載されたReal McCoyが当時のコントラクター(米軍指定の納入業者)と言われてもわからないクォリティと遊び心が効いています。

    はじめに

    普段革ジャン(現代ではレザージャケットと呼ばれています)を着る機会はあまりないのですが、たまに革ジャンを着たくなる事があります。そんな時に気軽に手に取り羽織る事が出来るのが今回紹介するA-2 フライトジャケットになります。

    私の所有しているA-2 フライトジャケットは、REAL McCOY’SさんのA-2 フライトジャケットになります。本物のA-2を徹底的に研究して、革素材や縫製、リブの処理などのクォリティを上げ、現代においても無理なく着れるよう様々な工夫がなされています。A-2が持つスタイルやフォルムの原型を崩さないでクォリティを上げている非常に優れたアイテムなので今回紹介したいと思います。

    気軽に着れると書いていますが、新品状態はホースレザーの特性上非常に硬く着心地は良いとは言えません。革を馴染ませるためにある程度着込まないと革が柔らかくなりません。新品の革ジャンの儀式であるとにかく着て身体に馴染ませるというプロセスを経て普通に着用出来るようになります。このようなプロセスも楽しめるアイテムです。

    前記事で紹介したブルネロクチネリのような着心地の良さはありませんが、革製品の面白さに自分の身体に馴染むと不思議と着心地が良くなります。生地の軽さや柔らかさとは無縁のアイテムですがどこか自分にあったものを着こなす楽しみがあります。


    おじさんの革ジャン

    友人と革ジャンについて話をした中で出てきた話ですが、ミリタリー系の革ジャンて、割と普通に着ていたんだけど40代超えて体が崩れたあたりから着るとおじさんの革ジャンになるのでだんだん着なくなるんだよねと言う話題が出てきます。

    なんとなく言わんとしている事が理解出来ます。後輩がG-1を愛用しており、久々にあった際G-1を着ていたのですが若い時のスリムな体はなく、合わせたジーンズも身体にあっておらず、履いていた靴も愛用していたJMウエストンのゴルフですがなんとなく野暮ったく見えてしまいます。

    後輩には失礼ですが話題に出たおじさんの革ジャンになっています。この後輩もG-1が好きで愛用しているけど歳をとってなんとなくおじさん臭くなっているので上手く着る方法はないかと相談されます。

    そのような状況があり、私も久々にミリタリー系の革ジャン着てみようかなと思い、ここで話題に上がった友人と後輩におじさんの革ジャンにならない宣言をします。そのような宣言をしたので何を着るかを考えます。

    G-1やB-3のボアは暖かいけどシルエットが膨らみやすく、私もおじさんの革ジャンになるのではと考えてしまいます。A-2なら着丈も短く、身幅もそれほど膨らまないのでシルエットは綺麗に収まるのではと考えA-2が候補に上がります。

    REAL McCOY’S

    どのようなA-2を着るか考えます。私自身、古着は大好きでオリジナルアイテムには特別なリスペクトがあります。Fake aさんにオリジナルのA-2がありましたので見せていただくと所謂ブラッドチットのペインティングがあり、ヴィンテージアイテムの価値はすごく高いのですが、いざ私が着て似合うか?と問われると微妙(それなりに着こなせるとは考えますが、いつどこでこれを着ると考えると候補から外れます。ものは素晴らしいのでファッション関係者で古着に関わり、日常的に原宿界隈に顔を出すような立場であればありかなと思います)

    Fake aさんを出て、明治通りを渋谷方面に歩くと、REAL McCOY’Sさんの店舗があります。REAL McCOY’Sさんは25年近く前に代官山にあった事を覚えており一度チノパンを見にいった覚えがあります。古着の復刻版なんかを積極的にしていたイメージがあったのでA-2もやっていたような記憶があり覗いてみます。

    25年前に入ったREAL McCOY’Sさんの店舗の詳細は覚えていませんがなんとなくアメリカのお店のような雰囲気はあり過去の記憶と現在見た店舗の雰囲気がシンクロして妙に懐かしい思いがします。

    A-2も展開しており、ベーシックなものから柿渋で染めた少し明るいブラウンのものなど特別なアイテムも展開されています。A-2以外にもBucoのライダースジャケットやサーマルTシャツなど非常に興味深いアイテムがたくさんありしばらく色々なアイテムを見せていただきます。

    A-2はベーシックなものを選び試着させていただきます。スタッフの方からサイズは40ないし38が良いのではないかと提案され、真冬に着込むなら40、真冬を避け着膨れしないような着方なら38が良いと助言をいただきます。ここでA-2の成り立ちを聞き、米陸軍航空隊の夏季のユニフォームであることを初めて知ります。またモチーフは初期のモデルであることも教えていただきました。

    私の体格であれば38の方がスッキリしているので、38を選びます。A-2に合わせるブーツとしてベアヘッドのワークブーツと中に着るサーマルTシャツも一緒に購入します。

    REAL McCOY’Sさんは古着やミリタリーのウエアを長年扱い、研究熱心なので、A-2も非常にこだわった形で展開しています。販売しているA-2の作りの良さは当たり前で、スタッフの方が言っていたのですが、古着のA-2によくあるリブが虫食いされてしまうといったことも素材を含めて復刻しているのでかなり少ない確率ですが起こりえるとのことでもし虫食いが起きた時の修理も対応していることも教えていただきました。

    ポイントはサイジング

    REAL McCOY’SさんでA-2を購入し、私はジーンズが好きなので、A-2も501XXや101Zを合わせて、A-2と一緒に買ったワークブーツを合わせてインナーにサーマルTシャツを着ます。このスタイルでも、前記したおじさんの革ジャンにはなりません。この理由を考えてみます。

    おじさんの革ジャンになる最大の原因は身につけるアイテムのサイジングとシルエットであるのでは?と考えます。A-2は肩幅身幅着丈ともに私のジャストサイズでシルエットはスッキリします。

    ボトムに合わせる501XXはジャストサイズ、ウエストが30インチレングスが32インチと少し長めですが、ヒールの高さがあるワークブーツと合わせるので裾を折らずに着ることが出来ます。101Zも同様でウエストは30インチ長さは33インチですが裾を折らずに着ることが出来ます。

    今回はA-2ですがミリテリー系の革ジャンをおじさんの革ジャンにしないポイントは

    • A-2も合わせるボトムもサイジングに気をつける事
    • サイジングは、なるべく身体にあったものを選び全体のシルエットを整える事
    • ボトムの長さを少し長めにしてヒールのある靴を選びなるべくレングスの長さを出せるようにする事
    • 合わせる靴は出来ればブーツを合わせるとバランスが良く、色はA-2と合うダークブラウンが良い事
    • インナーはA-2から出ない事(A-2がタイトなのでインナーがA-2より長いとバランスが崩れます)

    後輩のG-1の着方がおじさんの革ジャンになっていたのは、ボトムのジーンズがストレートながら丈が中途半端で靴下が少し見えてしまっています。またサイズも少し大きく微妙な太さも原因となっています。ジーンズはサイズを合わせて丈を少し長めにする事で解決しそうです。このジーンズの中途半端なレングスが折角の靴を台無しにしています。

    あとゴルフの色が黒なのでダークブラウンのG-1ならダークブラウンの靴を履いた方が収まりは良いです。肝心のG-1の着方ですがファスナーを上まで止めて着てしまっていることも野暮ったさの原因になっていますので寒ければ、マフラーかストールを巻いて、ファスナーを上まで上げないなどに気をつけるだけでおじさんの革ジャンにはならない事がわかりました。

    後輩に私がA-2を着て後輩の着方の修正点をそれとなく伝えると納得しています。若い時はバーニーズで買い物をしていた後輩なのでそれなりにファッション意識は高く、早速おじさんの革ジャンにならないように着こなしを変えていきます。

    A-2 を上手く着こなす難しさ

    ここ数年ジーンズメインでほぼジーンズ以外のパンツは履いていなかったので今年はジーンズ以外のパンツをなるべく取り入れようと考えています。今年は別記事で履いているワークパンツや前記事でも履いた5ポケットのコットンパンツを積極的に履いています。

    5ポケットのコットンパンツはVisvimのパンツで、ブランドイメージであるオーバーサイズ気味のシルエットではなくタイトなシルエットであり、股上もローライズまではいきませんが、昨今のパンツに見られる深い股上ではありません。Visvimも素晴らしいメゾンで古着や服飾史への深い理解から扱う服の製造プロセスが非常に面白く伝統的な工芸手法を用いるなど社会性も高いです。

    Visvimの5ポケットのコットンパンツが501XXや101より細めのシルエットであり、色も薄いベージュですのでこのパンツとA-2を合わせて着ています。

    A-2は軍用に作られた本物のミリタリーアイテムであり、結構ハードで男臭いアイテムです。このハードで男臭いアイテムをミリタリーパンツと合わせて着てもカッコ良いのですが、軍人は体格が違い、通常の日本人が真似をしても同じようにはなりません。

    標準体型の日本人が着るならジャストサイズのストレートジーンズや細めのチノなどが収まりが良くなります。

    A-2の難しさに、おしゃれであるなしは関係なしにA-2自体の癖の強さ(ものではなくイメージ)があり、A-2を身につけるとA-2を身につけた人になってしまいます。言葉が難しく上手く伝わらないかもしれませんが、A-2が着る人より前に出てしまうと言った方がわかりやすいかもしれません。

    折角、歴史もあり優れたミリタリーアイテムであるA-2を着ても、人ではなくA-2着た人やおじさんの革ジャンにならないようにするにはそれなりにセンスが必要なアイテムでもあります。

    REAL McCOY’SさんのA-2を購入したのが3年前であり当時の話を元に記事を書いていますが、今年A-2を着るならジーンズ以外のボトムと言うのがあり着用例のような形でA-2を楽しんでいます。

    A-2の着こなし

    今年は所有しているA-2などのアイコン化した復刻レザーアイテムを例年より着ようかと考えています。還暦も見えてきているので、少し大人っぽい形で着たいと考えています。その中で合わせる靴の選択がセオリーとは異なる選択をすると面白いと考えて、着用例では、ブルネロクチネリのスエードペニーローファーとジョンロブの茶のバロスを合わせています。(理由は簡単で、撮影時にブーツやスニーカーを忘れたと言うのが理由で手元にあった靴を履いたら意外と良かったと言うのが真相です。。。が怪我の功名のような形で発見できたのは幸いです)

    ブルネロクチネリのスエードペニーローファーを合わせると、ピッティに出展しているアイテムのような現代的なイタリアンファッション的に纏まります。

    面白いのが、ジョンロブのUチップであるバロスと合わせると、過去に作られたバロスのイメージが持つBCBG的な要素が出てきて現代イタリアファッション的なスエードローファーとの組み合わせより重心の低い格式のような雰囲気が出て、上品さが増すのは今回の撮影後に写真を見て気がつきました。

    ジョンロブのバロスは2000年に購入したものなので、25年前の靴ですが、デザインを含め堅牢な作りゆえ状態も良く、良い靴は一生物であるという事が良くわかります。

    A-2や合わせるパンツにニット帽とストールを足しただけのスタイルですが、組み合わせるアイテムによってA-2の癖を緩和することで、A-2のキャラクターが強く人の前に出ないので、前記したA-2を着た人にならないでまとめられます。

    復刻版のA-2を着る意味

    洗練されたレザーアイテムを着たいなら、昨今のトップメゾンや、ピッティに出展しているイタリアメーカーのモチーフアイテムを着るという選択もあります。このスタイルであれば元々のシルエットが現代的になっており誰が着てもスタイルが良く見える工夫がなされています。

    デザインは似ていながら現代的にスタイリングをモディファイしておりオリジナルのホースハイドのような着難い硬さもありません。ほとんどはカーフかラムを使用しているため新品時から柔らかく着やすい事も特徴です。

    ただ、オリジナルアイテムの持つ風合いや雰囲気は薄くなるのでどちらを選ぶのかは好みや着るシーンによって選択すると良いのではないかと考えています。

    私的な意見ですが、A-2の復刻版で本物に近いアイテムってある意味現行のリーバイスの501と同じで、世に溢れるレザージャケットの原型の一つです。世に優れたジーンズが溢れていてもリーバイス501が持つ普遍的な魅力は変わらないどころか逆に輝いて見える事と共通しています。

    これはおしゃれやスタイルという観点よりもう少し深層的な感覚ですが、昔からあるベーシックなアイテムを気負わずにカッコよく着ることも、トレンドに添いファッショナブルな服をカッコ良く着ることも選択種の一つであり、自分に合ったスタイルを楽しめば良いという答えでもあります。

    前者はある種クラシックなスタイルでもあり多少の流行り廃りはあるかもしれませんが恐らく10年後でも成り立っているのはどちらかと聞かれたら普遍的なもので合わせた前者のスタイルなのではないかと考えています。後者は時代的な尖り方などを表現できるのでそのようなスタイルを求めるのであれば後者の選択をすれば良いと考えています。

    私は前者を好んでいますが、ブルネロクチネリや別記事で着ているDiorなどを身につけるとトレンドに沿ったファッショナブルな服の底力を感じます。(アイテムは私が好む過度なトレンドを取り入れていないベーシックなものですがスタイリングは現代的)

    以下に着用例の写真をいくつか紹介します。私がモデルさんのような優れたルックスではないので参考にならないですが、雰囲気は掴めるのではないでしょうか。


    着用例

    A-2 REAL McCOY’S
    ニット帽、ストールをすることで、A-2のキャラクターが薄くなり洗練されたスタイルになります。ボトムは細めのベージュのパンツにスエードのライトなローファーを履くことで、ピッティ的な現代イタリアの雰囲気になります。写真ではわかり難いですがインナーにブルネロクチネリのウエスタンシャツをタックインして着ています。
    A-2 REAL McCOY’S
    後ろ姿も綺麗に見えるのは、A-2の短めの着丈が影響しています。トレンドを意識したトップメゾンのレザーアイテムほどではないのですが全身のシルエットを綺麗にまとめてくれます。
    A-2 REAL McCOY’S
    靴をスエードローファーから表革のUチップであるジョンロブのバロスに変えるだけで、重心が低い上質さが出ます。このスタイルで思い出す言葉にBCBGやプレッピーと言う80年代のファッショントレンドがあり、学生時時代の友人がジーンズにタッセルを合わせていたことを思い出しました。
    A-2 REAL McCOY’S
    25年前に購入したバロスですが、中庸なデザインと作りの良さ、堅牢さがあり、デザインから来る上質というより作りから来る上質という言葉が思い浮かびます。もともとカジュアルパンツよりもう少しフォーマルな着こなしの方がしっくり来る靴です。
    A-2 REAL McCOY’S

    元はもう少し明るいブラウンでしたが、クリーナーのクリームと靴クリーム(両方ともジョンロブのもの)を長年使用して手入れしたことで独自の色合いになっており非常に愛着があります。

    A-2を紹介するつもりがミリタリー系のレザーアイテムをどう着るかというテーマになってしまいました。A-2にしろG-1にしろB-3にしろそれぞれ特徴があり非常に男性的な要素が強いアイテムであり、私もそうですが男性がどこか憧れるアイテムです。その個性の強さと、模倣されたアイテムの多さから逆に着こなすのが難しいアイテムになっています。

    今回やりませんでしたが、センタークリースを抜いた細身のチノに、オーバーサイズではないスエットを着てその上にA-2を着て、コンバースなどのスニーカーを合わせても楽しめます。このスタイルは大脱走のスティーブマックイーンのイメージに近いスタイルになります。反則技ですが、このスエットをブルネロクチネリやロロピアーナのスエットを模倣したデザインのカシミアニットでまとめ、今回履いたジョンロブのバロスのようなカジュアルながら品の良い革靴を合わせると大人っぽい上質な着こなしが出来上がります。ブルネロクチネリのスエット風のカシミアニットは所有しているので機会があれば撮影してみたいと考えています。

    ディテール

    • レザー: ホースハイド/タンニン鞣し、ピグメントフィニッシュ
    • ライニング: コットンブロード
    • フロントファスナー: 40sベル型、ニッケルメッキ
    • リブ: ウールリブ
    • 縫製糸: カタン糸(綿糸)

    組み合わせ

    • レザージャケット : REAL McCOY’S
    • ウエスタンシャツ : Brunello Cucinelli
    • カシミアストール : Brunello Cucinelli
    • 5ポケットコットンパンツ : Visvim
    • 帽子(グレー) : LEUCHTFEUE
    • 時計 : Rolex Day Date (1803 1969)
    • サングラス : Oakley
    • ベルト : Brunello Cucinelli
    • 靴 : Brunello Cucinelli スエードペニーローファー
    • 靴 : JhonLobb バロス 2998ラスト

    おわりに

    元は知人のミリタリーレザーの着こなしの相談がきっかけで自身で購入したA-2ですが、着こなしの幅が広く非常に面白いアイテムであることを再確認しました。本来あまり気を使わずに着れるアイテムですが、普及率の高さとイメージ故におしゃれや洗練された着こなしをしようとすると急に難易度が上がるアイテムです。

    若い方が着るのであれば好きなように着るだけでカッコよくなるアイテムですが、歳を経て着るとなると知恵を使わないといけないアイテムとも言えます。A-2に限らず革製品は素材的にハードに見えるアイテムであり、コットンやウール素材とは見た目も質感も異なり癖が強いため私も日常頻繁に着るアイテムではありませんでしたが、ボトムを少し変えるだけでまとまりが良くなり非常に着やすい事がわかったことも収穫です。

    オリジナルの復刻アイテムなので、ホースハイドの硬さをまず馴染ませるのに時間がかかります。私は根気よく着ることで革がなじみ着やすくなっていますが、せっかちな方は、自宅で常時身につけるなど工夫をすると時間をかけずに馴染ませる事が出来ます。手入れはホースハイド用のオイルで有名なマスタングオイルを手で全体に塗布して少しおいた後から拭きすれば大丈夫です。

    通常のアウターより手間がかかり、着心地も他のアウターほど良くないのですが、革製品の特徴である身体に馴染むという感覚がわかると愛着が湧きます。

    男性はどこかでハードな革ジャンをカッコよく着てみたいという願望があるのではないでしょうか。A-2は米軍が正規に支給した本物のミリタリーアイテムであり、ハードなかっこよさを元々十分すぎるくらい持っています。そのイメージをコントロールすることを楽しみながら着こなすとA-2を活かせるのではないでしょうか。


    Shop

    今回紹介したA-2 フライトジャケットはREAL McCOY’S東京で購入しています。REAL McCOY’Sさんはミリタリーアイテムの復刻やライダースジャケットで有名なBucoの復刻などを行っており、非常に研究熱心であるので本物を超えた本物とも言えるクォリティで各アイテムを復刻しています。

    アメリカのミリタリーの復刻が中心ですが、ワークウエアやデニムなども展開しています。アメカジで有名な古着アイテム全般とも言えるアイテムを復刻していますが、各アイテムに共通するのは一番カッコ良い年代のものをモチーフに復刻をしており、細部までこだわり、現代的な修正を入れながらオリジナルの雰囲気を崩さない工夫がなされています。

    どのアイテムを選んでも非常にクォリティが高く、オリジナルを探すのが難しい古着のアイテムを新品状態から着ることができるアメカジやミリタリー好きには最高のお店です。アウターだけでなく、Tシャツやシャツ、ブーツやシューズ、デニムも展開しておりお店で扱うアイテムは、全て細部までこだわったクォリティなので、全身REAL McCOY’Sで揃えてもカッコ良く着こなせます。

    非常に趣味性が高いアイテムなので、スタッフの方の知識も豊富でオリジナルアイテムの歴史や特徴などの話も参考になります。

    私は、今回紹介したA-2フライトジャケット以外にBucoのJ-100やワークブーツも持っています。小物も着やすい生地の厚さのサーマルTシャツから、本物に近い生地が厚手のサーマルまで持っています。

    レザーアイテムメインで購入していますが、N1などのコットンのアウターの復刻アイテムも素晴らしいので機会があれば着てみたいと考えています。ミリタリーやワークウエアがメインでカジュアルでありながら癖が強いイメージがありますが、素材の選択や作りの良さがあるので、歳を経ても楽しめるアイテムが揃う素晴らしいお店です。

    REAL McCOY’S公式サイト

  • Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット

    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット

    ブルネロクチネリが展開する、メタルボタンのダブルのブレザー。色はネイビーではなく黒、素材は非常に柔らかいコーデュロイを使用したジャケットになります。

    形がワンアンドハーフブレスト、アンコンストラクテッドフォーマルジャケットという、ブルネロクチネリ独自の、ダブルながらボタンを絞めなくてもジャケットが開きすぎない絶妙なシルエット。芯地をあまり入れないリラックスした着心地ながら、フォーマルでもカジュアルでも着こなせる優れたジャケットになります。

    アメリカンなブレザースタイルを、ブルネロクチネリ流の、遊びの効いたスタイルでありながらも、抑揚を効かせたデザインでまとめた事で、様々なスタイルで着こなしを楽しめるブレザーです。

    基本的な着こなしは、ジャケットは黒の柔らかいコーデュロイ、トラウザーズは、白でジャケット同様柔らかいコーデュロイ、合わせるシャツは、これもブルネロクチネリの、上質で柔らかいコットンを使用したウエスタンシャツ。足元は、スニーカーよりも柔らかく履きやすいスエードペニーローファーといった、ブルネロクチネリが提案する、リラックスしながらも上品で崩れない遊びの効いた世界観で楽しんでいます。

    ブルネロクチネリが提案するセットアップを基本で楽しみながら、もう少しラフに着こなしたい時は、ヴィンテージの501XXや、生地にジャーマンコーズを使用した、5ポケットタイプのベージュで細身なコットンパンツなどを合わせて楽しんでいます。

    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット ディテール
    ブルネロクチネリらしい動きやすく着やすいリラックスしたフィットながら非常にスタイリッシュにまとめたブレザーになります。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット タグ
    既製品なので自分の名前と購入日を書くタグがついています。MTMは購入者とここに担当した職人さんの名前が書かれます

    はじめに

    今回、紹介するブルネロクチネリのコーデュロイのジャケットは、メタルボタンを使用した、所謂ブレザーのスタイルになっています。私が初めて購入したブルネロクチネリの服であり、それまでしなかった、ジーンズにジャケットを合わせる着こなしをするきっかけになったジャケットであり愛着も強いです。


    スマートカジュアル

    3年ほど前、私が所属する、同好会の記念式典のお手伝いをすることになりました。記念式典のドレスコードが、スマートカジュアルでしたが、スーツは普段あまり着用しないので、最近のものは所有しておらず、20年前にタイユアタイで購入したスーツで出席すればと考えていました。そんな中、急遽、ノベルティでボタンダウンシャツを作り、チャリティでメンバーに購入してもらう企画が上がります。

    友人から頼まれ、記念式典の受付で、ボタンダウンシャツの販売を担当することになります。販売する都合上、ボタンダウンシャツを身につける必要があり、着用時の見本となるようスーツではなくブレザーが必要になります。

    当初、ブルックスブラザースで、ネイビーブレザーとグレーのトラウザーズを購入すれば良いと考えていたのですが、この年ネイビーブレザーが一つのトレンドになっており、私のサイズの在庫が売り切れています。

    そのような状況でしたので、急遽ブレザーを探しますが、好みに合うブレザーがなかなか見つかりません。

    何か良いブレザーはないかと探している中で見つけたのが、今回紹介する、ブルネロクチネリのコーデュロイジャケットになります。このジャケットを選んだ一番の理由が、出席する同好会の、記念式典のドレスコードであるスマートカジュアルにちょうど良く、ノベルティで作成したボタンダウンシャツを最高な形で引き立ててくれます。

    私自身、ネイビーのブレザーと、グレーのトラウザーズの組み合わせは大好きで、普段着る機会はありませんが、若い頃、おしゃれな先輩に教わった”ブレザーは面白いジャケットで、若い人が着ると落ち着いた雰囲気で大人っぽく見え、歳をとってから着ると若く見える便利な服なので、一着は持っていると良いよ”の一言が頭に残っています。

    ブルネロクチネリ

    当ブログで幾度か紹介しており、素材や作りのクォリティは当然ながら、展開する服全般に、主張はありながらも一歩引いた控えめなスタイルや、お店のスタッフさんの気さくな対応ながら、スタイリングや着こなしに対する非常に高いプロ意識など、商品から販売まで感銘を受ける、ファッションを超えた、服を基準に上質なライフスタイルを提案するスタンスが大好きなブランドです。

    価格帯が相当高めなので、私自身おいそれとは購入するものではありません。また価格帯から購買層の年齢層も相応に高い事も特徴です。高価格帯ながら、世界中で愛されており、熱心なリピーターが多い事も特徴です。そんなブルネロクチネリですが、私が懇意にしているスタッフさんとの会話で出てきた言葉が、ブルネロクチネリというブランドのスタンスを物語っています。

    非常に高価で、ブランドも有名ですが、プレスなどにも頻繁に登場し、ブランドイメージを作り出す、ブルネロクチネリ氏が、普通のおじさんであり、スタイルやルックスが特別良いわけではないが、ブルネロクチネリ氏の社会活動の素晴らしさや、ライフスタイルを含めた品格があり、歳を重ねて、若い時のような体格を持たなくても、上品でおしゃれに着こなせている良い見本となっている、といった言葉がブルネロクチネリの衣服に対して非常に的を得ています。

    普通のおじさんでも着れる上質な服、という表面的な側面だけでなく、スタイルの良い方などが着ても、スタイリッシュながら、どこかやりすぎない節度が品格や知性を感じさせる服でもあります。

    この品格や知性というのがブルネロクチネリの本質で、最後は身につける人のアイデンティティが表現される服であり、そのアイデンテティを、最大限活かせる服でもあります。若い人が着れば、フレッシュな若さやカッコ良さに繋がり、相応に歳を重ねた人が着れば、人生経験から来る品格や知性が表現されるとも言えます。

    衣食住という言葉があり、人間の生活の三大要素の一つでもある衣は、人が生きていくには何かを身につけなくてはいけません。もう少し深読みすると、この衣は社会性に対する個の存在を明確にするものでもあります。

    巨大産業であるアパレル業界は、この社会性に対する個の存在をどう表現するかで鎬をけずっているとも言えます。ただネット時代になり、この衣に対する意識が変わり、いくつかの言葉やキーワードが最重要視され、長年かけて作り上げた、伝統や、衣の最適解や個性すら、短期のトレンドとして消費されてしまうようになっています。

    ブルネロクチネリは、この短期のトレンドから最も遠いブランドであり、高価な理由も、最高の素材と、イタリアにいる最高の職人が作り上げるクォリティ、人間の尊厳として、働く人や関わる人に利益を還元する姿勢、関わる人の幸せを願い、衰退した本拠地の村おこしを行う社会性と意義、異国である、日本の販売スタッフにも同様な待遇、各店舗にイタリアの職人同様の技術を持つスタッフの配置を行い、販売した服のケアを高次元で行うことで、購入した顧客に良いものを長く大事に使っていただく事を実践しています。

    このように優れた活動は、全てにおいて非常に時間がかかります。このことが、今の時間の流れとは別の時間の流れを作り出しています。その時間の流れが、優雅な時間の流れとなっていて、ブルネロクチネリの服を深く理解するほど感じ取る事が出来ます。

    目に触れたり、耳にしやすい、表面的な価値観ではなく、本質的な価値を創造することを実践し続けていることで、企業の価値や、扱う商品の価値を上げています。この事は、現代のマスや、マーケティングとは異なる価値観で、クリエイティビリティを確立した既有な企業であります。その展開する服は、品質や、ファッション性と同時に、控えめでありながら、着る人の個性を引き出す工夫が凝縮されており、その制作過程やコンセプトから一元する一つの哲学を感じる事もできます。

    少し堅い話となりますが、私自身が、そのような企業スタンスを含めたトータルでブルネロクチネリに敬意を持っており、この事からブルネロクチネリの大ファンであり、少し無理をしても身につけたいと考える理由です。

    ブルネロクチネリのスタイル

    これまで、ブルネロクチネリの春夏のアイテムを当ブログで紹介していますが、秋冬のアイテムを紹介したことがありませんでした。春夏のスタイルではジャケットは紹介しましたが、トラウザーズは持っていなかったので、今回ジャケットとトラウザーズをセットアップで着るスタイルを紹介しています。

    ブルネロクチネリの展開する商品で有名なのは、カシミアニットがまず浮かびます。私も数枚持っていますが、カシミアニットの品質は非常に高く、軽く暖かいのは当たり前で、耐久性も高いことが挙げられます。この耐久性は車に乗ってシートベルトをするとわかります。他のカシミアニットはどうしてもシートベルトが当たる部分に毛玉が出やすく着用した後、この毛玉を取るため石川のブラシで手入れを入念にする必要があります。

    ブルネロクチネリのカシミアニットは、他のカシミアニットに比べ、このシートベルトのあたりで出る毛玉が出にくい耐久性を持っています。何故毛玉が出にくいのか詳しくはわかりませんが、撚糸などの工夫をしていると考えられます。少し硬めのカシミアニットであればなんとなく理解できますが、ブルネロクチネリのカシミアニットは柔らかいのに毛玉が出にくい耐久性を持っています。

    カシミアや、上質なウールを使用したスーツやコートも展開しており、どれも、非常にハイレベルな仕立てを行っているので、好みの柄や着るシーンに応じて、生地の柄や生地の厚さ、セットアップか単独かで組み合わせるかなどを選択すると、どれも上質で着心地が良くスタイリッシュな着こなしが楽しめます。

    ブルネロクチネリは、秋冬シーズンの素材で、コーデュロイを使用することも多く、上下のセットアップをコーデュロイでまとめてしまうスタイルもいくつか展開しています。ブルネロクチネリのコーデュロイの特徴は、生地が非常に柔らかく軽いので、一般的なコーデュロイのイメージで着てみるとその着心地の良さに驚きます。

    ブルネロクチネリは、服の色にもこだわりがあり、自然界にあるものをモチーフに配色しています。私が購入した黒のコーデュロイですが、ブルネロクチネリの黒は珍しく、他に黒のジャケットを探すと見当たりません。

    本来、ブレザーはダークネイビーが基本ですが、セットアップで揃えた、同傾向の生地で仕立てられた、白のトラウザーズと組み合わされると、黒と白での組み合わせながら、フォーマルになりすぎず、少し力の抜けた、程よいスタイルが出来上がります。今回、海沿いで撮影して気がつきましたが、マリンスタイルのイメージもあります。

    この上下のセットアップに、ブルネロクチネリの、程よく褪色したウエスタンシャツを合わせています。このウエスタンシャツも、デニム生地などではなく、通常のシャツ同様、少し厚めの非常に柔らかいコットンのツイル生地で作られています。

    通常、黒のジャケットに、ブルーのシャツを合わせることはないのですが、この組み合わせは、非常にまとまりが良く洗練されています。組み合わせた自身の写真を見ても違和感がありません。

    このように、私個人が考える以前に、ブルネロクチネリが提案するスタイルは、非常に洗練されています。個々のアイテムが、如何様にでも組み合わせられる寛容さを持っているので、ブルネロクチネリの服を揃えて行っても、着れなくなるアイテムがないことも、ブルネロクチネリの熱心なリピーターが多い事につながっているのではないでしょうか。

    実際のブルネロクチネリの着こなし

    私が古着やアメカジなどカジュアルな格好が好きなので、私が普段着用する古着などのアイテムと、ブルネロクチネリを合わせて着る機会も多く、フォーマルではない着方をするのであれば、私自身このスタイルがしっくりきます。

    服の考え方に、どこで誰と会うといった考え方があり、例えば近所の散歩などでは、ここで紹介しているブルネロクチネリを着る事はありません。(流石にトゥーマッチです)

    ブルネロクチネリはリゾートウエアとも言われていますが、日本において、海外の富裕層のようなリゾートスタイルが日常にある方は稀で、どちらかと言えば、都会的な服として着られている方が大半ではないでしょうか。

    私は、遊びの要素が許される、少しフォーマルな席(式典やパーティー、少し格式のある食事など)では上記で紹介したブルネロクチネリが提案するスタイルをします。(このような機会は日常では少ないので少し気恥ずかしいところもあります)

    もう少しカジュアルな外出(家内と銀座や表参道などの繁華街に買い物やカジュアルな食事など)である場合、全てブルネロクチネリではなく、ボトムにリーバイスなどジーンズや、別のインナーなどを合わせるスタイルをします。このような気崩したスタイルでも崩れない寛容さをブルネロクチネリの服は持っています。

    以下に着用例の写真をいくつか紹介します。私がモデルさんのような優れたルックスではないので参考にならないですが、雰囲気は掴めるのではないでしょうか。


    着用例

    [ Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット着こなし ]

    今回の記事は、写真が上手く撮れていないので、ブルネロクチネリ コーデュロイジャケット着こなしの記事に取り直した写真をまとめています。

    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーデュロイパンツ
    MTMではないので細部のフィット感は完璧ではありませんが既成のままでもスタイルは綺麗で動きやすい事もブルネロクチネリの服全般に言える特徴です。このような着こなしの場合ボタンは全て止めてしまいます。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット コーデュロイシャツとの組み合わせ
    1950年代の柄が面白いコーデュロイシャツに同色のカシミアのニット帽を合わせています。そもそも50年代のコーデュロイシャツは大量生産品で、ブルネロクチネリとは根本的に考え方のことなるアイテムですが不思議と馴染みます。これは黒と白の無彩色に赤ベースの柄物というのが意外としっくりくる配色的な組み合わせになります。身につけているアイテムが全てコーデュロイというのもまとまりが良いポイントかもしれません。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット ヴィンテージコーデュロイシャツとの組み合わせ
    ジャケット以外のシャツとジーンズは1950年代の古着ですが上手く纏まります。1950年代のシャツの特徴であるループボタンの大きなエリを出してしまうとロック的(ベースは50年代のプレスリーなどのロックミュージシャンのイメージですね)になります。トータルイメージは50年代にインスパイアされた80年代のファッション的でもあります。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット 50年代風着こなし
    写真では伝わりにくいのですが、非常に柔らかいコーデュロイですので見た目も柔らかく、着心地も柔らかいので非常に動きやすく暖かいのが特徴です。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット ヴィンテージ501XXとの組み合わせ
    ボトムだけ変えていますがリーバイス501XXなどと合わせてもまとまりが良いです。あまり主張が強くないので非常に着やすいスタイルになります。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット 細身のコットンパンツとの組み合わせ
    ジャーマンコーズの5ポケットの細身のコットンパンツと合わせています。このスタイルだと60年代のアイビーリーガーのようなスタイルになりジーンズより少し上品な組み合わせになります。シャツはタックインした方が収まりが良くアイテムがカジュアルなのでトラウザーズより自然でこちらも普段着やすいスタイルになります。
    Brunello Cucinelli コーデュロイジャケット ウエスタンシャツ
    ブルネロクチネリのシャツは上質なのでラフに着ても上品さが失われません。上質な日常着で非常に贅沢な時間を堪能できます。私が他に所有しているウエスタンシャツとはデザインは似ていますが全くの別物で、カジュアルながら古着やアメカジ的なラフな要素はありません。

    ディテール

    • メタル製6つボタンで開閉
    • ピークドラペル
    • スリットポケット
    • チケットポケットと胸にポケット
    • 袖口には本切羽のボタンホールを施しメタル製のボタンを4つ使用
    • 全体にキュプラ製ライニング
    • ボタン式インナーポケット2つとペンホルダーポケッ
    • 後ろ身頃にサイドベンツ ドロップ 7
    • 100% コットン

    組み合わせ


    おわりに

    今回紹介した、コーデュロイジャケットが、私がブルネロクチネリの服を着るきっかけになっています。この事で、それまでの服に対しての考え方を変えるきっかけになり、ターニングポイントになったジャケットです。

    服を作り、販売されたものを購入し身に付けるという一般的なプロセスだけでなく、その背後にある、哲学や思想について考え、感銘を受け、共鳴するというのは初めての事でした。

    過去にも、他のブランドを着た時に、何度か感覚的な理解はありましたが、理由を考え着ることで、感じ納得したのはブルネロクチネリが初めてです。この感じるという事を意識して考えるのは、スタイリングより、着心地の良さや動きやすさの方が大きく、その理由が上質な素材と作りの良さに起因しています。

    商品を作る側が、手間暇を惜しまず、商品を身に付ける顧客を第一に考える事は当たり前に行い、その行為を敢えて表に出さず、評価は商品とサービスに委ねる、といったブルネロクチネリのスタンスは、一時流行った、お持て成しという言葉の真理であり、この哲学が真のラグジュアリーという言葉の実践ではないかと感じています。


    Shop

    私のブルネロクチネリの商品は、Brunello Cucinelli銀座店で購入しています。
    フィールドジャケットの記事でも述べていますが、商品やお店だけでなくそこに関わる人も含めて最高のお店ですので、一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

    お店については、フィールドジャケットの記事で詳しく説明していますのでそちらを参照ください。

    [ ブルネロクチネリ フィールドジャケットの記事 ]

    ブルネロクチネリ公式サイト