はじめに
今回紹介するジョンロブのダービーは、私の中で、英国靴といったらフルブローグのダービーと答えるほどスタンダードな英国靴のイメージが出来ています。黒革、フルグローブのメダリオンで、外羽、ダブルソールという靴の形が、私がイメージする英国靴になります。
通常スーツに合わせるなら、オックスフォードと言われる内羽で、プレーントゥか、セミブローグ、シングルソールの靴をイメージします。
フルブローグの外羽、ダブルソールは、元々ハンティングなどで使われている靴がルーツになっておりカジュアルなイメージがあります。そのことからスーツに合わせる場合も、フォーマルなシーンでは敬遠される傾向があります。
一般的に、スーツにはオックスフォード、フォーマルならプレーントゥという不文律がありますが、日本においてドレスコードを意識するのは冠婚葬祭のドレスコードくらいであり、ビジネスなどを含め、スーツやジャケットを着るシーンにおいてはそこまでのドレスコードは意識されていません。
今回紹介する、ダービーを購入する際、当時(25年前ですが)オックスフォードのプレーントゥの定番、シティも検討しています。シティは万能な革靴であり、冠婚葬祭を含め、履いていけないシーンはない優れた靴になります。
ただ、普段何気なく履く革靴として考えると、シティは私には少しフォーマルでありドレッシーに感じた為、もう少し柔らかい印象に感じたダービーを選んでいます。
若い頃、アメリカントラッドが好きで、かっちりしたスーツより、ブレザーを好んでいた事から、フォーマルなプレーントゥより、フルブローグのダービーや、Uチップを好み、所有するジョンロブの靴も、全てダービーになっています。
ダブルソール
私は、ダブルソールの外羽の靴が好きで、過去に購入したジョンロブの靴は全てダブルソールの靴を選択しています。
一般的に、フォーマルなシーンでは、シングルソールが好まれます。ダブルソールはどうしても底が厚くなり、カジュアルなイメージがあるため、正式な場でのフォーマルな装いにおいては敬遠されます。
また、シングルソールの方が、底が柔らかく軽い為、靴の反りも良く履き心地においてのメリットがあります。ただ、長時間歩くとなってくると、話が変わってきます。
厚く硬い靴底は、地面の凹凸を和らげ足を保護し、適度な重さが逆に振り子の原理で歩行をアシストしますので疲れ難く、ある程度の距離を歩くことを考えると、ダブルソールにメリットがあります。
私が、ダブルソールを好んでいるのは、堅牢でしっかりした履き心地や、歩行の疲れなさといったある種の道具感や、ワークウエア的な機能性を好んでいることが大きいです。

革底のダブルソールの厚みが良くわかります。
ルーツが軍用の靴から来ており、その後、ハンティングなどに履いていく事を目的として進化した為、舗装されていない道を歩く必要性から足を保護するために、皮を二重にしたと言われています。
外羽
私は、外羽式の靴が好みで、所有する革靴はほとんどが外羽になっています。理由は簡単で、オックスフォードは靴の羽根をぴったりと閉めて履くように作られています。
初めてジョンロブを購入する際、内羽だと、羽が綺麗に閉まらないのではないか?と考えたことや、脱ぎ履きは外羽の方がしやすい事から外羽を選び現在に至っています。
ただ、長年ダービーを履いて感じることに、内羽も、ある程度の年月を履きこむことで身体に馴染み、開いていた羽根が綺麗に閉まるようになるんじゃないかと感じています。
私の3足のダービーも、購入当初より、羽根が綺麗に閉まっています。
ジョンロブの靴は、非常に長く履ける靴です。履きこむことで、革底が適度に沈み、革も適度に伸びて馴染み、足の形に合っていきますので、オックスフォードが私に合わないということはないのではと考えています。
機会があれば、ジョンロブのオックスフォードも履いてみたいと考えています。

靴紐を結ぶ穴を支える革が別の革で開いて見える事から外羽と言われています。
この支える革が靴と一体化されて閉まって見える構造のものを内羽と言われています。外羽根は内羽に比べ、靴紐でフィット感を調整しやすい事と、靴の脱ぎ履きがしやすいメリットがあります。
ジョンロブも過去には数種類のダブルソールのダービーをリリースしていましたが、現状のラインナップでは、ダブルソールの革底の展開はありません。
現在展開するダービーはロングノーズのマンチェスターともう少しカジュアルなスミスのみの展開となっています。
もし、革底のダブルソールを望む場合、バイリクエストでのオーダーをする必要があります。
フルブローグ
靴の種類を、調べると良く出てくる言葉にフルグローブという言葉があります。
1980年代半ばから1990年代に青春時代を送り、DCブランドなどで、ファッションやジャケット、スーツなどに影響を受けた世代に分かりやすい言葉で説明すると、当時言われたウイングチップと言うと分かりやすいと思います。
靴を上から見ると、つま先にもう一枚皮が重ねてあり、Wに見えます。
良くみられる装飾が、パーフォレーションと言われる鳩目穴の装飾が打たれています。記事の写真を見れば、ウイングチップでこの形の靴をフルブローグと呼ばれていると考えれば理解しやすいです。

つま先や踵にもう一枚革が重ねられ、つま先部分がWに見えます。このことからウイングチップとも言われています。
穴飾りが随所にいたされています。現代においては、装飾的な意味合いが強いですが、元は雨天の際、水はじきを良くし重ねた革も浸水を防ぐために入れられたと言われています。
万能性
ルーツが、ハンティングに履く靴(ブーツ)から来ている靴なので、雨天でも問題なく履くことが出来ます。
ダブルソールや、革を二重にしたつま先や踵、パーフォレーションにより、浸水に対して考慮された構造となっていますので多少の雨では問題なく履く事が出来ます。私は過去に何度も雨の日に履いています。
雨に濡らしてしまったら、必ず靴紐を外して、新聞紙かクッキングペーパーを詰め、靴全体を良く拭いて、靴全体を新聞紙かクッキングペーパーでくるみ、踵を下に壁などに立て掛け、自然乾燥させます。
靴が乾いたら、ジョンロブ純正のクリームをしっかり塗り込み油分を与えます。
適切な手入れをしっかり行えば、雨でも問題なく履ける万能さを持っています。
高価な靴なので、大事に使うという観点から見れば、雨に濡らさないというのがベストではあります。私も基本雨の日には履きませんが、過去に何度も、雨に降られた事があり、かなりの豪雨にも遭遇しています。そのような状況でも、しっかり水気を取り、乾燥させクリームで手入れすることで、型崩れや革の劣化はなく25年間愛用しています。
ただ、所有するDarbyやChanbordは黒革なので、濡らしてしまってもシミが目立ちませんが、Barrosや後輩に譲ったベルルッティなどの茶靴は、シミになる可能性がありますので、雨天に履く事はお勧めしません。
良い革靴は、濡らさない方が良いのが基本ですが、ダブルソールの黒革のダービーは、最悪雨に遭遇しても適切な手入れを行う事で極度な劣化になりにくい堅牢性と実用性を持っているという例になります。
もう一点つけ加えると、革底は、元々滑りやすく、雨の横断歩道などでも滑りやすいので、ソールにラバーを張るか、滑って転ばないように気をつけて歩く事をお勧めします。
ダービーの活用
私が所有するスーツやジャケットは、ベーシックなものが多く、スーツに限って言えば、ダークネイビーのスーツがほとんどです。少しカジュアルなジャケットとパンツもいくつか持っていますが、グレーやネイビーのベーシックなものが多いです。
今回の記事で着用例として撮影した写真は、20年前にタイユアタイで購入したKitonのグレンチェック柄のダークネイビーのスーツにボトムとしてダービーを履いています。スーツのサイズ感が現代と比べると少しルーズに見えますが、別の視点で見ると相当クラシックなスーツスタイルに見えます。
現代的なサイズ感のフォーマルなスーツよりゆったりしたクラシックなスーツとの相性が良いのではないかと考えます。私が所有するスーツで、一番フォーマルなブリオーニのダークネイビーの無地は、ブルニコと言われる現代的なスタイルとフィッテイングであり、生地もSuper 160sとオーソドックスながら非常にフォーマルなスーツになります。
ドレスコードのセオリーから考えると、ダービーとあまり相性が良くなさそうである、フォーマルな紺無地のブリオーニのスーツにも相性は悪くありません。
白のドレスシャツに無地のダークタイを合わせるようなスタイルだと、少しバランスは崩れますが、サックスブルーのシャツに小紋などが入った黄色のタイを合わせたり、白シャツでもオックスフォード地のシャツにレジメンタルタイを合わせると、ダービーの機能性のあるフォルムから、オックスフォードの靴より、少し遊びの要素が生まれフォーマルさと主張が緩和し品良くまとまります。
イタリアンクラシック好きが好む、Kitonやアットリーニなどのスーツや、ナポリを始めとするイタリアのテーラーのスーツやジャケットとも相性は抜群です。
ダービーの原点である文化的側面を考慮すると、英国のスーツや米国のスーツ(ブルックスブラザースやラルフローレンなど)も相性が良いです。
私個人的な意見ですが、イタリアのクラシックには、茶色のイタリアンシューズを合わせるのが王道ですが、無骨な英国靴の黒革靴を履いて、イタリア的な華美な要素を少し抑えるような装いを楽しみたい方にはお勧めです。
